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117 猪は酒のつまみ?

 森、花、そして動物それらを愛し清楚にいきる種族エルフ……。

 そう思い浮かべていたキューラとクリエは知りたくもな事実を知りながらも森の中を進む。

 そんな中、彼らは魔物と遭遇し、問題のエルフであるトゥスはその魔物をつまみにし酒を飲むつもりのようだ……。

 雑魚と言われる魔物とはいえ、相手は魔物。

 危険には変わりないっと警戒する俺とクリエを余所にトゥスさんは鼻歌交じりで銃を構える。

 当然、猪だって俺達を外敵とみなし突進をしてきた。


「トゥスさん、下がってください!!」


 危険だと判断したクリエはそう忠告するもトゥスさんはただ静かに狙いをつけると……銃の引き金を引く。

 辺りにはまるで雷の様な轟音が鳴り響き……。


「……お、おい……なんだそれ?」


 俺は倒れた猪を指差し彼女に尋ねた。


「銃だよ」

「見りゃわかるよ!? 俺が聞きたいのはそうじゃなくて! そんな威力じゃなかったろって事だよ!?」


 俺は見事に頭を撃ち抜かれた猪を見つつ叫ぶ。

 というか確かに一撃だけど、軽く頭が吹き飛んでるぞ!?


「そりゃ、たった今試したんだからね、いや、案外吹っ飛ぶものだね」

「あ、あの……これはいくらなんでも危険すぎだと思います……」


 全くだ! 試したとは言う物のこんな弾がもし、クリエに使われていたらと思うだけで恐ろしい。

 大体精霊銃ってなんなんだ? 地球でも銃と言う物はあった……実物は見たことが無いが、はっきり言ってその威力を越しているはずだ。

 散弾銃でもないのに頭が吹き飛んでるんだからな。

 しかし、なんとまぁ……素晴らしい命中率。

 見事に頭だけだ、死ぬ時のストレスもかからなかっただろう……。


「さて、処理をして食事の準備をするか」


 彼女は嬉しそうにそう言うと猪の元へと近づくのだった。

 それを見て俺はふとある事を思い出した。

 そう言えば牙は素材になったはずだ。

 しかし、あの猪の牙はへし折れてしまっている。

 あれじゃ使い物にならないな……少し残念だ。


「え、えっと私達も準備しましょうか?」

「そ、そうだな……」


 そんな事を考えながら、クリエに返事を返した俺はトゥスさんと共に処理を済ませるのだった。




 その後、クリエの手による調理が始まり……トゥスさんは酒を用意する。

 やっぱり、この人お酒を飲みたかっただけだな。

 しかし、本当にエルフって一体なんなんだろうか?


「うーん……」


 俺がトゥスさんの方を見てエルフの事を考えているとクリエが首を傾げている。

 どうしたのだろうか? 気になって彼女の元へと近づいてみると……。


「キューラちゃん?」

「どうしたんだ?」

「その量が多いので色々作ろうとしたのですが……」


 なるほど……食べきれないという訳か。

 確かに3人で食べるとはいえ、猪丸ごと一匹は難しい。

 だが、干し肉を作るには時間が無いし、かといってこのまま放置しておけばそれはそれで魔物を呼び寄せる結果になる。


「仕方ない、残った分は焼いて処理をしよう」

「そうですね、残念ですがそうしましょう」


 魔物が来なくてもアンデッド化したらたまったもんじゃない。

 実際に動く死体なんてモノは見たことはないが居る事は居る。

 痛みを感じず、その身体が破壊されるまで動き続ける魔物……それがアンデッドだ。

 遭遇したらベテランの冒険者でも避ける程危険だと言われてる。

 そりゃそうだよな……攻撃しても怯まないで向かって来るんだから……。


「まだかい?」


 俺が考えごとに身を震わせていると、トゥスさんの催促する声が聞こえ、クリエは慌てて調理を再開した。

 なんかこの様子だけ見てると亭主関白な夫みたいだな、トゥスさんは……。


「お嬢ちゃん、今なんか変なこと考えなかったかい?」

「いや、何も!?」


 そして、勘が鋭いな……!?

 それとも俺は顔に出るたちなのだろうか? そうだとしたら気をつけないといけないな。


「……ま、良い。それより火をくれないかい?」

「あ、ああ……」


 深く突っ込む気は無いようで助かったが……火をつけていて思った。

 すっかりエルフであるトゥスさんが煙草を吸うのと酒を飲むのには慣れたな……っと、その内森の中をイライラしながら進む彼女にもなれるのだろうか……?

 それどころか、彼女が紹介すると言ったようなエルフにもなれるのだろうか? そう思うとなんだか悲しくなってくるな。


「クリエお嬢ちゃん!」

「ま、待ってください!? そんなすぐには出来ませんよ!?」


 そして、この催促する様はやっぱり何処か亭主関白な旦那っぽさがあるな……。

 再びそんな事を考えていると彼女は此方へと真剣な顔を向けてきた。


「ど、どうした?」


 もしかして、今の考えがバレタのだろうか? そんな事を警戒していると返ってきた言葉は……。


「お嬢ちゃんの魔力が戻らない」

「へ?」

「だから、クリエお嬢ちゃんの魔力さ……普通ならもう戻っても良いぐらいだ……あの子の事しっかり見ておいた方が良いよ」


 ど、どういうことだ? あれから何も言わないからてっきり戻っているのかと思ったのだが……戻ってない?

 それにしっかり見ておいた方が良いって戻らないと体に悪影響があるのだろうか?

 奇跡が使えなくなった……それは喜ばしい事だ。

 だが、もしクリエの身に良くない事が起きるなら……それは……。


「どんな影響があるんだ?」

「身体には特に影響はないさ、ただあまり魔法を使わせちゃ駄目だ」


 トゥスさんは真剣な顔で俺にそんな警告を告げるのだった。

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