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この美しくも残酷な世界で異世界生活  作者: ヤジャ
第二章 試練
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第八十話 初勝利

 アウグストスはウルナが蹴ったことによって飛んで言った剣を拾う。

「次は誰だ。」

「俺が戦おうか。」

そう言ってアランが立ち上がる。

 さあ、今までずっと超えることができなかった壁だ、だが今ここで超えさせてもらおう。俺はそう考えた後剣を抜いて構えた。

 アウグストスが拾った剣を構える。

「お前たち二人は魔族の姿のままでいるつもりか。」

「あっ、忘れてました。」

ウルナとブリナキアがそう言って人魔じんま腕輪うでわを取る、するとウルナとブリナキアの姿がもとに戻る。

 アランがアウグストスに向かって走り出す。

「そうだ、お前の強さとはなんだ。」

「お前を超える強さだ‼」

アランがそう言ってアウグストスに向かって剣を振り下ろす、するとアウグストスは後ろに下がりアランの剣を避けた後左下から右上へかけて剣を振り約九十度右へと回り込みそこから左下へと剣を振り下ろす、だがアランはその攻撃をすべて避ける。

「避けてばかりでは俺を超えることは不可能だぞ。」

アウグストスはそう言って体を左側へとひねりながら剣を左上へと持ってくる、そしてひねった体を戻しながら剣を右側へと振りぬく。

「俺はずっとお前を超えることを考えていた、だから勝つことだけを考えてこの塔を上ってきた。」

アランはそう言ってアウグストスの剣を剣で受け止める。

 俺だって今までずっと何もしてこなかったわけじゃない、確かに実力が付いてきていることはクラーケンを倒したことやこの塔の前で男と戦った時に分かった、だからと言ってこいつに勝てるとは限らない、だけど前にこの塔を上った時と違うのは力がついたことだけじゃないことをこいつに見せてやる。

 アランが少しの間目をつむる。

「ウォル、出てこい‼」

アランがそう言うとアランから緑色の光が飛び出る。

「ほう、風の微精霊か。」

アウグストスはそう言ってあごのひげを触る。

「風だけと思っていると足元をすくわれるぞ、みんな出てこい。」

アランがそう言うと赤色の光と水色の光と茶色の光と白色の光と黒色の光が現れる。

「ついにすべての属性の微精霊をそろえたんだ、俺はここにいる子の微精霊たちと共に戦う。」

アランがそう言い剣を構える、するとアウグストスがアランに向かって左下から右上に剣を振りそこからそのまま剣を少しずつ下へ下げながら左へと振りそこから続けて右へと剣を振る、アランはそれを後ろに下がり避ける。

「避けるだけじゃだめだな…」

アランはそうつぶやいた後剣を左へと振り底から右下へ剣を振る、そしてそのまま剣を左側へと振るその時の剣のある高さは腰の高さあたりだ、アウグストスはその攻撃を後ろに下がって避ける。

「お前も避けてるだけじゃないか‼」

「そうだな、だがおかげでおまえの攻撃の種類が少ないことに気が付いた。」

アウグストスはそう言った後剣を上から下に振り下ろす、アランはそれを受け止めてそのまま左へ剣を振る、アウグストスはもう一本剣を抜こうとするがアランはウルナがしたように剣の上の部分を押さえる、そして右足でアウグストスの左足を蹴りアウグストスが大勢を崩したところでアランが剣を左上から右下にかけて剣を振る、するとアウグストスがその攻撃を剣で防ごうとする、アランは左足でアウグストスの右手を蹴りあげる、するとアウグストスは後ろに倒れこみ攻撃を避ける。

「どうですか今まで楽に勝てていた相手におされる気分は。」

「ふっ、さっき二人にやられたばかりだ、別にやられて恥ずかしいだなんて今更思わないぞ。」

そう言ってアウグストスは後ろに回転してアランの足元から抜け出し剣を構え直す。

「精霊がいるのに精霊の力は使わないのか。」

「今は様子見さ。」

アランはそう言って後ろに下がりアウグストスから距離を取る。

 ここまで追い込んだのは初めてだ、だけどあの状態から抜け出された今再び似たような状況に持っていくのは難しいか、何でもいい、こいつをもう一度だけ地面へ倒すことができれば…いや、ウォルの力を使えばいくら剣聖とは言えうまく使えば体制を崩させることならできる、だが一度使えばもうこの方法はこいつ相手には使えない、いや、今は迷ってる場合じゃない。

 アランが左手をあげると微精霊がすべて消えた。

「微精霊は使わないのか。」

「今は使わない。」

アランはそう言って剣をサックに入れアウグストスに向かって走る。

 何か考えがあるみたいだな、恐らく急に微精霊を出してどうにかして体制を崩させようとでもしているんだろう、だが今は微精霊がいない、俺が勝つには今ここでこいつに負けを認めさせるしかないか。

