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273 再会

 単身盗賊と戦い始めたキューラだが、その理由はファリスを隠すことにあった。

 キューラの一声で牙を剥いたファリスは盗賊たちを薙ぎ払い……。

 壊滅させたのだった。

「それで……なんでここが分かったの?」


 チェルは首を傾げながら訪ねてきた。

 俺は現状を説明すると彼女は……ほっとしたような表情を浮かべる。


「そっか、クリエさんは無事なんだね」

「そうとは言い切れない、ライム達がついてるからまだましってだけだ」


 ライムとレムスなら下手な護衛よりはマシだとは思うが……。

 それでもクリエは心配だ。

 きっと俺達の事を探しているはずだろうし、そうなると彼女は旅をしているだろう。

 もしそうなら、いずれ掴まってしまうんだ。


「それでチェル……もう一度力を貸してほしい」


 だからこそ、俺は散り散りになった仲間を集め早くクリエを助けに行かなきゃならない。

 それにはカインやファリス……そして、チェルが必要だ。

 勿論ここにいないトゥスさんも頼りになるが……彼女の情報はまだないからな。

 早く見つかると良いんだが……。


「力を貸してほしいって……」


 しかし、チェルは言いよどむ。

 孤児院が心配なのだろうか? 俺がそう考えていると……。


「ど、どうしたの?」


 チェルはそう言いながら顔を歪めた。

 俺はもしかして変な顔をしていたのだろうか? そう思いつつ彼女に言う。


「いや、孤児院が心配なのか?」

「それはあるよ……だけど……」


 ん? 違う理由があるのか?

 俺は首を傾げるとチェルは大きなため息をつく……。

 本当にどうしたんだ?


「私の力を貸してほしいってキューラちゃん、また無茶をするつもりでしょ! 両腕が焼ける魔法とか使って!!」

「いっ!? いや、それは……」


 確かにあの魔法は俺の切り札だ。

 だが、そう簡単に使える訳が無い。

 何故なら先程チェルが言った通り腕が焼ける。

 そんな魔法を頻繁に使っていたらきっと反省するまでチェルは治してくれない。


「しょっちゅうは使えないって……」


 俺はそんな未来が見え、思わず身を縮こませる。

 チェルは怒らせたらいけない、そう思うからだ。


「本当に?」

「本当だって第一チェルに治してもらった時はどんな魔法かも知らなかったんだ!」


 俺の言葉にピクリと反応を示した少女は瞼が半分降りている。


「何でそんな危険な事をするのかな?」

「あーいや、それは……」


 あの時は無我夢中だったとしか言いようがな――。


「でも、確かあの偽勇者殴った時も炎の魔法だったよな?」

「カイン!?」


 君は何を言ってくれているんだ。


「キューラちゃん?」


 ほら、チェルが怒った!! ヤバいぞここはファリスに……と思ったが、ファリスは何処に居るのだろうか?

 そんな疑問はすぐに晴れる。

 何故か彼女は後ろに隠れていた。


「ファリス?」

「逆らったら……きっと怖い」


 ああ、強いファリスでさえ怖がっている彼女は一体何者なのだろうか?

 そんな事を思いつつ、俺は――。


「何であんな魔法を使うのかな!?」


 再びチェルに怒られてしまうのだった。




「……でも」


 一通り怒った所でチェルは言葉を詰まらせた。

 どうしたのだろうか? 俺が疑問に思ってると彼女はその瞳に涙を溜めている。

 そして、カインの方へと向くと……。


「良かった、カイン君もキューラちゃんも無事で」


 そう言って涙を流すとカインは大慌てだ。

 全く……俺の事を心配してくれたのは事実だろうが、本当に心配で心配でたまらなかったのはカインの事だろう。

 何せ彼は全く目を覚まさなかったんだからな。

 あの時食事を取らせるために口移しまでしてたんだ……。

 彼女がカインの事が好きだって事は知っている。


「何言ってるんだ! 何とかなるって!」


 そう笑うカインだが、彼はやはり心配だ。

 何故なら彼は仲間の為なら命を張る……きっとそう言う奴だからだ。


「だってカイン君は!!」


 チェルはそこまで言うとはっとし……俺の方へと向くと頬を膨らませる。


「キューラちゃん! なにニヤニヤしてるの!!」


 おっと……いけない、何故だか彼女達のやり取りはつい頬が緩んでしまう。


「キューラちゃんも! 二人して無茶するんだから!」

「って話がぶり返ってる!? 待て待て待て……だからその無茶をしないためにだな!!」


 俺はまた怒られる。

 そう思い、彼女へと話を伝える。


「俺達の見張り役……なんて言うかそう言った人が必要だ……俺達にはクリエを助けるって目的があるんだ」


 俺達というか俺と言った方が良いだろうが、きっとこれにはチェルも首を縦に振ってくれるはずだ。

 するとチェルは黙り込んでしまい。


「それは……そう、だけど……」

「なんだ?」


 やけに歯切れの悪い……一体どうしたというのだろうか?

 俺は彼女に尋ねてみる事にした……。

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