第七十五話 刃
ブリナキア達が試練の塔の三階に着き部屋の中に入ると水色のワイバーンが現れた、アイスワイバーンだ、ビドンメが剣をサックから抜きアイスワイバーンに向かって走っていく、するとアイスワイバーンが口を開けブリナキア達が立っているほうを向く。
「ちょっと、私たちは戦わないんだけど‼」
ウルナがそう言った時クロードがバリアを張る、アイスワイバーンはそこに向けて息を吹きかける、するとクロードの張ったバリアが凍る、そこへアイスワイバーンのしっぽが当たり氷が砕ける。
「あなたの相手は僕ですよ。」
そう言ってビドンメがアイスワイバーンの上へ飛びあがり、アイスワイバーンの上に乗りアイスワイバーンの翼に向かって剣を振る、だがガキィィンと言う音とともにビドンメの剣がはじき返される。
「なっ…剣が通らない、だったらこれはどうですか。」
そう言ってビドンメはアイスワイバーンの背中から降りて手を上にあげる、するとアイスワイバーンの上に無数の剣が現れる、そしてビドンメが手を振り下ろすとアイスワイバーンの剣がアイスワイバーンに向かって落ちていく、するとアイスワイバーンが地面に落ち砂埃が舞いアイスワイバーンの姿が見えなくなる。
「殺ったのか。」
「ちょっ、アランさんそれ言ったらいけないやつ…」
ビドンメがそう言った時血まみれのアイスワイバーンが砂埃の中から再び飛び上がる、するとアイスワイバーンの傷口がふさがりビドンメめがけてアイスワイバーンが急降下する、それを見たビドンメが剣を構え直し自分より少し前に来たところで斜め前へと剣を振りながら飛び上がる、するとビドンメが着地した少し先で倒れこむ、それとほぼ同時にアイスワイバーンが二つに斬れる。
「す、すごいな…」
アランがそう言った時斬れていたはずのアイスワイバーンが再び元の姿になり飛びあがる。
「まさか、氷を溶かさないといけないのか…前上った時は普通に倒せたのに…」
「だったらさっきいい技を見つけました。」
そう言ってウルナは鞄から本を取り出してページをめくっている、その時アイスワイバーンがビドンメが倒れているほうへと飛んでいく、ブリナキアが剣を抜いてアイスワイバーンのほうへと走る、だがアイスワイバーンはそのままビドンメのほうへと飛んでいく。
「ありました、この技です‼」
そう言ってウルナが本からそのページを切り取りブリナキアのほうへと切り取ったページを丸めて投げる、ブリナキアがそれを受け取りアイスワイバーンの上に飛び乗る、そしてウルナからもらった紙を開きその中に書いている文字を読む。
「なるほど、使い方は分かりました。」
そう言ってブリナキアは剣を自分の後ろのほうへ流すように持っていきこう叫んだ。
「火炎斬‼」
するとブリナキアの持つ剣が激しく燃え上がる、ブリナキアが激しく燃え上がる剣をアイスワイバーンに向かって思いっきり振って飛び降りる、するとアイスワイバーンが燃え上がり地面に落ち砂埃が舞う。
「ブリナキア、剣が…」
ウルナがそう言ったときブリナキアの剣の刃が落ちた。
「どうやらその剣が炎の威力に負けたみたいだな。」
「そうみたいですね。」
ブリナキアはそう言った後剣を自分の顔の前に持ってきてこう言った。
「今までありがとう。」
そう言った後ブリナキアはその剣を入れるサックを外し地面に刃が落ちた剣と一緒に置いた。
「何か忘れてる気が…」
そう言ってブリナキアが立ち上がる。
「あれだ、あいつを忘れてる。」
「あっ、ビドンメだ…」
そう言ってブリナキアはビドンメが倒れているほうへと走る。
「これは仕方ない事なの…ええ、そうなのよ。」
そう言って血の付いた剣を持っている女が現れる。
「あらあら、見られてしまったのね。」
「お前は誰だ‼」
「王都の中であってるはずよ。」
「ブリナキア、何かあったのか‼」
そう言ってアランがブリナキアのいるほうへと走る。
「お前は…何故ここにいる、同じ時間に入らなければ同じ塔とは言え同じ場所には来れないだろ‼」
「そうね、ただ、私は塔に入る時からずっと一緒にいたのよ。」
「そういうことですか、分かりましたよ、魔法で姿を消していたんですね。」
「あら、この人と違って賢いのね、でも分かったところでもう遅いわ、ええ、遅いのよ。」
そう言って女は下の階への階段があるほうへと歩いていこうとする、アランが女の肩を持ち引き留める。
「なんですか、今のあなたでは私には勝てませんよ、それとも今ここで殺されたいのですか。」
「そんなこと私がさせない。」
そう言ってブリナキアが剣を抜く。
「王都であなたを本当に見たのかは分かりません、ですが私たちの敵と言うのなら今ここで倒します。」
女がアランを突き飛ばしブリナキアのほうへと歩いていく。
「アラン、ビドンメをウルナのもとへ連れて行ってください‼」
そう言ってブリナキアは女に向かって剣を振る、女はブリナキアの剣を剣で受け止めてこう言った。
「残念ね、あなたも私には勝てないのよ。」
そう言った後女はもう一本剣を取り出しブリナキアに向かって振る、ブリナキアはそれをしゃがんで避ける。
「私はあなたなんかに負けない、だって私には仲間がいるから‼」
ブリナキアはそう言った後後ろへ下がり剣を女に向かって投げ背中の鎌を取った。
「あら、新しい武器を使うのね。」
「最後に名前を聞いておきましょうか。」
「アルテア・ガルディアーノよ。」
「そうですか、私の名前はブリナキアです。」
「覚えてから死んでね‼」
そう言ってクロードがアルテアに向かって氷の塊を放つ、アルテアはそれを剣で斬る。
「残念、そっちの僕は…残像だよ。」
その時アルテアの後ろにクロードが現れアルテアに向かって氷の塊が伸びていく。
「す、すげぇな。」
アランはそう言ってビドンメを抱えてウルナのもとへと走っていく、その時氷が割れる。
「なっ、僕の技を破るなんて君が初めてだよ。」
「あら、それは残念ね、だって最初で最後になっちゃうじゃない…」
アルテアはそう言ってクロードに向かって飛ぶ、ブリナキアはその時鎌を背中にかける。
「今だけ私にみんなを守る力を…」
ブリナキアがそう言うとブリナキアの手の中に水色の刀が現れる、その時アランがその刀を見てこう言った。
「あれは氷華刀、使い手を選ぶ誰も傷つけることのない刀…いや、それよりなぜクロードが水の魔法を使える…」
「それは契約者と同じ属性の魔法が使えるからだよ。」
そう言ってクロードが飛びあがる。




