第五十話 王都レトラン
何とか逃げ切ったか、一体あいつはなんだったんだ、まず私はあいつよりは弱くはない、たぶん…今は王都へ向かうのが先か。
ブリナキアはそう考えて王都へと飛び立った、そのころブリナキアとウルナを襲った人は。なんだよあいつ、何故かかなり昔に使われていた技を使ってきたし風のバリアを張ってくるし、暗視ゴーグルも何もつけていないのに僕の居場所が分かったのかわからない。
「なんか叫んでるから来てみたんですがやっぱり何かありましたか。」
「な、なんでわかるんですか。」
「そこ、削れちゃってるから。」
フードを被った女の人はブリナキアの攻撃の跡がついた場所を指さしながらそう言った。
「ヌンタンさん、あなたはほかに選挙に参加する人をどうにかして参加させないようにしてくれればそれでいいんです、僕のことはほっておいてください。」
「そう言うことでしたら早めに言ってくださいよエリックさん、まあ参加させなければいいんですね。」
「そうそう、でもあと一人参加できるはずだからできれば参加資格になるこの紋章を取り上げてきて。」
エリックはそう言ってポケットから模様が刻まれた石を取り出してヌンタンに見せた。
「エリックさん、非常に言いにくいのですが…」
「なんですか、言ってみてください。」
「暗視ゴーグルをつけたままですよ。」
「いや、そんなわけないじゃないですか…」
エリックがそう言いながら目のあたりを触る。
「確かに付けたままですね、最近のやつは違和感がないから付けたままにしてしまうんですかね。」
「確かにそうかもしれませんね、では私はあと一人の参加者を見てきます。」
「頼みましたよ。」
ヌンタンがお城のほうへと歩いていく。
そのころブリナキアは空を飛んでいた。
「ウルナはちゃんと王都に着いたのかな。」
ブリナキアは心配そうにそう言った。そして王都の上に着いた。
「ウルナはどのあたりにいるんだろ。」
そのころアラン達は王都で宿を探していた。
「どの宿にするんですか。」
「そうだな、一番安いところでいいんじゃないか。」
「王を選ぶ選挙に参加するのに一番安い宿は流石にダメじゃないんですか。」
「どうして安い宿じゃいけないんだ。」
「それは…」
「まあまあ、二人とも落ち着いて、あそこの宿でいいんじゃないかな。」
クロードがそう言いながら綺麗な宿のほうを羽で刺している。
「確かに良さそうだけどあれは値が張るぞ。」
「まあ理由を言えば少しは安くなると思うよ。」
「そうか、だったらそこでいいか、じゃあ行くか。」
そう言ってアランたちはきれいな宿に向かって歩き出した。
「おいおい、一人銀貨30枚もいるじゃないか、四人だから金貨1枚と銀貨20枚だな、外の国のお金の価値は共通って結構ひどいな、バローロスの通貨はちゃんとしてるって有名なのにな。」
「ここじゃそれが普通みたいだね、この国のお金はノルって言うみたいだね、全世界のお金を共通にするんだったらこういうのにしたほうがいいのかもね。」
「いや、でもこれでなれてるからこっちでもよくないか、こういうのでやってる国はここだけだし。」
「そもそもアズモジアは通貨を用意してないみたいだしね、ヘルさんらしいね。」
「それは本当か。」
「うん、お金のない人とある人で差ができるのが嫌だからなくしたみたいだよ、そしたらみんな必要なものしか買わなくなったみたいだよ。」
「それは参考にはできないな。」
そう言いながらアランが宿の扉を開けた。
中にはきれいな絵画やシャンデリアがある。
「いらっしゃいませ、何名様でしょうか。」
ここはレストランか何かか。まあいい、入る前に確認したがここは宿だ、なんと言うかここの受付の人可愛いな、あいつらとは大違いだ。
「今は二人だけで後から二人来るから四人だ。」
「部屋は別でもよろしいですか。」
「そうだな、二人ずつに分けてもらおうか。」
「分かりました、それでは鍵をどうぞ。」
そう言って鍵を二つ受付の人はアランに手渡した。
「お金は出るときにいただきますので気にしないでください、それと部屋の番号は101と102です。」
「部屋多いな、1番からあるんですよね。」
「はい、今日はこれでもまだ少ないほうですよ。」
「今からちょっと二人を探しに行ってくるから外出したいんだけど部屋の鍵はどうしたらいい。」
「持ち出していただいてもいいですよ、なくしそうだったら渡していっていただければ。」
「なら預かってもらおうかな。」
アランはそう言って受付の人に鍵を二つ渡した。
「行ってらっしゃいませ。」
アランたちはそう言われて宿から出ていった。
「中央広場とかにいてたらブリナキア達が来るんじゃないかな、どの王都でも中央広場は絶対に作られてるはずだし。」
「中央広場か、ならそこに行こうか、選挙の参加はどこでやるんだ。」
「お城で受付をしてるんじゃないかな。」
「そうか、だったら早く二人を探さないとな。」
「さっきお城のほうを見たけどもう暗かったよ。」
「そうか、なら明日の朝すぐに行こうか。」
「あの、中央広場にさっきウルナさんに似た人が向かっていったと思うんですけど。」
「ビドンメさん、ブリナキアは一緒にいましたか。」
「でも本当にウルナさんかはわかりませんよ、ちゃんと顔を見たわけでもないし。」
「まあ中央広場に着いたし歩き回っていれば会えると思うよ。」
そのころブリナキアは王都に着いていた。
「やっぱ王都って広いなー」
そう言えばアランたちはどこにいるんだろう、ウルナも怒らせちゃったかもしれないし。どう考えながら私は辺りを見回した。
「やっぱり見つけるのは難しいか。」
「誰か探してるんですか、それと左手を怪我してるみたいですが大丈夫ですか。」
そう言って近づいてきたのは緑色の髪の男の人だ。
「ちょっとね、それよりみんなはどこにいてるんだろう。」
「迷っているんだったら中央広場に行ってみたらどうですか、あそこなら人も多いし見かけた人もいると思いますよ、それにうまくいけば探してる人だっていると思います。」
「じゃあ行ってみようかな、でも中央広場ってどこにあるの。」
「いや、中央広場ですよ、王都の中心にあるんです。」
私は首を傾げた。
「仕方ないですね、着いていきますよ。」
「ありがとう。」
ブリナキアと緑色の髪の男は中央広場に向かって歩き出した。
「僕の名前はエリックです、あなたの名前は。」
「私の名前はブリナキア。」
「ブリナキアさん、それじゃあまずは王都に行きます、そこで一緒に来た人を探しましょう。」
「でもエリックさん、時間とかそう言うものは大丈夫なんですか。」
「僕のことなら気にしないでください、すべて任せてる人がいるので。」
「そうなんだ。」
「病院とかはいかなくていいんですか。」
「何で。」
「いや、左手を怪我してるみたいなので。」
「このぐらい大丈夫です、まあ動かしたら痛いんですけどね、治癒魔法を使える友達と来てるのであった時に直してもらおうかと。」
「そうですか、それなら大丈夫ですね。」




