第二十八話 勝利への道
どうやってもこの技を避けることはできないとしたらこちらからは攻撃できない、さあここからどうやって勝つかだ、まずはこの相手の技をどうにかして破らないと、だけどブラックミストが使えない、いや、待てよ何か忘れてないか、そうだ、ホワイトミストだ、いつからブラックミストが使えないからホワイトミストも使えないと思っていた、だけどホワイトミストは存在の消去、このよくわからない技の効果を打ち消すことなんてできるのか、いや、やってみなくちゃわからない。
「ホワイトミスト‼」
よし出た、取り合えず剣と楯が欲しいから平べったいホワイトミストと剣の形のホワイトミストが必要だな、さあ勝つための準備は整った、勝たせてもらおうか。
「どうやら気づいたようですね、ただ私に攻撃を当てることが出来なければ意味がないですよ。」
たぶん死ぬ前のあの状態は自分への怒りなどが重なった状態、そしてこいつがその状態を求めているということはそこに攻略の糸口があるはず、勝つためには本気でぶつからないといけないって言うことか、ここに来て今に至るまで気づかないなんて本当に私は馬鹿だ、大馬鹿だ、情けない、だけどあの時と同じく力が湧いてきた、どうやらこの状態じゃないといけない何かがあるみたいだ、ただ髪の毛の色がもとの色に戻っている、一体何がどうなっている。
「素晴らしい、では行かせてもらおうじゃないですか。」
そう言ってアルフレッドが一歩を踏み出す、さっきと同じように衝撃波によって後ろに飛ばされそうになる、この状態でもそれは同じみたいだ、だけど問題は蹴りを入れることができるかだ、蹴りを入れることができればあの技を避けることができたということだ、私は走りアルフレッドの前でホワイトミストを足にまとい足を後ろへと持っていき、一気に後ろへと持って行った時の力で前へと蹴りを入れた、蹴れた感触はある。
「いい、いいですね、私の技を破り私に攻撃を当てるなんて。」
「どうだ技はもう破ったぞ。」
「そうですね、ではこれはどうでしょう。」
そう言ってアルフレッドが殴り掛かってくる、歩く時と同じように衝撃波で後ろへと体が持っていかれる、だけど蹴ったときに分かった、ホワイトミストでこの力を消すことができる、私はさっきやったように足にホワイトミストをまといアルフレッドに蹴りを入れようと蹴りあげた。
「捕まえた。」
足を受け止められた、このままだと離れることが出来なくて攻撃される、だったら私だってこの間合いならこのホワイトミストの剣が届く、まだチャンスはある、私は剣を振った、アルフレッドは私の足を離し剣を素手で受け止めた、私はホワイトミストで作った剣を手放し足にホワイトミストをまとい再び蹴ろうと試みた、だがアルフレッドは私が作ったホワイトミストの剣を普通に持てている、この状態は危険だ、私には武器がない、だけど相手には武器がある、これって結構危ない状態に立たされているな、私はホワイトミストで剣を作った、こっちは何本でも武器を作れる、だからアルフレッドの持ってる剣をどうにかして折れば勝機はある。
「何か考えてるみたいだね、だけどどうするのかな、この剣って存在を消せるんだよね、今のヘルさんって意識だけの存在だから斬られたら終わりじゃない。」
そうだ、確かに今の私は意識だけの存在、だけどそれは死んだ場合だ、だけどその場合不自然なことがある魔族は死ぬと霧になって消える、だけどベルゼブブは起きてくれとそう私に言い続けていた、そしてベルゼブブの腕の感触があった、それにマナを消費していたかもしれないが体の傷はない、魔族が死ぬ条件はそろっていない、つまりただ気絶しているだけ、だから斬られても死ぬわけじゃない、まあ魂ごと斬られたら終わりか、だけどそうならないためのこのホワイトミストの板だ、へまをしなければ勝つことができる戦いに自分も気づかない間になっていた、さっさと勝って元の世界に戻らせてもらおう、私は剣を後ろへと持っていき走り出した。
「そこまでです。」
「お前はアルリーゴ、何でここに来たんだよ。」
「話声が聞こえたからだよ。」
「そ、そうか。」
「ヘルさん、うちのアルフレッドがご迷惑をおかけしました、この世界に来てもらった理由をお話ししましょう。」
そう言ってアルリーゴはお辞儀をした。
「どうぞお座りください。」
そう言ってアルリーゴが手を振るといすが出てきた、私はお座りくださいと言われているので椅子に座った。
「ではあなたがこの世界に来た理由をお話ししましょう。」




