第三十一話 動き出したヘル
何故ブラックミストの中に捕らわれているのが魔族以外と分かったのか、それが知りたい。
「すまない、アルリーゴだったか、どうして魔族以外がブラックミストの中にいるとわかる。」
アルリーゴは顎を触りながらこう言った。
「魔族以外を聖域に避難させたんだ、それでこの中を歩き回ったけど魔族は見当たらなかった。」
なるほど、つまり魔族を探したがこの中にはいなかったということか。
「それはわかった、だけどブラックミストは平らな空間ではなかったか。」
なぜか部屋のものが作られていることが気になったので私はそう聞いた。
「これですか、最初からこうなっていました。」
どういうことだ、本来ならブラックミストは平らな空間、だけどここは壁がある、閉じ込めている間快適に暮らせるようにと言うことなのか、いや、そんなことしないか、だったらどうしてこんなことになっている。
「ヘルさん、そんなことよりアルフレッドに衝撃波の打ち方を教えてもらいませんか。」
「役に立つんだったら。」
まあただ相手を飛ばしたりする程度の能力なら別にいらないし私はそう言った。
「ならここに来てください。」
アルフレッドが指をさしながらそう言ったので私は椅子から立ちアルフレッドが指をさしている場所へと歩いて行った。
「それでは教えます、まず足に力を入れて足をあげます、そして思いっきりこのようにおろします。」
ドォン‼何回やられても結構きつい技だな、私は教えてもらった通り足を上げて足に力を入れて思いっきり下した、ズドォーン‼
「おいおいおいおい、ヘルさん、力加減に気を付けてください。」
「これって手でできたりしますか。」
アルフレッドが殴り掛かってくるときに衝撃波が出たので私はそう聞いた。
「まあ出来ないことはないな、難しいけど。」
そう言われたので私は両手に力を入れて、そのまま叩いた、ドォーン‼辺りが明るくなった。
「これは…ブラックミストが消えている‼」
何で消えたかはよくわからないけど恐らくさっき手をたたいた時に出た衝撃波だろう。
「ヘルさん、その技は魔法を消すことのできる衝撃波です。」
「え、そんなことができるのか。」
まあ魔法が消せるならファイブスペルと言うものを消すことができるだろう。
「ヘルさん、あなたはこの世界のヘルの誤解を解いてきてください、私はアルフレッドとバローロス王国とその他の国の誤解を解いてきます。」
いや、多分バローロス王国とかそのほかの国の人たちもさっきのあの私たちの話を聞いていただろ、この二人楽なほうを選んだな、まあここが聖域ならアズモジアへ一番近い穴へ向かったほうが楽だな、まあ誤解を解く前に攻撃されそうで怖いんだけど、私はとりあえずこの世界が私のいた世界と同じならゲエルの家を目指すのがいいか、アルフレッドとアルリーゴはどこだ、よくわからないな、叫んでみるか。
「アルフレッド、アルリーゴ、どこだぁぁぁぁ‼」
いやいやいや、これでこっちに来てくれるとは限らな…
「ヘルさん何でしょうか。」
アルフレッドが来てくれた、私の予想ではアルリーゴが来そうだったんだけど、まあいいか。
「ゲエルの家の場所が分かったりする。」
「ゲエル、ああ、あの爺さんですか、それならここから左へ歩いていけば見えてくるはずです。」
結構説明が雑だな、まあ大体の場所はわかった、まあ聖域は基本的に平原だから家が見えてくるたびにゲエルの家の場所を聞けばいいだろう。
「ありがとうアルフレッド。」
私はそう言って左側へと歩き出した、ここは来たことがない場所みたいだな、見たことがない、いや、裏世界だから来たことがある場所だけど少し違うとかかな、まあアランとアルフレッドは別人みたいだし聖域に住んでる人って言うことでいいのかな、まああんまり聖域には来ないしね、ここが裏世界なら一度も聖域になんて入ってきたことがないわけだし、と言うかここって裏世界か、結構歩いてきたはずなんだけど、あたりも暗くなってきてるし、結構遠いな。