 アウグストスは剣をもう一本剣を抜き両手に一本ずつ剣を持つ、そして二本とも右側へ運びにアランに向かってアウグストスは走っていく。アランはただその場に突っ立っているだけだ、アウグストスがアランに近づいて剣を振る時アランが右足でアウグストスの右手を蹴る、するとアウグストスの手がそのまま左手に当たりその衝撃でアウグストスは剣を両手から離す。

 剣を捨てさせることはできた、だが問題はここからか、こいつは剣以外のものでも普通に剣として扱う、考えている間に気から枝でも追って剣として使われると勝ち目はない、考えている暇なんてないか。

 アランが目をつむる、その間にアウグストスが剣を拾おうとして走る。

「ウォル、今だ‼」

アランがそう言うとアウグストスの足元に突如風草の様にまとう。

「どうだ、これで動けないだろ。」

「この程度なら動けるぞ。」

アウグストスがそう言って足をあげようとしているが足が上がらない。

 なんだ、足をあげようとするとさらにまとわりついてくる、これでは足をあげるどころか移動ができない、こいつもこいつなりに考えたということか、だが風の魔法ならこちらも風を起こせばとける場合が多い、こればかりは経験がないとできないが見せてやるか。

 アウグストスが腰からサックを外す。

「ちょっとした技を見せてやる。」

アウグストスがそう言ってサックを腰の左側に当てる、そしてそこからサックを下に向けたままサックを右に振る、するとアウグストスの足元から砂埃が舞う。

「やはりこれで抜け出せるか。」

アウグストスがそう言った後アランのほうへと走る、するとアランは剣を抜いて構える。

 そのころブリナキア達は木の陰で座って休憩していた。

「アランは初代剣聖に勝てると思いますか。」

ウルナがそうブリナキアとクロードとビドンメに尋ねる。

「クラーケンを倒すことができたからこのまま初代剣聖も倒すんじゃないんですか。」

ブリナキアがそう言った。

「確かにそうだね、僕もそのまま倒せると思うよ。」

「そうですね、勝てるんじゃないんですか。」

「それじゃあみんなアランが勝つと思ってるということでいいんですね。」

ウルナがそう言うとブリナキア達は頷いた、そして立ち上がりアランとアウグストスの戦っている様子を見るために見えやすい場所へと移動する。

「ここからならよく見えそうですね。」

ウルナがそう言って座るとブリナキアが座る、するとクロードがブリナキアの方にとまりビドンメもそれに続くようにして草の上に座る、よく手入れされているのかどの草もきれいな緑色をしている、おまけに草とは思えないほどふかふかだ。

 その時アランとアウグストスは。

「やはり抜け出すか。」

そう言ってアランが剣を左から右へと振るとアウグストスがサックで剣を受け止める。

「驚いたか、これには鉄が使われている、だから本気で振られた剣でも受け止めることができる。」

「誰がこのぐらいで驚くか‼」

そう言ってアランが上から下へと剣を振り下ろす。

「完全に遊ばれてますね。」

ウルナが苦笑いをしてそう言った。その時アウグストスが落ちていた剣を拾いあげる。

「残念だったな、もとの状況に戻ったぞ。」

「ああ、だが何か気づかないか。」

「まさか…」

アウグストスがそう言って上を見上げると上からたくさん尖った岩が落ちてくる。アウグストスは剣で落ちてくる岩を斬りながら岩が落ちている場所から抜け出そうとする。アランがアウグストスのほうへと剣を構えて走る。

「なぜおまえには当たらない…」

「自分で仕掛けた攻撃だ、俺に当たるわけがないだろ。」

アランがそう言って剣を右下から左上へと振る、するとアウグストスはその攻撃を剣で受け止める、そこをアランが左足でアウグストスのおなかを蹴る、するとアウグストスがおなかを抱えてしゃがみ込む。

「剣聖なら剣を扱ってばかりだろ、だからこういうことには弱いみたいだな。」

「なるほどな、つまりこういうことをすればいいんだな。」

アウグストスはそう言って立ち上がりアランの後ろへと回り込みアランの膝の後ろの部分を右足で蹴る、するとアランが剣を離して倒れる。

「あれ、自分からやりだしたのに自分もやられなれてない感じか。」

アウグストスがそう言うとアランは土を握りアウグストスに向かって土を投げつけ立ち上がる。

「最初に俺に聞いたよな、お前の強さとは何だと、あの時の答え間違えてたよ。」

アランがそう言って服に着いた土を手でたたいて取る。

「俺の強さはな、俺が守りたいと思ったものを守れる強さだ。」

「そうか、ならその強さを見せてもらおうか。」

アウグストスはそう言ってアランの剣を取り構える、アランはアウグストスの剣を二本持ち構える。

「二人とも自分の剣じゃない…」

「ここからが本番だと思いますよ。」

ビドンメがそう言ったと同時にアウグストスが剣を右へ振る、アランがそれを左手に持っている剣で止めて右手に持っている剣を右下から左上へと振る、アウグストスは体を後ろにしてそれを避けアランの後ろへと回り込み剣を振り下ろす、アランはしゃがんで右手の剣でアウグストスの剣を受け止め左手に持つ剣を左から右へと振る、アウグストスはそれを飛んで避ける。

