第六十九話 謎の男
クロードとブリナキアとウルナが空を飛んでいて日が落ちかけるころ。
「竜と魔族が二人、こいつらを落とせばいいのか。」
地上で一人そうつぶやく男がいた。
「さあ、プレゼントだ、受け取れ。」
男はそう言って右手を横に広げる。
「グングニル‼」
男がそういうと男の手に槍が現れる、男がその槍を空を飛んでいるブリナキア達めがけて飛ばす。
「さあ、誰か一人ぐらいは死ぬだろ…」
男がそう言いながら上を見ると、ブリナキアが男が投げた槍をつかんで止めていた。
「ば、馬鹿な、俺が本気で投げた槍を片手で止めるだと…面白い、流石魔族の王の子供だな、だが一人ならまだ俺でもやれる‼」
男がそう言ったときブリナキアがこう言った。
「ウルナ、この槍下から飛んできたけどどうしますか。」
「投げ返せば。」
「そうですね。」
そう言ってブリナキアは下にいる男めがけて槍を投げた。
「いや、俺の全力より早いんだが‼」
そう言って男が横へ転がり槍をよけようとする、だがブリナキアの投げた槍が男の服を引き裂く。
「危ねーな‼」
そう言って男が立ち上がり再び空を見るがそこにはブリナキア達の姿はなかった。
「くそがっ‼」
そう言って男はしゃがみ込み地面を叩く。
そのころのブリナキア達はと言うと試練の塔の近くに来ていた。
「あれが試練の塔…大きいですね。」
「確かに、誰が建てたんですかね。」
ウルナがそう言うとアランが手招きをしている、それを見たウルナがブリナキアのほうを向いてこう言った。
「クロードのほうに行ってみましょうか。」
「はい。」
ブリナキアがそう言うとウルナはブリナキアと手をつないでアランのいるほうへと飛んでいく。
「さっきのは一体何だったんだ。」
「さっきのと言うと何ですか。」
ウルナがアランにそう言い返すとアランがこう言った。
「下から槍が飛んできただろ。」
「あーあれですか、ブリナキア、何かわからない。」
ウルナがブリナキアにそう尋ねる。
「服からして魔女教徒ではないと思います。」
「魔女教徒ではない何かが俺たちを狙っているのか。」
「前にお母さんが魔女教徒と言う脅威を消すと言っていたのですが、他の勢力なんてあるんでしょうか。」
「あれだ、魔女教徒が俺たちに勝てないと判断して味方を増やしてるんだろ。」
「なるほど、それならつじつまが合わないこともない。」
この時はこれで済ませていたことがまさかあんなことになるなんてこの時の私は分かっていなかった。




