第三十三話 盗賊との闘い
「さあ、誰かは知らないが出ていくか私と戦い殺されるか選べ。」
「急に来てなんだ、確かにヘルに似ているが殺すだと、俺を殺せるとでも思っているのか。」
「ではこれを避けることができるか。」
ヘルがそう言って手を前に出す。
「フォンセファス‼」
紫色の水晶のようなものが七つほどヘルの前に出る。
「あ、相手にならない。」
そう言って盗賊が出ていく。
「助かった、ありがとう。」
「いや、たまたまこのあたりを歩いていたからな。」
「どこかに行こうとしていたのか。」
「ゲエルの家にな。」
「ゲエルは私だぞ、何をしに来たんじゃ。」
「アズモジアへと降りるために。」
「今のアズモジアは危険じゃぞ、それでも行くというのか。」
「ああ、この世界の私を止めるためにな。」
「そうか、なら行くがいい、死ぬなよ。」
ゲエルにそう言われてヘルはゲエルの家から出ていった。
さあ、アズモジアに向かうとするか、と言うか何でゲエルはあんな弱そうなやつに襲われていたんだ、まあいいか、まあここをくぐればアズモジアの上に出るわけだしどうにかなるだろう、なんだ、でかいものが見えるが、まさかこの世界にもワイバーンがいるとでもいうのか、あ、うん、普通にいるんだね、じゃあこの世界で今私はどのぐらいの強さかよくわからないから軽めにやってみようか。
「フォンセラム‼」
ワイバーンに向かって紫色の刃物のようなものが飛んでいく、バシュッ。
『ギャォォォォォ‼』
ワイバーンが血を流し下へと落ちていく、なるほど、私の強さは元の世界とあまり変わらないと、アルフレッドと戦うときはちゃんと強さを調べれてないからな、まあ相変わらずワイバーンはただ大きいだけの鳥って言う感じだな、ただ魔法って掛け声とか言わなくても使えるから統一してもよさそうだな、全部フォンセラムって言って使えば相手も判断できないしそうしようかな、結構降りてきたと思うけど今はどのあたりだろう、地上が見えてるから減速したほうがいいか、ドサッ。
「痛い、まさか落ちるなんてな。」
それにしても様子がおかしい、こんなに木が枯れてたり砂埃がまったりしていなかったぞ、それに何だろう、聖域と比べると暗い気がする。
「何か落ちてきたと思えばあなたでしたか、私の国に何をしに来たのだ。」
「誤解を解きに来た。」
「誤解…何のことだ。」
まあ覚えていないか、ただどうやって誤解を解けばいい、私が上で受けた説明をそのままここでするか、いや、それだと時間がかかる、ドシュッ。
「何のことかはわからないが勝手に私の国に入ってきたお前を殺す。」
危なかった、何とか避けれた、だけどこのままだと説明をする前に殺される。
「話を聞いてくれ。」
ドスドス、私の技と同じ技か、それにしても殺す気しかないな、仕方ない、こうなったら。
「ミストチェーン‼」
ガキン、よし、捕まえれた、これなら話を聞いてくれるかもしれない。
「話を聞いてくれ。」
「話だと、何を言っている。」
やっぱり自分が誤解していると思っていない、どうやって説明したらいいんだ、簡単に説明するなら、重要な部分だけ伝えればどうにかなるか、やってやる、それでこの世界が救われるならどんなに無謀だとしてもやってやるさ。
「ヘル、お前は勘違いをしている、確かにお前は魔女に体を乗っ取られたバローロスの女王を殺した、そしてそのあと何でバローロスの軍が襲ってきたと思う。」
「そんなこと知らない。」
「確かにな、確かに他の人の考えていることなんてわからない、だけど一つ分かることがあるじゃないか、突然現れた女王を殺した、遠い場所にいたあいつらならそう勘違いするかもしれないだろ。」
憶測でも何でもいい、誤解を解くためなら噓を交えたってやる。
「確かにな、だけどお前の言うそれは本当の話なのか。」
私の今知っているのはこれだけだ、だけど、今考えるのはそんなことじゃない。
「本当だ。」
「そうか、つまりあいつらは遠くから見ていて助けに来た女王様を私が殺した、そう思っていたというわけか、私は許されないことをしてしまったみたいだな。」
「いや、過去は変えられない、だけど未来なら変えることができるじゃないですか、さあ、バローロスやほかの国に謝りに行きましょう、今頃アルフレッドやアルリーゴがほかの国の人たちの誤解を解いてくれてます。」
「そうか、だったら私一人で行こう、一人でやらないといけないことだからな。」
助かった、何とか説明できた、まあ殺されそうになって焦ってたけどうまくできた、さてと、一人でやるって言ってるし私はネデットを受け取って帰るか。
「すまない、これを解いてくれないか。」
忘れてた、ミストチェーンで捕まえてたんだった、私はミストチェーンを解いてあげた。
「じゃあ誤解を解いてくるよ、またどこかで会おう。」
そう言ってこの世界のヘルは飛んでいった。