 くそっ、あれが俺が一番考えた結果だったのに避けられてしまうなんてな、だが武器的には俺のほうが有利だ、ここまで来たら勝つしかないだろ。

 アウグストスがアランに向かって走る。

「これでも喰らえ。」

そう言ってアウグストスが赤い色の石をアランに向かって投げる、するとアランは両手から剣を離しその石を受け止める。

「残念だったな、ウォルが風の魔法で威力を殺してくれた、これはそのおかげだ。」

アランはそう言って石を握りアウグストスのほうへと投げる。

「俺の投げる石は音速を超えるぞ‼」

アランがそう言っている途中でアウグストスに石が当たり大爆発が起こり辺りが揺れる。その時アランは手から離した二本の剣を拾って構える。

「戦いはこうでなくっちゃなあ‼」

そうアウグストスの声が聞こえた時爆発によって起こった砂埃が消える。そしてアウグストスがアランのほうへと走る。

「少しだけ本気を出してやろう。」

アウグストスがそう言った時アウグストスはアランの前にいた。

「いつの間に…」

アランがそう言っている時アウグストスは剣を左から右へと振る、アランがそれを剣で受け止めるとアウグストスの姿が一瞬消えアランの頭上に現れる、そしてアウグストスはアランに向かって剣を振り下ろす、アランは後ろに下がりその攻撃を避ける、するとまたアウグストスの姿が消える。

「これじゃあアランは攻撃できない…」

「いえ、できます、アラン、右から来ます‼」

ブリナキアがそう言った時アウグストスが右から現れアランに向かって剣を左から右へと振る、アランはそれを右側に移動して避けアウグストスの腕をつかむ。

「こうすればさっきまでの技は使えないだろ。」

アランがそう言った時またアウグストスの姿が消える。

「上から来ます‼」

ブリナキアがそう言った時アランは左へと動く、するとアウグストスはさっきまでアランがいた場所の上に現れ剣を振り下ろす、アランは右足を上にあげアウグストスの胴体を右足で蹴る。

「何故俺の出てくる場所がわかる。」

「何とか目で追えるんです、あなたは音速で移動しているだけ、その速さで移動しながら剣を振ればアランは避けれないでしょう、ですがあなたはそれをしなかった、いえ、できなかったんじゃないんですか。」

ブリナキアがそう言った時アウグストスの姿が消えブリナキアの前にアウグストスが現れる。

「ああ、お前の言う通りさ、この方法で移動しているとき剣を振ることはできない。」

アウグストスがブリナキアにそう言った後アウグストスの姿が消える、そしてアランの前にアウグストスが現れる。

「俺の負けだ、良い仲間を持ったな。」

アウグストスはそう言ってアランに剣を渡す、するとアランは両手に一本ずつ持っている剣を右手に持ちアウグストに差し出す。

「今のお前なら守りたいものを守れるだろう、だがどうしても勝てない相手に出会った時は逃げろ、それは悪い事じゃない。」

アウグストスがそう言うとアランは頷き剣を受け取る、するとアウグストスもアランから剣を受け取る、そしてサックに剣を入れる。そのあとアランもサックに剣を入れブリナキア達のいる場所へと歩いていく。

 アランはブリナキア達がいる場所に着いた、木の陰になっていて涼しい場所だ。

「ありがとう、俺一人じゃ勝てなかった。」

アランはブリナキアのほうを向いてそう言う。

「私は何もしていません、アランが頑張ったから勝てたんだと思います。」

「そうか。」

アランはそう言った後ブリナキアの頭をなでる。するとブリナキアはアランの手を頭からどける。

「それとよく考えるとみんな私より年上なのにさんもつけずに読んで今まで失礼でしたよね。」

「そんなことない、私は別にさんなんて付けてもらわなくていい。」

「今はいいかもしれませんが駄目なんです、ウルナさん、ですよね、アウグストスさん。」

ブリナキアがそう言うとアウグストスがブリナキアの前に現れる。

「ああ、できればさんをつけて呼んだほうがいいな。」

「それじゃあ私はブリナキアにもうウルナとは呼んでもらえないんですか。」

「私がそれをできるようになるのは誰もが笑って暮らせる世界になった時です。」

「わかりました、それなら私も手伝います。」

ウルナがそう言うとブリナキアは笑顔で頷いた。

「ありがとう。」

「そうだ、あと一人戦っていないだろ。」

「あ、僕です。」

ビドンメがそう言うとアウグストスはため息をついた。

「まあいい、それじゃあ始めるぞ。」

アウグストスはそう言って最初にいた場所へと歩いていく、ビドンメはアウグストスが歩いていく後ろをついていく。

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