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239 向かう先は……

 街を出たキューラはファリスと共に進む。

 どうやらそこは中央歳の近くではないか? というファリスに対し……。

 なら、クリエが捕まっているだろう都市に行く事を提案するキューラ。

 余りにも無茶な事にファリスは突っ込むが……キューラもそれを分かっていた。

 そもそも、道が分からない状況で彼らは何処に進むのだろうか?

「ふぅ……」


 武器の無い戦闘だったが、ファリスがタイミングを合わせてくれたおかげもあり、なんとかなった。


「けど……武器、無いと困るな」


 俺がそう呟くとファリスもコクコクと頷く……って、ん?


「そう言えばファリス……お前武器を作れるんじゃないか?」


 確かファリスは大鎌を作り出せるはずだ。

 それは魔王の力だと思っていたが、助けに来てくれた時はしっかり大鎌を握っていた。

 恐らくあれはファリス個人の力だと思うんだが……。


「できるけど、つかれる」


 ああ、なるほど……。

 それじゃ無理に使えとは言えないな。

 まぁ、ファリスはいざとなったら接近も行けると分かっただけマシだ。


「さて……問題は何処に行くかだが……」


 冷静に考えるとクリエが居るだろう中央都市は無い。

 今俺達が行っても結局掴まり、殺されるのがオチだ。

 もしくは俺達を餌に他の仲間を釣ろうと考えるかもしれない。


 次に近辺の街や村……って考えたんだが……。

 これも難しいかもしれない。

 ファリスはともかく俺は一度掴まっている、その上の脱走だ。

 指名手配なんて事もあり得る。

 そうなれば入った瞬間掴まるのがオチだ。


「参ったなぁ……ファリスお前は顔を見られてない、なんてことあるか?」

「むずかしい、と思う」


 だよなぁ……なら地図にも載ってない街や村って事になるが……。

 それがあの街だった訳だし、他にもあるとは限らないっとなると……。


「暫くは野宿か……道具も無いのに、厳しいな」


 そう言った後俺は大きなため息をついた。

 ああ、あの街で我慢をして道具だけでもそろえてもらえば良かったと思う反面。

 あの街の人にこれ以上、恩を受けたくないとも思うが……背に腹は代えられないともいうしなぁ。


「あのまちはきらい……」

「俺もだ……それに今更戻って道具を下さいは無いよな……」


 俺はそう呟いた後、前を向き……。


「とはいえ、このままで良い訳が無い、取りあえず進もう……旅小屋かなにかがあればそこで何とかできるはずだ」


 依頼も少なからずあるだろうし、行商人から道具だって買えるはずだ。

 問題はどこまで情報が広がっているかだが……レムスが居てくれれば確認もできるというのに……俺の大事な使い魔の二人は何処にもいない。

 これは本当に……参ったな。




 暫く進み、俺達は運良く小屋を見つけることが出来た。

 いや、運が良いというよりかは街道に出たから何とかなったという話だが……それでも、寝る場所だけ確保できたのは大きい。


「すみません」


 俺達は扉をノックし開けてみるが、誰も居ない。

 カウンターも生活感も無いから旅の小屋と言っても誰かが建ててそのまま放置している場所みたいだ。

 部屋の中を歩くと土や埃が多く、一泊と言っても少し掃除しないと駄目そうだ。


「だけど、十分すぎるな」


 俺がそう言ったのはベッドはない物の毛布を見つけた事。

 そして、なにより床が抜けていないし、まだ俺達が乗っても底が抜けるなんて事がなさそうだという事。

 その二点だ。

 問題は……。


「……ご飯」

「だな、近くに川があったから水はそこで汲もう」


 ライムが居ないから一回沸かさないと駄目だな。

 だが、食事の方は……。


「少し掃除して、寝る場所を確保したら探しに行こう」


 まだ日が高い内にこの家を見つけられたのは大きいな。

 そう思いながらファリスに提案する。


「うん!」


 幼い少女は笑みを浮かべ、頷いてくれた。


 それからすぐに俺達は水を汲み掃除を始めた。

 道具なんてほとんどなかったが襤褸布がとロープがあったおかげで部屋の中を掃除するのとロープを木の間に渡し毛布を干す事は出来た。

 だが……。


「思ったより時間がかかったな」


 大分日が傾いて来てしまった事に気が付いた俺達はその足で狩りへと向かう。

 狩りと言っても武器が無いんだ……動物や魔物を狩るのは難しい。

 魔法でなんとか出来ない事も無いが……。


「あった!」


 俺が悩んでいるとファリスは木を登り始めた。


「ファリス?」


 俺が疑問に思い彼女の方へと目を向けると其処には林檎がなっている。

 なるほど、確かにそれなら……狩りをしなくとも手に入る。

 出来れば肉や魚が取れれば尚いいんだけどな、贅沢すぎるか。


「ファリス、それを落としてくれ! 明日の分もな」


 俺はそう言うとファリスは頷き林檎を数個落としてくれた。

 それを落とさないよう受け取り……日も傾いている事から俺達は小屋へと戻る事にした。


 取りあえずは今日を生き抜く事は出来た。

 だけど、明日からどうする?

 武器もない、道具も無い……こんな状況でクリエを助けられるのか?

 ましてや街に入れるのかも分からない。

 もし入れないのだとしたら……これから先どうなる? かと言って確かめるにもリスクが大きい。

 俺達が捕まってしまえばクリエがどうなるかは一目瞭然だ。

 そう思うと俺は溜息が止まらなかった……。

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