第三話 アナタは私の遊び相手
ウォルはベルゼブブの部屋に空いた地下へと続く暗い階段をゆっくりと降りていく。
「火がともっていないということは最近は誰もおりていないということなのか。」
ウォルがそう言って壁についている火のついていない松明を触る、すると今まで火がついていなかった松明に突然火が付きあたりが明るくなる、すると階段の下に鉄でできたドアがあるのが見える、ウォルはゆっくりと鉄でできたドアのほうへと歩いていく。
「誰かいるの…」
そう女性の小さい声が聞こえると突然大きな音が鳴りドアの真ん中あたりが盛り上がる。
ウォルは鉄でできたドアが盛り上がると急いで階段を下りて鉄でできたドアを開け中へと入る、するとそこには周りが石で作られた薄暗い部屋が広がっている、そしてその部屋は地下にあるせいか少しジメジメしている。そしてその部屋の中心には小さい女の子が立っている、そしてその女の子は部屋に入ってきたウォルの方を振り返り笑みを浮かべる。
「アナタが私の遊び相手なのね。」
そう女の子は言ってウォルのほうへと走る、するとその女の子の右手に突然大きな炎の剣が現れる。そして女の子はその剣を振り回す、するとウォルはその剣を避けながら部屋を見回している、そして女の子が持っている炎の剣を受け止める。
「この部屋は君を閉じ込めるものか…」
ウォルがそう言うとウォルが握っている炎の剣が消え、突然ウォルの横に何処からともなく雷が落ちる、そしてウォルが前を見ると女の子は部屋の中心あたりへと戻っていて部屋の中を無造作に雷が落ちている。
「これは魔法か…」
ウォルがそう言って服のポケットから一枚の小さい長方形の紙を取り出す、その紙の真ん中あたりには赤い蝶の絵が描かれている。
ウォルはポケットから取り出した紙を部屋へと落ちている雷へと投げ込む、するとウォルの投げた髪は雷に当たる少し前に黒焦げになりばらばらになる。
「なっ…無効にできない魔法というわけか…」
ウォルはそう言って部屋に落ちている大量の雷を見つめる。
「規則性はない、そして予測も不可能…小さいのにここまでやるとは…」
ウォルはそう言って右手で顎を触る、そして顎から手を放して女の子のほうへと歩いていく、するとウォルの頭上に雷が現れる、するとウォルはバリアを張って雷を防ごうとする、だが雷はウォルの張ったバリアを破りそのままウォルに向かって落ちていく。
「脱出‼」
ウォルがそう言うとウォルはバリアから抜け出す、するとウォルの後ろに雷が落ちる、ウォルは後ろを向いてため息をつく。
「子供にしてはやるね、でも…」
ウォルはそう言って走り出す、すると突然女の子の後ろにウォルが現れウォルが女の子を抱き上げる。
「ひゃっ…」
女の子がそう言うと突然部屋の中に落ちていた雷が消える、だが女の子は突然ウォルの腕の中でぐるぐると回りだしウォルが手を離す、すると部屋の中に突然何本もの細い光が現れる。
「これは触れてもいいのか…」
ウォルはそう言って一番近い光に向かって手を伸ばす、そして光に触れるとウォルはすぐに手を引き戻す。
「熱っ‼」
ウォルがそう言った時上からも光が現れる、そしてその光は突然動き出す、だがその光の動きはばらばらだ、そして光はそれぞれ動く速さも違う、それに途中でその速さも変わる。
ウォルは自分のほうへと近づいてくる光を飛び越えて避ける、そして当たりを見回す、しかし今まで部屋にいた女の子の姿は見当たらない。
「まだ生きてるんだ…」
そう女の子の声が聞こえた時突然光の動きが止まり二本の炎の剣が現れる、そして片方の剣はウォルに向かって真っすぐと進んでいく、ウォルがその剣を避けるともう一本の剣がウォルに向かって振り下ろされる、しかしウォルはその剣を素手で受け止める。
「剣の重さを三倍に…」
ウォルがそう言い剣から手を離す、するとその剣は突然地面に倒れる。
剣が倒れると止まっていた光が動き出す、するとウォルは一本の光に触れる。
「停止…」
