第十話 船の手配
私はウルナと一緒に魔車へ帰ったのだがアランさんがいない、が代わりに置手紙がある、まあ私は読めないのだが、ウルナが手紙を手に取って手紙を広げて読み上げる。武器屋に行くときにはなかったのに私たちが止めた魔車の後ろに何台か魔車が止められている。
「私は今から東の大陸に行くために船を手配してくる、カンザキさんとウルナさんは魔車で待っていてください、アラン。」
とウルナが読み上げたのでそう手紙に書いていたそうだ、帰ってくるのが遅かったから船の手配をしに行ったのだろう。でも待っている間暇だなすぐに帰って来てくれればいいんだけど。
「そうだ、カンザキに言っておかないといけないことがあるんだ、僕は今まで外から君たちのことを見ていたんだ、ごめんね黙ってて。」
「そんなことで謝らないで、クロード、私たちは気にしてないから、だよねウルナ。」
「はい、過ぎたことはもう気にしません。」
「ありがとう、カンザキ、ウルナ、じゃあ僕はちょっと寝るよ。」
そういうとクロードは精霊石の中に入ってしまった。
「ウルナ、私たちに付いてきて本当によかったの。」
私はウルナにそう聞いた。
「はい、イエルさんもウォケスト様も屋敷にいますので。」
そうウルナは言った、そうだな、アランさん一人で船を手配してるけどこの世界って普通に外の国に出いってもいいのかな、入国許可証とかいらないのかな。
「カンザキ、クロードだよ聞こえる。」
なんかクロードの声が聞こえるんだけど。
「聞こえてるみたいだね、カンザキってどうやってこの世界に来たの。」
そうクロードが聞いてきた、これが心の声っていうやつか。私は前にウォケストさんにこの世界に来た時のことを話そうとしたときに起きたことを思い出した。
「それはよくわからない。」
私はクロードにそう言った。
「よくわからないんだ、お父さんとかお母さんはいたの。」
そうクロードに聞かれた、お父さんとお母さんか、覚えてないな。
「覚えてないんだね、前の世界の記憶はどのぐらいあるの。」
そうクロードに聞かれた、前の世界か、その日の学校の帰りから寝るまで、それと名前と学年だけだな、あれ、だけど家に帰って誰かいたか、いや誰もいなかったな、中学二年生で一人暮らしか、でも覚えてるのはそのぐらいだな。
「そう考えると君は前の世界のことはあまり覚えていないのか。」
そうクロードは言った、確かに全くと言っていいほど覚えていない、家族のことも覚えていない、そもそも家族がいたのかすら怪しいんだけどね。
「家族がいなかったら君は生まれてないじゃん。」
そうクロードは言った、まあ確かにそうだな、お父さんとお母さんがいて私がいるわけだから。
「カンザキさん、あれアランさんじゃないんですか、だれかと話し込んでるみたいですね。」
船はどうしたんだろう、でも船の確保ができたから帰ってきたっていうことでいいのかな、まあ近くまで帰ってきてるみたいだし後で聞けるのかな、相手の人は髪の毛は青色、それと騎士の服を着てる、誰だろう。
「カンザキ、あの人は聖剣ヴィクトール・トザ・クラスカじゃないかな、あの髪の毛の色、それにあの剣、きっと剣聖だよ。」
クロードがそう言った、剣聖か、きっと私たちよりもかなり強いんだろうな、一人で魔女教徒を全員倒しちゃったりして。
「カンザキさん、アランさんが帰ってきましたよ。」
そうウルナが言った、話しかけてたのが本当に剣聖なのか聞いてみようかな。
「アランさんが今話をしてたのって今の剣聖ですか。」
私はそう聞いた。
「ああ、六代目剣聖ヴィクトール・トザ・クラスカだ、強いぞ。」
アランさんがそう言った。本当に剣聖だったんだ、私はそう思ってアランさんと話していた剣聖を窓から探した、だけど剣聖のいた場所には女の人が集まっている、剣聖はどこに行ったんだろう。
「それと船の手配なんだが、ルーシャ村というところの船に乗ることになった、少し時間がかかる、今から移動しよう。」
アランさんがそう言った、ルーシャ村、どんなところなんだろう、海に近いっていうのは間違いないと思うけどね。
「あそこは西の大陸に一番近いところだよ、確か西の大陸に住んでるのは魔族だね、君からも少し魔族のにおいはするけどね。」
クロードはそう言った、魔族か、本当に何でもありだなこの世界は、でも何で私から魔族のにおいが数るんだろう。
「僕たちからしたらこの世界はこれで当たり前なんだよ、カンザキの世界がどんなものだったのかは僕は知らないけどゆっくりでいいからこの世界の暮らしに慣れていこうよ。」
クロードがそう言った、確かにそうだ、もう前の世界には恐らく帰ることができない、だったらこの世界で暮らすしかない、まあ今日で三日目か、毎日何か起きてるじゃないか、それにもうこの世界での暮らしは始まっているんだ、今更帰ろうかなんて思っていない。
「それじゃあルーシャ村に行こうか。」
アランさんがそう言った時魔車が動き出した。




