第三十二話 ゲエルの家へ
ゲエルのじいさんの家を目指すのはいいんだけど、なんか遠すぎる気がする、どこまでも平原が続いているように見える、それに歩いても景色が全く変わらない、ただ時間が過ぎていっているだけのようだ、まさか同じところを繰り返してるとでもいうのか、まさか魔女が死んでも魔女教徒が動き続けているのか。
「誰か、誰かいないのか。」
「ーーーー」
何だ、何か聞こえた気がする。
「お前は誰じゃ、どうしてここへ来た。」
この声は、ゲエル。
「ヘルだ、と言ってもこの世界のヘルじゃない。」
「何をしにここに来た。」
何をしにって言われてもな、爺さんの家をちょっと行ったところに下へ行くための穴があってそこからアズモジアに行くために来たんだけどそれだけのために通してくれるのか、まあ言ってみない事にはわからないか。
「アズモジアに行ってこの世界のヘルを止めるためにだ。」
「なるほどな、わかった通してやろう。」
いや、今の雑な説明で通してくれるのか。
「少し待っていなさい。」
それにしてもゲエルって幻術とかって使えたっけ。
「終わったぞ、来なさい。」
いや、ただの平原が続いてるんですけど、まだ歩かないといけないのか、結構遠いんだな、まだ家も何も見えてこない、私はため息をついた、いったいどれだけ歩けばいいんだ、まあ一回も行ったことがないところから歩いていくから時間がかかるのはわかるけど流石に遠くないかな、まあ聖域も結構広いって言うことか、普段あまり遠くまで行くことがないからか、まあ聖域はでかいよな、五大陸全てが入る大きさだからな、まあその上の天界は行ったことがないから大きさは知らないがバローロスが三個入るぐらいの大きさみたいだからここより少し小さいだけだしそう考えると天界をうろうろするのも楽しそうだな、まああそこに入ることができればだけど、まずはいるためのカギを持っているのは私が知っているのはゲエルだけだしあの爺さんだと開けてくれないだろうな、まあとりあえずはゲエルの家の近くからアズモジアを目指すか、まあこの世界も私の世界と同じなんだろうなただ、私たちの世界と違って魔女が殺されている、突然私が呼び戻したときブリナキアもこんな感じだったのか、悪いことをしたな、ただ魔族の力を持っていくとあっちの世界の人を殺してしまう可能性があったから抜き取ったが記憶まで抜き出してしまったとわな、私としたことがそんな失敗をしていたなんてな、だけどちゃんとこの世界に来てくれてよかった、ただこの世界のヘルをどうにかしないと帰してくれそうにないな、あれはなんだ、煙が上がっている、急いでいってみようか。
「ハハハハ、やはり聖域に住んでいるものはいいものを持っているな。」
「くそっ、盗賊まで聖域へと招いていたのか。」
盗賊がのど元へナイフを突き立てる。
「しゃべるな、殺すぞ、ああ、それと動くなよ。」
「分かった欲しいものはやる、だから出ていってくれ。」
ドンッ、盗賊が壁に手をつく。
「殺すも何も俺の勝手だ好きにさせてもらうぞ‼」
遠いな、いったいどれだけ走れば着くのだろうか、まだ家の形がよく見えないな、そうだ、ブラックミストでゲートを作ってつないであそこの目の前へと行こう、そうと決まれば…
「ブラックミスト‼」
そして片方を向こう側へと移動させて、中へ入る、やっぱりブラックミストの中は暗いな、何か明るくする方法を考えないとな、まあもう少し進めばここから出てあの煙の上がってる場所の近くに出ることができる、誰かは知らないけど私がつくまで待っていてくれよ。
「さーてさてさて、マジックアイテムとか金目のものはもらっていこうかな。」
盗賊がタンスの中や小物入れ、いろんなものの中から売れそうなものを取って自分のカバンに詰めている。
「残念だったな、ヘルに感謝しないとな、あいつのおかげで聖域に来ることができた、ブラックミストも何か知らないが解けたしな、爺さん恨むんだったら俺じゃなくてヘルを恨むんだな。」
「お前に…ヘルの…ヘルの何がわかるって言うんだ‼」
「あ、何もわからねぇよ、俺にはどうでもいいことだしな。」
「アクアアセンディオ‼」
下から水が上に登っていく。
「爺何をしやがった。」
「これ以上好きにさせるか、帰ってもらおうか。」
「帰る、帰るだと、笑わせるな…」
ドシュッ、盗賊がナイフを爺さんに向かって五本投げる。
「アクアメント‼」
爺さんの前に水でできた盾が現れる。
「爺、ふざけるな‼これ以上続けるなら本当に殺すぞ。」
「殺す覚悟も何もないものがないを言っている。」
バンッ、ドアが破られる。
「誰だ。」
「ヘルだ、ただこの世界のヘルではない。」
そう言ってヘルが落ちていた剣を持った。




