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315 集合

 結局、薬師と話した所で河の水は解決できなかった。

 だが、行ったかいはあった。


「と言う訳で、皆に頼みたいんだ」


 俺はそこにトゥスさん、カイン、チェル……そしてついて来てしまったファリスとクリエに話をした。

 イリスも本当は連れて行きたいが、彼女は戦う事に関しては苦手だ。

 無理はさせられないという事で、今回は留守番だ。

 出来ればクリエにも留守番をしてほしいのだが――。


「それで、ファリス?」

「わたしも行く……」


 ファリスはほぼ強引と言った風に話を聞いてくれない。

 彼女としては俺を守りたいと思ってくれているのだから問題はないんだが……。

 そうなると彼女に懐いているクリエが付いてくるのが問題だ。

 現状彼女も戦えないんだしな。


「その、ファリスは――」

「行く」


 さっきからこんな状態だ。


「良いじゃないか、別に」


 そうは言うがカイン君? 君は戦えないクリエをどうやって守るというのだろうか?

 いや、守らない訳じゃないが、それだけ大変なんだぞ?


「キューラちゃんはクリエさんとかを心配してるんだよ?」

「そうだね、チビがついて来る事でクリエがついて来るんじゃ足手まといだ……前ならともかく今は特にね」


 そして、チェルの言い分は俺と同じだから分かるが……。

 トゥスさん? 貴女はちょっと言葉がきつい様な?


「………………」


 だが、ファリスはテコでも動かない感じだ。


「守るから……」


 そして、口を開くとそう言った。

 俺は大きく溜息をつきながらも、ファリスの頭を撫でてやる。


「分かった、じゃぁ頼むぞ? その代わり、もし危ないと思ったらクリエを連れて逃げてくれ、それが最優先だ」

「キューラ!?」


 俺が意見を変えると当然トゥスさんが睨んでくる。

 だが、仕方がないだろう……。

 恐らくここで駄目だと念を押しても意味はない。

 寧ろ勝手について来てさらに危険な事に巻き込まれる可能性だってある。

 それが分かっていて、駄目だとは言えないだろうに……。


「分ってるのかい!? 今お嬢ちゃんは戦えないんだよ!」

「分ってるさ、だけど……下手に置いて行くよりも目につくところに居てくれた方が守りやすい時だってある」


 俺がそう言うと彼女は呆れた様に大きく溜息をついた。

 そして……。


「勝手にしな」


 とぶっきらぼうに言うのだった。


「ごめん、ありがとう……」


 俺が彼女に礼を告げると、更に向こう側へと向いてしまったが……彼女はきっと分かってくれているはずだ。

 それに、俺だって彼女の言い分は分かる。

 それどころか、本当ならついて来てほしくはない……。

 何故なら俺達が向かうのはファーレン王の支配が強くなっているかもしれない土地だ。

 ここも彼の領地だとは言ってもまだ、支配力は無い。

 しかし……それでも向かう価値はある。

 いや、寧ろ向かわなければならない……。

 スライムを捕獲し、その村だか街だかを救ってしまえば……。


「上手く行けば仲間が増やせる、か……」


 俺はぼそりとそう呟いた。

 だが、絶対に出来るとは限らない。

 勿論、失敗する可能性だってある……特に捕獲だ。

 スライムの好物が林檎だという事は分かった。

 だが、それをあげれば確実に懐くのか? そんな事は無いだろう。

 今までが運が良かっただけだ。

 懐かないで襲ってくる可能性がある。

 いや、寧ろそっちの方が可能性としては髙いだろう……。

 だけど……。


「ここでうだうだしてても仕方がない、明日すぐに向かおう!」


 今日は出掛けるには遅く、クリエ達も眠いだろう。

 だからこそ、俺はそう口にした。


 翌日、雑務の方はフリンに任せる事にし、俺達は旅立つ。

 目的地は此処、ファーレンにある街の一つだという事が薬屋のお蔭で分かった。


「さて……」


 俺が振り返ると其処に居るのは見慣れた仲間達だ。

 トゥスさんにチェル、ファリスにクリエ、そしてカイン。

 こう見ると……カイン君のハーレムなのか? と思われそうだな。

 いやぁ……うん、なんというか、うん……。


「どうした?」

「ないな」


 俺がそう言うと彼は首を傾げる。

 と言うか、クリエが正常状態だったら喜びそうな状況だが、彼女は今腕に抱いたライムに頬を摺り寄せてる。

 なんか、羨ましいと思ってしまったのは内緒だ。

 いや、クリエもライムも双方だぞ? って俺は誰に言い訳をしている。


「キューラお姉ちゃん……」

「あ、ああ、そうだな……行こう!」


 待ちくたびれた様子のファリスに名前を呼ばれ俺は出発の合図をした。

 さて……無事街を助けられて、スライムも捕獲できたらいいんだが……。

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[一言] スライムを集めてスライムベッドを!
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