第五十二話 願い
エリックとエリックを抱えているなぞの人は。
「ヌンタン、なんであなたがここにいるんですか、あなたは王の選挙に参加するのを止めてくるはずではなかったのですか。」
「バレてしまいましたか、深くフードをかぶったのですが意味がなかったみたいですね。」
そう言ってヌンタンはフードを脱いだ。
「質問に答えてくれないのですか。」
「あの二人には手を出すなととある人に言われているので私からはとてもとても。」
「そうですか、それなら私が参加を辞めさせるしかないみたいですね。」
「一回やられたのに懲りずに行くんですか、私は手伝いませんよ。」
「わかりました、その代わり邪魔はしないでください。」
「邪魔はしない、だが今回は助けにもいかない、約束を破れば殺されるかもしれないからね。」
「わかりました、それなら今を持って契約は破棄ということで、これ以降は僕にかかわらないでください。」
その頃中央広場では。
「ウルナ、よければ傷を直してくれないかな。」
「助けてもらったんだしそのぐらい当たり前よ。」
そう言ってウルナがブリナキアの左腕を触る。
「水のマナよ、この者に癒しを。」
「ウルナありがとう、できれば何があったのか僕に教えてくれないかな。」
「えっ、まあ話せば長くなるかもしれないけど…あれはクロードから降りて私とブリナキア二人でこの大陸に来て王都を探すために上から見下ろしていたところ、急に丸い物体が私たちめがけて飛んできたの、それでその球体が爆発した時にブリナキアが怪我を…」
「なるほど、その時の怪我か、それでウルナはそのあとどうしたの。」
「私はブリナキアに逃げてと言われて逃げてきました、それで逃げるだけだと申し訳ないのでこれを貰いにお城へ。」
「そう、なら良かった。」
「もうすぐ治療も終わります、宿かどこかに行きませんか。」
ウルナがそう言った。
「宿ならもう用意はしてるぞ。」
「そうですか、それなら早く言ってくれればいいのに。」
私はウルナがいないからといってウルナにひどいことを言ってしまった、一体どうしたらウルナは許してくれるんだろうか。
『ブリナキア、どうしたの。』
クロードがテレパシーで話しかけてきた。
『ウルナが逃げていった後に時間を稼ぐためとはいえ酷いことを言ってしまったの。』
『それなら何か一つ願いを聞いてあげればいいんじゃないかな。』
『願い。』
『何でもいいんだよ、相手がされてうれしいことを言ってくれるからね、ただ自分にできること、そう言っておかないと大変なことになるよ。』
『わかった、言ってみる。』
「ウルナ、私にできることなら何でも言って。」
「急にどうしたの。」
ウルナが首をかしげてそう言った。
「私はウルナが逃げる時間を稼ぐためとはいえウルナが傷つくようなことを言ってしまったの。」
「そう…でも私は聞いてないんだからいいんじゃないかな。」
「それじゃ私が駄目なの、だから何かあれば言って。」
「分かった、それなら、私とずっと一緒にいて。」
「え、それだったら今まで通りだけどそれでいいの。」
「そんなことがいいの、一緒にいてくれれば私はそれでいい。」
「おい、傷が治ったんだったら宿に行くぞ。」
「ブリナキア、行こうか。」
そう言ってウルナがブリナキアに手を差し出す、ブリナキアがウルナの手をつかむ。
「うん。」




