始まりの日
キューラに対し、何かをしようとしたクリエ。
だが、それは彼女の思い通りではなく……。
困惑した彼女は呆然とする。
「なんで……なんで……言う事を……」
クリエは言葉繰り返し、がっくりと膝を折ると涙を流し始めた。
俺と言えば彼女を泣かしてしまった事におろおろとし、どうしたら良いのか分からない。
と、とにかく泣き止ませないと! そう思い彼女へと近づくと……。
「クリエ……」
「キューラちゃんの馬鹿!! 馬鹿です! 馬鹿!!」
なんと語彙力のない罵倒……。
「あ、あのなぁ……」
そして、トゥスさんは急に変わった雰囲気に耐え切れなくなったのだろう笑いをこらえていた。
「トゥスさんもです! 馬鹿です! 私を本当に助けたらどうなるか二人とも知ってますよね!?」
またそれか……どうせ殺されるなんて言われるんだろ?
「「だからなんだ?」」
「……え?」
いずれ王貴族たちが敵となり向かって来るのは分かっている。
だが、少ないなりにもまだ時間はあるんだ……。
力……は貰った……後は俺自身の実力を上げるしかない。
だけど……その前にまるで不幸な運命を背負った姫の様な勇者を安心させなきゃいけないな。
今の話を聞く限り、この子はきっと本当に助けてもらおうとは考えてはいなかった。
でも、それじゃ駄目だ……。
「必ず、助ける……何があってもクリエの事は絶対に! 俺達も死なない、だから……もっと頼ってくれ、今はまだ頼りないかもしれないけどな」
俺は彼女にそう告げたんだ……。




