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164 不調での戦い

 キューラ達は新人冒険者の事は気になりつつも先へと進む。

 だが、冒険者達を救うため魔力痛を伴ったキューラ。

 彼の魔力痛は収まる事が無く……不安感じていた。

 そんな時、何かに襲われたキューラ達……それはキューラも知る魔物……オークだった。

 参ったなんてもんじゃない、絶望だ。

 戦える二人は倒れ……残っているのは俺だけ。

 魔力痛は一向に収まらず風邪の症状も悪化している……。

 お蔭であたまはぼーっとし、クソっ!! それを理由にこんな所で死んでたまるか! 死なせてたまるか!!

 考えろ、行動しろ! 何にしても動けるのは俺しかいないんだ!!

 いや、ライムは居る、レムスもどこかに居る! 一人じゃない……手を打て……。


 そうこう考えている内に檻は無くなってしまい、涎を垂らした魔物は俺達へと迫る。

 簡単に捕まったとはいえ、オークは賢い相手を侮る事は無く腕は頑丈に縛られそう簡単には逃げ出せない。

 だが……。


「ライム、縄をほどいてくれ……」


 それはあくまで逃げる手段がない奴の場合だ。

 俺は当てはまらない、とはいえ、ライムではすぐに溶かすことはできない。

 じわりじわりと溶かすのがスライムの特徴だ。

 だが、それでも縄は緩くなる。


「――っ!!」


 俺は縄から抜け出し、迫った牙を避けるために横へと転がる。

 そして――。


「シャドウブレード!!」


 奴の大きな体を逆手に取り、影から魔法の剣で突き刺す。

 当然、俺にも痛みはあったが、歯を食いしばり何とか魔法は形になった。

 しかし、一発で仕留められるほどじゃない。

 魔物はその瞳を怒りに染めるとこちらへと再び牙を突き立てようとし、反抗した事に怒ったオーク達は武器を構えた。


「ライム! 皆を守ってくれ!! レムス見てるんだろ!? 牽制を!!」


 すぐさま俺は使い魔達に命を下すとライムは近くに居る二人を守る様に移動をしレムスは空を飛び、魔物達へと襲い掛かる。

 レムスのお蔭で魔物達は気を取られてくれた。

 これで、隙は先程よりも大きい……だが、どうやって仕留める?

 ペットの方は俺を睨んでいるし、今にも襲い掛かって来そうだ。

 いや、待てよ? こいつはペットだ……。

 少し、いや……かなり無理をするが、何もしないよりは効果があるかもしれない。

 俺はなんとか立ち上がり……。


「闇の申し子……魔の血の後継者……我は望む、我が怒り剣となりて……その力、我が敵が我を畏怖する為に……っ!!」


 魔法を唱え始めた。

 詠唱を唱えると隙だらけになってしまう、そこを狙い魔物は牙をむき出し此方へと向かって来る。

 だが、もう遅い!!


「シャドウブレード!!」


 今の身体ではこれ以上の魔法は強化して使えない。

 いや、現状でもかなり厳しい……願う様に紡ぎ出した魔法は何と形になり、地面からは次々に漆黒の刃が突き出た。

 そう……地面から次々に、狙いは――。


『ガッ!?』


 この魔物の主人であるオーク達だ……!!

 オークはその巨体に見合った鈍さだ……しかし、全部を貫けたわけじゃなく、何匹かには避けられてしまった。


「チッ!!」


 俺は舌打ちをしつつも痛みに耐えその場に立つ。

 たった一回の魔法、それでまた限界を迎えた様だ……だからと言って倒れたり、諦めたりする事なんて出来はしない……。

 俺は……仲間をクリエを守らなきゃいけないんだ!!

 そう思うと左目が熱を帯び……不思議と身体の痛みが治まっていく……。


 どういうことだ? 不思議に思いながらもこの現象は覚えている。

 魔拳が使える時だ……だが、身体の方が持たない……。

 ここを切り抜けても二人が起きない以上、俺が動けなくなるのは得策じゃない。


『グギャァァァァ!!』

「――っ!?」


 俺の変化を見てか、それとも関係なしか……どっちでも良いがオークのペットは再びこちらへと向かって爪を突き立てようとする。

 主が殺されたからだろう、怒り狂っているのが分かり、何処からか別のオーク達も集まって来て俺を指差し弓や槍を構えている……。

 どうやら、危険だと判断された様だ。


「グレイブ!!」


 どういう訳かは分からない、だが魔力痛が収まっているのなら好都合だ。

 魔法を唱えペットを撃ち抜くと……俺はオーク達に向かって笑みを浮かべた。


「さぁて……良く分からないが、調子がいい……」


 自分でも口にしたが魔力痛や風邪の体調不良も何処に行ったのか不思議なぐらい驚くほど調子が良いのだ。

 先程放ったグレイブも無詠唱だというのに何時もの威力ではなかった……。

 これなら……これなら、いける!!


「クリエ達には指一本触れさせないぞ!!」


 一度も言ったことの無い言葉を口にするほど、自信が溢れ……俺と魔物の群れとの戦いが始まった。

 とはいえ、相手はオーク……知恵があり、決して弱くはない魔物だ。

 一度の判断ミスが死につながるという事は十分にあり得るし、調子が良いと言っても風邪なのは変わらないし、いつまた魔力痛になるかこっちは分かった物ではない。


「………………」


 魔法は計画的に使わないといけないな……そう思いながら近くにあった死体から剣を取り構える。

 その重さにふらついてしまうが……これしかないのだから仕方がない。


「どうやって戦うか……これが問題だな」


 魔物達を睨みながらそう呟いた時、一匹のオークは此方へと向かってきてその巨体から鋭い一撃を放ってくる。

 何とか避けた俺は剣を振るうも――。


 遅い――!!


 普通の剣では避けられてしまった。

 クソ!! 後の事を考えるとあまり魔法には頼りたくはないんだが……少し作戦を考えないといけないな……。

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