第四話 事情聴取
屋敷に来た襲撃者たちはだれに言われてきたのか、
そしてその目的とは。
このバローロスという国の女王様がサモルナだと言うことは知らなかった、そんな人とこんなになれなれしく接してていいのか、いやいや、いいはずがない、ガチャ、知らない人が屋敷の中に入ってくる。
「ただ今帰りました、アランです、おや、イエル様、そしてウルナ様、そちらの方は。」
「客人という名の居候よ。」
「ただの居候っていうわけじゃないですよ。」
イエルのやつめビビらせるなよ、というかこの人はだれだよ、ウォケストさんから何も聞いてないよ。
「これはこれは、名前を名乗っていませんでしたね、アラン・アルフレッドです。」
「私は神崎 洋です。」
アランと名乗った人は自分のは髪を触る。
「ほう、あなたがカンザキさんですか、ウォケストさんから聞いていますよ、すごい人だと。」
「こう見えてアランはすごい騎士なのよ。」
「正確には精霊騎士ですよ。」
精霊騎士って何だろう、でも普通の騎士よりは立場が上なのかな、でもどうして騎士がこんなところに来たんだろう。
「そんな人がどうしてここに。」
「昨日の騒ぎでですよ、この家に暗殺者が三名来ていましたよね、昨日私がいればもっと簡単に解決できたのですがすみません。」
この人は関係ないと思うんだけど、それにそこまで強そうには見えないしね。
「私はサモルナ様にお仕えする身、彼女が危険な時は私がいなければいけないのに、私の代わりに暗殺者を倒してくれた、カンザキさん、ありがとうございます。」
「今、サモルナ様は留守ですよアランさん。」
イエルがそう言った。
「サモルナ様が留守、それはどうしてですか。」
「サモルナ様は王都シンサッジに向かったわ、カンザキがいいえ、ザキが自分も危険な状態にあるのにウルナを連れ戻すために森へ行ったということを聞いて、国民が危険にさらされているのに自分は家にいるなんていうことはできないって言って王都へ向かったわ。」
「まあ今回私が来たのは暗殺者にどうしてここに来たかを聞くためです、で、どこに暗殺者を捕まえているんですか。」
「地下室よ。」
この屋敷に地下室があるなんて知らなかった、というか、イエルはさっきカンザキって言った後にザキって言いなおしたよな、本当に仲良くする気はなさそうだな。だけどイエルは私のためかはよくわからないけど薬を作ってくれたしウルナを助けに行こうとしたときは気を使ってくれていたのか部屋まで付いてきてくれてたみたいだしそこまで仲良くできないということはなさそうだ。
地下室に来た、なんか薄暗いな、明かりがろうそくだけだからかな、それと昨日の人はまだ縛られてるみたいだ。
「あわれね、ザキも縛られればよかったのに。」
「私はそんなことしませんよ、カンザキさんは何も悪いことをしてないじゃないですか。」
「フォローしてくれてるところ悪いけど、廊下に傷つけたし部屋もかなり汚したよ。」
言わないほうがよかったかな、でも言ったことは仕方ないしな。
「そのぐらい知ってますよ、一人で終わらせようとしてたことも。」
ガチャ、イエルが部屋を開ける。
「それじゃあ話を聞いていきましょうか。」
なんか監禁してるみたいだな、まあ相手もそれなりに悪いことはしたけど、これはさすがにやりすぎだろ、別に縄ぐらいはほどいてあげてもよさそうなんだけど。
「まず名前を聞こうか。」
アランがそう言った。
「ガルネだ。」
「二つ名はあるか。」
アランが聞いた。
「今は関係ないだろ‼」
ガルネがそう言った。
「質問に答えろ、ガルネ。」
「断罪だ。」
断罪、確か打ち首とかそんな意味があったはずだけどほかに何か意味があるのかな。
「お前は何のためにここに来た。」
「そこにいる神崎っていう人を殺せって言われた。」
「なら聞こう、おまえは魔女教徒か、だれに命令された。」
「私は魔女教徒ではない、魔女教の魔女の指先の十人の中の一人『心痛』ゴビビだ。」
魔女教っていうところが絡んできた、これから戦うことになったりするのかな、だとしたらまたヌンタンとかいう人みたいに強い人と戦うことになるんだろうな。
「どうやってこの屋敷に来た。」
「魔女教の人の魔法でだ。」
ウルナがなぜか震えている。
「ウルナ落ち着け、こいつは魔女教に関係ない。」
アランがウルナのほうを向いてそう言った。
「でもこいつは魔女教に手を貸した、魔女教徒と同じだ。」
「ウルナ‼落ち着け。」
アランがそう言った、ウルナは魔女教に何かをされたみたいだ。
「私は魔女教に家族を殺されたんだ、こいつだって関係者だ。」
私は我慢できずにこういった。
「私は何も知らない、そして教えてもらう気もない、だから今までの流れで言わせてもらう、ウルナ、過去に何があったかは知らない、だけど私たちが生きてるのはいまだ、何か過去につらいことがあったのかもしれない、だけど過去にとらわれちゃだめだ、だから前を向いて今を生きていこう。」
ウルナが泣き出す、いや、話の途中から泣いていたか、ちょっと言い過ぎたのかな。
「はい、そうですね、カンザキさん、過去にとらわれてちゃだめですよね、ありがとうございます、今まで悩んでいたことがきれいになくなりました。」
「話は聞けた、ガルネ、協力に感謝する、もう帰ってもいいぞ。」
魔女教徒、それに魔女の指先十人、大変な世界に来てしまったのかもしれない。
「カンザキさん、東の大陸に行ってみないか。」
「アランさん急にどうしたんですか。」
イエルが聞く。
「カンザキさんはこの世界を変えることができると思う、だが昨日の戦いのようにうまくいくとも限らない、どうだ、剣の修行をしに私と塔に行ってみるきはないか。」
アランさんは真剣だ、確かに今の私じゃ何をするにも力不足だ、これは修行するしかないだろう、でも今の私は昨日武器庫から借りた剣しか扱ったことがないな、この世界には剣以外にも武器があったりするのかな、できることならその塔でいろんな武器を見ておきたいな、やっぱり何処かわからないけど行くしかない。
「わかりました、行きましょう。」
「それなら私も行きます。」
そうウルナが言った。
「ウルナ様が来てしまうとこの屋敷のことはだれがするんですか。」
そうアランが言った、イエルがため息をつく。
「しかたないわね、私がやるわ。」
「なら決まりだな、三人でいこうか。」
というかウルナは武器を持ってないと思うんだけど。
「出発は明日だ、旅の途中いつ魔女教が来るかわからない、必ず武器を持ってくるように。」
「あの、非常に言いにくいのですが私は武器を持ってません、森において来てしまいました。」
アランはため息をつく。
「しかたないな、東の大陸に行く前に王都に入る、その時に武器を買おう。」
いったい塔で何が待ち受けているのかなんてわからない、だけど一つだけわかることがある、当分ここには帰ってこれないということだ。




