第十三話 謎の死
アランさんに言われて私たちは魔車へ乗った、それにしても何でこの世界に私は来たんだろう、まあこの剣術のことはなぞだけどなぜか三回打ったのに前みたいには疲れてないしクロードが何かしてくれたのかな。
「クロード、龍を倒すとき私に何かしてくれた。」
私は心の中でクロードにそう問いかけた。
「うん力を貸したというか、自然のマナを使ってあの剣術を使えるようにしたよ、だから実質消費なしでその剣術がつかえるっていうわけだよ、ただ自分の力でやる時とは違って威力の調節が難しいから船とかでは使わないようにしたほうがいいよ。」
クロードがそう言った、あれだけ強力な技がマナの消費なしってチートかなただ威力を抑えるのが難しいから船で使えないっていうことは襲われたりしたら大変だな。
「じゃあルーシャ村へ行こうか、着くのは半日後だ。」
アランさんがそう言った、着くまで寝ててもいいのかな。
「寝ててもいいんじゃないかな。」
クロードがそう言ったので私は寝た。
何かあたりがまぶしくなる、まだそんなに時間はたっていないはず。私は目を開けた、するとそこには龍を倒したときの風景が広がっていた。
「カンザキどうしたの、もう龍は倒したんだよ。」
え、まだ四日目じゃないのか、いったい寝ている間に何が起こったんだろう、まさか魔女教が私たちを殺しに来たのか、今回は寝ずに魔女教が本当に殺しに来たのかを調べてみるか、盗賊っていう可能性も考えられないわけじゃないからね。
「カンザキ、中に戻ろう。」
クロードがそう言ったので私は窓から魔車の中に戻った。
「カンザキ、大丈夫。」
クロードがそう言った、訳が分からない、寝ている間に何で死んだのかが、死ぬようなことがいつ起きたのかそれを調べないとどうすることもできない。
「龍は死んだ、今歴史が大きく動いたな。」
アランさんがそう言った、くそ、私が何をしたっていうんだ、龍を殺したから魔女教徒が来た、もしくは私の持つお金を狙って盗賊が私たちを殺したかだけどそれだと王都からついてきた人っていうことになるはずだけど私たちの後ろにいた人たちは私たちが魔車を止めて龍を倒している間に先に言ったからそれはないはず、やっぱり魔女教が絡んできてるのかな。
「お前たちはこの世界での英雄だな。」
アランさんがそう言った、やっぱりみんなは私が死ねばそれまでにあったことを忘れるのか、私が何をしたっていうんだ、私は龍を倒しただけだ、この世界は私には厳しすぎる。
「カンザキさんはすごい人です、闇の中にいた私を助けてくれた、そして今ここで龍を倒した、世界から脅威を一つ消し去ったんです、それも異世界からきてたった三日で。」
ウルナがそう言った、やめてくれ、同じことを繰り返すのはもう嫌だ、一体だれが何のために私たちを襲ったんだ。
「カンザキ、大丈夫、さっきから何で死んだとか考えてるけど。」
そうクロードが言った。
「大丈夫じゃない、なんでここまで戻った…」
これすら言わせてくれないのか、辺りに紫色と薄い赤色を混ぜたような煙が立ち込める、嫌だ、もうやめてくれ。
『あなたたちを殺したのは魔女教よ。』
そう女の人の声が聞こえあたりの煙が消えていった、いったい何だったんだ。
「カンザキ、魔族のにおいがする、臭いよ。」
クロードにそう言われた、だがこれではっきりした、私は英雄なんかじゃない、寝てる間に殺される奴が英雄なわけない、だけど魔女教に襲われることはわかった、どうやってみんなを守ればいいんだろう、私にはそんな力はない、龍を倒せたのもこの剣があったからだ。
「カンザキ、あまり一人で悩まないほうがいいよ、剣に迷いが出る。」
クロードがそう言った、だけど今考えなくてどうしろっていうんだ。
「王国に帰ったら僕が報告するよ、全てカンザキという一人の人間とクロードという大精霊がやったと。」
そうアランさんが言った。
「ウルナの英雄はみんなの英雄になるんですね。」
そうウルナが言った。
「ルーシャ村へはあと半日かかる、今は六時といったところか、この辺りで休憩していくか。」
アランがそう言って魔車から降りた。
「試練の塔に行く前に大きなことをやり遂げちゃうなんてすごいね。」
そうクロードが言った、私はウルナと一緒に鞄を持って魔車から降りた。
「カンザキさん、少しの間私のカバンを持っていてください。」
そうウルナが言った、あの手紙を書くことができるやつを出すのか、世界が繰り返してもここまで一緒なのか、持ち物も何も変わっていない、死んでもペナルティイはないのか、だったら王都まで戻してくれれば買い物ができたのに、いや、そんなことを考えたところでどうにもならないか。ウルナが手紙を書くことができるものを出す。
「これで屋敷に連絡を入れておきます。」
ウルナがそう言って手紙を書くことができるものを触りだす、マジックアイテムとか言ってたかな、誰かどう行動したらいいかわかる人はいないのか、屋敷に戻ったほうがいいのか、いったいどうしたらいい。
「大精霊と契約したことと龍を倒したことの報告と現在いる場所の報告をしました、明日には屋敷にこの手紙が届くはずです。」
ウルナがそう言った。
「カンザキさんは知らないと思いますが…」
「知ってるよ、マジックアイテムでしょ、手紙を書くことのできる。」
そう私は言った。
「カンザキさん、今からジャガイモを蒸そうと思うのですが火をつけるものは持ってませんか。」
そうウルナが言った、もちろん持っていない。
「持ってないよ。」
そう私は言った。
「私の精霊の力を貸そう。」
アランさんがそう言った。
「ノーラ、少しだけ火を出してくれ。」
アランさんがそう言うと赤色の微精霊が木に火をつける。
「ありがとうございます、これで蒸かしイモが作れます。」
そう言ってウルナが鍋を木の上に乗せる。
蒸かしイモが出来上がる、私はため息をついた。
「カンザキさん大丈夫ですか、魔族のにおいがかなりしてますよ。」
ウルナが心配してくれている。
「カンザキさん蒸かしイモですよ、さあ食べて出発しましょう。」
そうウルナが言った、今悩んでいても仕方ない。
「じゃあ二つもらうわ。」
私はそう言った、なんで死んだのかはわからない、だけど死ぬ前つまり寝る前までのことは覚えてる、だけど私以外の人は私と過ごした時間を忘れる、つらすぎる。
「クロード、一つあげる。」
私はそう言ってクロードに蒸かしイモを一つ渡した。
「ありがとうカンザキ。」
そう言ってクロードが蒸かしイモを受け取る、私は蒸かしイモを食べた、おいしさも変わらない、どこまで一緒なんだ、だけど、会話の内容は変えることができる、これ使ってどうにかできないか、だがどうやって死んだかということ、私がこの世界に来た時のこと、これはどういうわけか伝えることができない。




