EX 1 ヘルの過去③
「こんな子供が王なんて認めない‼」
「そうですか…それは残念、王が強ければ国を守るためにあなたたちは動かなくてもいいというのに。」
「何が残念だ‼」
「笑わせるな雑魚ども、僕の力があれば今この場にいる君たちを殺すことができる、今の王が認めればね。」
「そんな脅しで誰が従うと…」
風の鎌がそう言った男の横に飛んでいく。
「これで脅しではないとわかっていただけましたか。」
「アンドルーそんなことはしなくていい。」
「御意。」
「みんな、聞いてくれ…」
「誰がお前の話なんて聞くかバーカ。」
そう言って女の人が石を投げつけた。
「ほう、王にケンカを売るとはいい度胸だな、さあ出てこい、どうせならここにいる全員で来てもいいぞ。」
「ヘル様、流石にそれはやめておいたほうがいいかと。」
「そうだな、恐怖政治は良くない、ベルゼブブ、あとは任せた。」
「えっ、丸投げ…」
ベルゼブブが広場の中心に立つ。
「国民の皆さん、どうかおとなしく話を聞いてください。」
ベルゼブブがそう言った時一人の女の子がヘルを殴りにかかる、ヘルはシビルを倒した時と同じように足を引っかけ同じように上に乗った。
「どうした、殴りに来たんだろ、お前のこぶしはこの程度のことで止まるようなものなのか。」
ヘルにそう言われ女の子がヘルの顔を殴る。
「ヘル様‼」
「私は大丈夫だ、気が済むまでやらせておいてやろう。」
「どうして何もしてこないの‼その気になれば今すぐ私を殺せるじゃない‼」
ヘルがため息をつく。
「確かにそうかもしれないな、だが殺すというのは良くない、もう王を選ぶ戦いは終わってるのだから。」
「まったく、言ってくれるじゃないか、だったら僕も頑張らないとな、この世界から争いをなくしたい、だからいったんこの国から貴族、貧民、それらをなくす。」
ベルゼブブがそう言うと一人の男がこういった。
「そんなことできるわけがない。」
「ああ、確かにそうだ、だけど僕一人でやるわけじゃない、差別、偏見、それらをなくすためにまずこの国を変えよう、この国が変わればあたりからの評価が変わる、そうすればもう争わなくて済む、もうスラム街なんてなくなるんだ‼」
「いろいろとできないようなことも含まれてる、だけどそれには私たちの協力が必要不可欠ってわけね、私もそれに乗るわ。」
「だったら俺たちもそれに乗るぞ‼」
そう、あたりの空気が変わりだしたのだ。
「わ、私も、スラム街がなくなるなら何でもやる‼」
ヘルのことを殴っていた子がそう答える。
「殴られても黙ってるような王様だ、俺たちが助けてやらないとな、俺たちもそれに乗ろう‼」
「よし、それじゃあこの国から税金以外すべてのお金をなくそう‼」
ベルゼブブがそう言った。
「それってどういうことですか。」
「アンドルーさん、今まで誰もできなかった、いえ、誰もしてこなかったことをするんです、今日のご飯があるかわからない、ある人はそんな暮らしから離れるため、ある人は豪華なご飯を残して捨てる、そういったことをできないようにするため。」
「つまりご飯は国民全員同じものを食べるということか…よし、なら前の国王である僕も少しぐらいなら手伝うよ。」
こうしてアズモジアから税金以外のお金は無くなった、税金を払う分のお金は自分で稼がないといけない、だがそのお金を回しているのはヘル、そしてベルゼブブだ、つまりこの政策をして国は銅貨一枚も得しない、だから外の国から来た人には物を買うときお金がいるようにしてる。




