第五十四話 新しい服
「あいつらがいるのは何階だ、僕が見たぐらいの時間に来たとしたら今日人が少ないとしたら五階ぐらい、人が多い場合は十階程度か。」
エリックがそうつぶやき宿の壁を上り窓から宿の中を確認して再び上の階へと壁を上っていった。
そのころブリナキア達は。
「アランさん、今回は何をしに来たんですか。」
「今回この国に来たのは試練の塔を登りにだ。」
「そうですか、今回こそあの人を倒せるといいですね。」
「いや、倒せるといいじゃない、今回こそ倒す。」
「では僕はこれで。」
そう言ってパトリックさんは部屋へ入っていった。
「アランさん、リンゴの皮も剝けないのによく今回こそ倒すとか言えましたね。」
「ヌンタンお前まさか…」
ヌンタンが笑いこう答える。
「はい、そのまさかです、僕も登ったことがあるんですよ、確か初代剣聖に負けて力の差がありすぎたから塔を出たんですよ、そこまでは余裕で行けるんですけどね…」
「初代剣聖には勝てる気がしない、俺もそう思っていた、だがクラーケンを倒すことができたんだ、今の俺は誰にも負ける気がしない。」
「では皆さん、また明日会いましょう。」
そう言ってヌンタンがアランを押して部屋へ入っていく。
「ブリナキア、私たちも入りましょうか。」
ウルナがそう言った。
「そうだね、入ろうか。」
そう言いブリナキアとウルナも部屋へと入っていった。
「広い部屋だね。」
「そうですね、あ、忘れるところでした。」
そう言ってウルナが鞄から何かを取り出す。
「どうぞ、作る時間がなかったから街で買ったものだけど。」
「え、私に。」
「そうだよ。」
「ありがとう。」
そう言ってブリナキアがウルナから服を受け取る。
「ちょうど左肩辺りが破れてるから新しい服がいると思って。」
「そうだね、傷は治っても服は直せないもんね。」
「うん、だから、今着てる服はいったん私が預かって直しておくわ。」
「わかった、今脱げばいいの。」
「いや、今日はもう遅いからお風呂に入って早く寝ましょ、入ってくるときにお風呂場が見えたの。」
「じゃあその時に個の服に着替えればいいのね。」
「えっ…」
「違うの。」
「ここは宿だから寝るときの服もちゃんと用意されてるんだよ。」
「そうなの、じゃあこの服を着れるのは明日の朝か。」
「まあそうなるね、多分この棚の中に服が入ってると思うんだけど。」
そう言ってウルナが棚を開けた、すると中には服が二着とタオルが入っていた。
「私がこの服とタオルを持っていくからブリナキアは先に入ってて。」
「わかった。」
そう言ってブリナキアはお風呂場のほうへと歩いていく。




