見知らぬ場所……
目覚めるとキューラは知らない部屋に居た。
いつも横に居るはずのクリエの姿は無く、またライムも居ない。
代わりにファリスが隣に眠っていた事に疑問を抱きつつ、彼は鏡を見る。
するとそこに映ったのは普段の自分ではなく……慌てるも変化が無いとファリスに言われてしまう。
もう一度、彼は鏡を見ると其処には普段の自分が映っているのだった。
「大丈夫? キューラお姉様」
心配そうに俺の顔へと手を伸ばす少女ファリス。
だが、俺は答えてやることが出来なかった。
瞳の色が変わって、またすぐに変わった。
俺自身何が起きているのか分からない……。
それに此処は何処だ?
先程訪ねてきた男性は誰かを呼びに行った様だが……。
そんな事はどうでもいい。
なんでファリスしかいない? トゥスさんは? イリスにヘレン……ライムにレムス。
カイン、チェル……そして、クリエ……皆は何処に行った?
もう一度窓の方へと目を向けてみる。
ここからだと外はたいして見れないが、青空が広がっているのは分かる。
「ファリス、何が起きたんだ? 俺達は今どこにいる?」
俺が訪ねるとファリスはゆっくりと首を横に振る。
「ここは分からない、ただ……何が起きたのかも」
そりゃそうだよな。
俺が分からない事をファリスが知っている可能性はある。
だが、あの状況じゃ彼女もなにが起きたかなんて分かるはずがないだろう。
「……怒った?」
「怒る訳ないだろ? ファリスだけでも無事が確認できてよかった」
1人もこの場に居なかったら俺は何を考えていたのだろうか?
少なくとも俺とファリスが無事という事は他の奴らも無事である可能性がある。
心配じゃないか、そう言われると心配である事は変わらない。
だが、情報が少ない今のこの状況では十分すぎる情報だろう。
そんな事を考えていると再びノックの音が響く……。
「――っ!!」
すると少女は俺の前へと出てまるで守るかのように扉を睨む。
「ファリス、大丈夫だ……」
俺はそんな彼女を落ち着かせるように頭を撫でると扉へと向かい言葉を投げかけた。
「誰だ?」
っと……。




