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185 宝石喰いロクタ

 鉱山へと向かったキューラ達。

 だが、そこはどうやら危険だという事で入るのを止められてしまう。

 しかし、キューラ達には目的があるという事を告げ、何が起きているのかを尋ねた。

 すると、鉱山の中には宝石喰いという珍しい魔物が住み着いてしまった様だ。

 更にはその宝石喰いはドラゴンの様に火を吐くとの事……果たして無事宝石を手に入れられるのだろうか?

 洞窟の中に入ると其処には魔物がうじゃうじゃとは……いなかった。

 ランタンの火をつけ奥へと進むが、静かな暗闇が続くだけだ。


「…………」


 俺とクリエは黙り込んだまま、生唾を飲み込む。

 その理由は簡単だ。

 これだけ静かと言う事は兵が言っていたロクタの突然変異は相当危険な魔物と言う事だからな。

 他の魔物が逃げたのか、それとも喰われたのか焼かれたのかは分からない。

 だが、ここまで一匹も居ないとなると……。


「気を付けて進みましょう」

「ああ……レムス、俺かライムからは絶対に離れるなよ」


 俺は念のためレムスへとそう告げる。


『かぁ!』


 大きな羽を羽ばたかせながら小さな声で答えたレムスは俺の腰の位置で飛び始める。

 ライムは氷の魔法以外なら大丈夫だが、レムスはそうはいかないからな……。


「ライムいざって時は皆を守ってくれ、良いな?」

『…………』


 ある意味最強の魔物でもあるスライムのライムは俺の頭でプルプルと震えているがこれはきっと分かったという事だろう。

 なんとなくだが、彼? 彼女? の言う事は理解できるような気がする。

 まぁ、付き合いが長いしそれだけな……。

 そんな事を考えているとライムは小刻みに揺れ始めた。


「わ、わかってる……終わったら林檎やるよ」


 報酬として林檎を要求してきたライムに対し、そう答えると今度は頭の上でくつろぐようにその身体をとろけさせる。


「ラ、ライムちゃんの言ってることが分かるんですか?」

「ああ、多分、何となくだけど……」


 と言うか今のは林檎が欲しいんだなって思ったんだが、当たってたのか。

 うん、本当に何となくだけど前から間違った解釈はしてなかったみたいだし、使い魔と主人の繋がりかなにかがあるのだろうか?


「とにかく、気を付けて進むんだろ? 辺りに警戒をしよう」

「そうですね……」


 再び歩き始めた俺達は辺りへと警戒をするが、聞こえるのは俺達の足音だけだ。

 魔物の気配がない、とはいえ洞窟は奥へと続いている……。

 するとロクタという魔物は相当奥に居るのだろうか? いや、まだここで安心して進むのはマズイ。

 何処に居るか分からないんだ、突然火を噴かれる可能性だってある!


「…………」


 俺はランタンを高く掲げ、辺りを見回す。

 だが、気になる様なモノは見えず……。


「まだ何もいないな……」


 そう言って角を曲がり前に進もうとした時だった。


「音……? !? キューラちゃん!! 危ないです!!」

「へ?」


 クリエの悲鳴が聞こえた時にはもう何もかも遅かった。

 焔が俺へと向かって走って来た。

 避ける事も出来ず――俺は思わず腕で身を守ろうとしたが、相手は炎。

 無駄だ……。

 分かり切っていた。

 すると……ライムは俺の前へと躍り出てその身体を変えていくと俺を包み込む様にし――。


「ラ、ライム!?」


 俺を守って!? 確かに頼むとは言ったが、大丈夫だろうか?


「キューラちゃん! ライムちゃん!!」


 クリエは盾を構え、俺の前へと躍り出る。

 くそ……俺は何をしている。

 俺を守ってくれたライムは元の姿に戻るが、無理をさせてしまったのだろうだらりと溶けていく。


「ごめん、ライム……!」


 俺は剣を構え正面を見据える。

 そこには巨大な魔物の顔が見え……見てって!?


「でかすぎだろ!? 壁じゃなくて魔物かよ!?」


 曲がり角の先は魔物の顔だけが見えた。


「どうやら、ご飯を食べ過ぎて成長し過ぎてしまったみたいですね」


 成長って……いくらなんでも成長し過ぎだろ!?


「あれが……ロクタ……」


 ってこのままここに居たら危ないじゃないか!?


「クリエ一旦下がるぞ!!」


 俺はそう言うとライムを片手で抱え、角へと目を向ける。


「分かりました!」


 クリエは俺の提案を受け入れ、角へと避難し俺はその後を続く……そのすぐ後ろを炎の息が通り過ぎ……。


「っ!?」


 熱いなんて簡単な言葉で済ませられなかった。

 だが、ここで引く訳にはいかない……息が消えた所、奥へと目を向けてみると……。


「あった……」


 熱せられた壁からは赤い光が見える。

 あれが目当ての宝石だという事は情報から確かな物だろう……。

 どうにしかしてあの魔物を倒し、手に入れないとな……。


「ルビーはまだあるみたいですね……どうしましょう?」

「ああ、待ってくれ」


 本来ならクリエの水の魔法でと言いたい所だが、彼女は魔法が使えない。

 なら、俺の魔法か? 岩を討ち込んでも良いが、中途半端な魔法は通じ無さそうだ。

 水の代わりに氷ならどうだ? いや……やってみない事には分からないが……効果があるのだろうか?

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