新たな領主は?
ノルンがこの世を去ったあの日から数日。
世次が居なかった彼の代わり……次の領主は後々決める事となった。
レラ師匠が一番有力化と思われたが、彼女は騎士とはいえ本来は奴隷。
奴隷が領主になる事は無理だと彼女は言った。
別に関係ないと思うし、実際に彼女は街の人々に好かれている。
良いと思うんだが、それでも彼女は頑なだった。
困り果てた所をノルンの側近だった老人が後々決める事にしようと告げてきたのだ。
「…………」
「それで孤児院までの街道を作りたいとの事ですが、木材や、人が増えてしまった分の食料……そのほかの物が」
俺と言えばその間、色々と調べていた。
そんな時だ、いきなりそんな事を言われたのは。
「俺に言われてもな……」
俺は兵士の一人にそう口にしかけた。
だが……。
「木材か……所で木を植え直したりしてるのか?」
放って置く訳にもいかない。
そう思った俺は訪ねてみる。
すると彼は――。
「いえ、植え直すなんて事はしてません……」
なるほど、その為に今この街では木々を運び出すのが大変という事か……。
なら……。
「この前、奴隷兵達にあてた家だが、似たような家が確かまだ余ってたはずだ。あそこはもう使えないみたいだけどあの家の材木を使うのはどうだ?」
「……はぁ」
俺の言葉に困惑する兵士。
当然だ家の為に切った材木をそのまま使える訳が無い。
「切って加工すれば使えるはずだ。それと食料だが、奴隷兵達にも農業や狩りを手伝わせよう、彼らは剣を持って戦ったんだ。何も出来ない訳じゃない」
そう言うと兵士は感心したような顔をした。
「なるほど、分かりました。すぐに――」
そう言って去って行く兵士を見つめ、俺はすぐ隣に居た女性へと目を向ける。
呆然と何かを見つめる彼女はいつもこうだ。
「クリエ、行くぞ?」
俺は彼女へと声をかけると、クリエは何かに気が付いた様だ。
何だろうか? そう思って彼女が向いた方へと目を向けると……。
「キューラ様! 奴隷兵達が来た事で不満を持つ者が……」
「………………」
この数日、こんな感じだったが、何故俺なんだ? 溜息をつき疑問に思いながらも彼の言葉に耳を傾けた。




