新しい街へ
アンデッドを撃退することに成功したキューラ達。
だが、彼には一つ疑問が残った。
キューラの身体についてだ……魔力が多くなったのか、それとも別の原因か?
彼は今まで以上に魔法を使っても魔力痛を起こさないのだった。
あれから更に歩く事……。
「よ、ようやく見えてきた……」
俺は目の前に見えてきた街に安堵しながら口にした。
馬車を失って早4日……あれからは幸い相性が悪い魔物には出会わなかった……とはいえ、今戦えるのは俺とクリエだけ……。
その所為かトゥスさんがずっとイライラとしており、ひやひやしていたのだ。
「これでトゥスさんの武器が作れるな?」
俺は彼女にそう言うと、先程火をつけて上げた煙草を吸うエルフらしからぬ女性は――。
「無理だね」
と答え……え?
「ど、どういう事ですか?」
予想外の言葉に俺は固まり、クリエは問う。
「クリエの言う通りだ……どういう事だよ……だって、街に着けば……」
探せば材料があるはずだ。
それなら作れる……。
「銃を作るにはより丈夫にするために合金を使う、これ自体は探せばあるはずだけどね、でも型が手に入らないんじゃ、お手上げだね」
か、型……? そうか、武器を作る為に型が必要なのか……。
あれ? でもそれなら、良い手があるんじゃないか?
「前に使ってた散弾銃はどうなんだ?」
あれなら修理すれば、済むんじゃないか?
だとすれば無理に型を手に入れる理由も……。
「無理だね、あれは完全に壊れたからね、修理じゃ追いつかない」
「そう、ですか……」
しょんぼりとするクリエ……でも彼女がそう思うのも無理はない。
トゥスさんが戦えないんじゃ俺達は戦力が落ちる。
彼女の銃の腕は頼りになるんだ……。
「弓はどうだ?」
俺は訪ねてみると彼女は首を横に振り……。
「キューラは弓を何だと思ってるんだい?」
「数々の英雄の武器」
過去の世界の戦国時代でも弓は英雄の武器でもあったが、それはこっちの世界でも同じだ。
だと、思ってたんだが……。
「それは本当に腕のいい奴だけの話だよ、それこそ一発で急所を狙えるような奴じゃなきゃ弓は役立たない……精霊石を付ければそれなりに使えるだろうけどね、銃より高くつく」
そ、そうなのか……。
「あ、ルードに着いたみたいですね、私入国の為に行ってきますね」
「俺も行くよ」
俺はそう言ってついて行く……彼女が心配だというのが一番の理由だが、もう一つ行かなくてはならない理由があった。
「あ、レムスちゃんの事ですね? 一緒に手続きもしましょうか」
クリエはそう言って笑顔を見せてくれたが……それは何処か悲し気な笑みだった。




