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260 トロール対策

 キューラはただ世話になるというのは気が引けた。

 だからこそ、手伝いを申し出たのだが……。

 彼らが困っているのはトロールだった。

 それはオークとは違う意味で脅威となる魔物だ。

 貴族ノルンの協力を得た。

 だが、その彼がトロールの事で悩んでいる。

 しかし、トロールの体臭には興奮効果があり、女性は危険だ。

 かと言って放って置けばいつかは被害が出るだろう。

 俺なら大丈夫……そう思っていたが女になっている以上、危険かもしれない。

 ファリスは勿論危ないから連れて行けない、となるとカインと一緒に行くしかない。

 だが、もし興奮してエロ同人展開になったり、カイン相手になんて事はしたくない。

 と言うか御免被る。

 俺の中でそうぐるぐると思考が巡る。


 とはいえ、どうにかしなくてはならないのは当然だ。

 臭いの対策をしつつ、トロールを退治する。

 下手に倒してもそこに死体が残ったら意味が無い。

 もしゾンビになったりしたら、そのまま来るかもしれないからな。

 しっかりと処理しないとまずい。


「さて、どうしたものか……」


 俺はそんな事を口にした。

 だが、それで解決する訳が無い。


「この街の兵士は使えそうなのは何人ぐらいいる?」


 俺がノルンへと尋ねると彼は――。


「国ではない、私の持つ兵力はそんなに多くはないからな……先ほど言った女性の騎士が一人、男の多くは街の警護などに当たっているがトロールに匹敵する、また際立って腕の立つ者は居ない」


 おいおい、つまりこの街はその騎士の女の子のお蔭でもっているのか。

 つまり、こっちの戦力はカインだけと言っても良いぐらいだ。

 遠くから指示を出し、トロールを退治しようかと思ったが、それじゃ意味が無い。

 いくらカインでも一人じゃ……。


 誰か、腕の立つ奴が……。


 俺はそこまで思ってはたと気が付いた。

 いるじゃないか! 腕が立ち、男でトロールの影響を受けない奴が……。

 そう、それはアイツだ。


「勇者は今どこにいる?」


 名前は忘れた。

 だが、あいつは力任せな攻撃でカインよりは弱かったとはいえ、その馬鹿力は頼りになる。

 なら、使わない手はないだろう。


「あいつなら今地下で幽閉中だ」

「なら戦力として使え、報酬はそうだな……この街からの追放……つまり解放だ」


 俺はそう提案した。

 だが当然ノルンは顔をしかめる。


「しかしだな、あんな危険な勇者」

「危険だがその戦力は使える、他に人が居ないなら使うしかない」


 俺は改めてそう伝えると彼は溜息をつくのだった。


「それは分かっている、だがあれは勇者だいずれ思い上がり、また――」

「そん時は俺がまた止める……絶対に探し出して止めてやる」


 俺がそう言うと彼は悩んだそぶりを見せた。

 しかし、自分の騎士を犠牲にする訳にはいかないそう考えたのだろう。


「分かった、貴方を信じよう」


 俺は彼の言葉に頷いた。

 さて、これでカインとあの勇者。

 そして、男の兵士達……少なくともカインと偽勇者の二人は強いはずだが……。


「カイン……」

「ん?」


 俺はカインの方へと向き、彼の名を呼ぶ。

 勿論頼みごとをするためだ。


「お前は隊の指揮を取れ、俺が全体の指揮を取るがもしも、予定外の事が起きたらすぐに対処できるように頼む」


 正直に言うと不安だ。

 カインは猪突猛進の所があるからな。

 だが、それでもいざという時の彼は頼りになる。

 チェルも信頼するほどなんだ。

 この場は彼に頼むのが得策と言える……はずだ。


「指揮って俺は冒険者だぞ! そんな事……!」

「分ってる、だけど実力があって戦闘の経験が多いのはお前だ」


 俺がそう言うと彼は困った様なそぶりを見せた。

 強いと言われても思い上がらない。

 彼の良い所だな……。


「これは練習だと思っておけばいい、クリエを助ける時実際に軍で行くかもしれないんだ……そうなったら実力があり、信頼が出来る奴が先頭に立つ……その候補の一人はお前だ」


 クリエが捕まってしまった時は国が相手だ。

 それこそ戦争を仕掛ける気持ちで行かなければならない。

 そうなった時、有能な奴を遊ばせてるほど俺は馬鹿じゃない……その程度の脳はある。


「軍って……まぁ分かったよ、それでトロールを倒せばいいんだろ!」

「ああ、だけど相手はトロールだ無茶だけはするな」


 性欲が強く、力も強い。

 だから生半可な戦力じゃ太刀打ちできない。


「それでは我が兵も連れて行くのか? どう戦うつもりだ?」

「ああ、今から説明する」


 俺は頷き彼に答える。


「戦い方は単純だ……」


 まず、足の速い兵士にトロールが何匹居るか調べさせる。

 そして、弓、魔法が得意な兵士を射程ギリギリに配置。

 まずはそれで体力を削り、近くに来た時に遠距離部隊は撤退。

 カインと自称勇者に止めを刺させると言うものだった。


「なるほどな……確かにそれであれば安全かもしれんが、カインは平気なのか?」


 ノルンはカインの事を気にしてくれる様だ。

 だが……。


「カインは素早いし、いざとなったら逃げきれる。それに剣の腕もあるし分厚い鉄扉を壊すほどの潜在能力があるんだ」


 俺がそう伝えるとカインは――。


「それ魔法受けてじゃなかったか?」


 そんな事を言っていたが、それでもあれはカインの実力だと思うんだがな……。

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