ウォルがそう静かに言うと動いていた光の動きが止まる、するとウォルは部屋を歩き回るすると後ろから炎の剣が飛んでくる、するとウォルは左手を後ろに伸ばし剣を受け止める、すると剣が消える。
「強いね。」
何処からかそう女の子の声が聞こえると部屋の上から大量に槍が降ってくる、するとウォルが右手を上に伸ばす、するとウォルの近くに落ちてきている槍が空中で止まる。
「軽いな、まさか…」
ウォルがそう言った時部屋の上の方に大きな槍が現れる、そしてその槍の周りに同じぐらいの大きさの槍が九本現れる、そして部屋の上にある大きな十本の槍はそのまま下に落ちてくる、するとウォルは上げていた右手を下す。すると空中で動きの止まっていた槍は床に向かって落ちていく、ウォルは自分の近くに落ちてくる槍を持っている杖ではじく、そして杖を上にあげる、すると大きな魔方陣が現れる。魔法陣が現れるとその中心から突然赤い色の光が現れその光は落ちてきている大きな槍を包み込むように広がっていく、そして光が槍を包み込んでしばらくするとその赤い色の光が消える、だがそこには大きな槍の姿はない。
一方王都デペキオの表通りを歩いているベルゼブブは女性と遭遇していた。
「やあ、君がベルゼブブだね。」
そう言ってベルゼブブの前に立っている女性は笑みを浮かべベルゼブブに向かって剣を振る、するとベルゼブブは横に動いてその剣を避ける。
「反応は六十点ぐらいかな、私が本気ならもう死んでますよ。」
女性はそう言ってベルゼブブに向かって剣を左に振る、そしてそこから右へと振り左下へと振る、だがベルゼブブは自分からは攻撃をせず女性の攻撃を避けているだけだ。するとそれを見ている店主が店から出てくる。
「おい、お前、お前が今戦っているのは誰かわかっているのか‼」
そう店主が女性のほうを見て言うと女性はくすくすと笑う。
「分かってますよ、国王であるベルゼブブですよね…」
女性は店主のほうを向いてそう言うと店主は驚いている。
「なっ…」
「あっ…手が滑ってしまいました。」
女性がそう言うと店主のおなかに女性の剣が刺さっている、そして店主はそのまま血を流し地面に倒れこむ。するとベルゼブブはしゃがみ込む。
「おい、大丈夫か、おい‼」
ベルゼブブはそう言いながら店主の肩を叩くしかし店主は何も反応しない、それを見て女性はまたくすくす笑っている。
「無駄よ…私の攻撃が命中した相手は誰であろうと一撃で死ぬ。」
女性がそう言ってベルゼブブのほうを見るとベルゼブブは怒っている様子だ。
「よくも…よくも俺の国で…関係ない人を巻き込んでくれたな…」
ベルゼブブがそう言い立ち上がるとベルゼブブの横に大量の槍が現れる、そしてその大量の槍は女性へと向かって飛んでいく、すると女性は片手を飛んでくる槍のほうへと出す、するとその手の手前でベルゼブブが飛ばしている槍の動きがピタリと止まる。
「そうそう、ひとつ言い忘れてたけど、あなたが持っている球をくれないかな。」
女性がそう言うとベルゼブブは驚いている。
「何故それをお前が欲しがる…」
「欲しいわけじゃないのよ、その力の持ち主に返されると後々面倒なのよ。」
女性がそう言うとベルゼブブはため息をつく。
「つまりお前は魔女教側の人間か…」
ベルゼブブがそう言うと女性はベルゼブブの首元に剣を突きつける。
「出すなら早くして、まあ出さないなら殺すけどね。」
女性がそう言うとベルゼブブの前に大量の球が現れる、そして女性がその球を手に取ろうとすると突然すべての球にひびが入る、女性はそれを見てベルゼブブを睨みつける。
「何のつもり。」
女性がそう言うとベルゼブブは黙っている。
「これは何のつもりだって言ってるのが聞こえないの。」
女性はそう言ってベルゼブブのほうへと歩いていきベルゼブブの服の襟を掴む、そしてもう片方の手で持っている剣をベルゼブブの首にあてる。
「お前たちに渡すぐらいなら割ったほうがましだ。」
ベルゼブブがそう言うと女性はベルゼブブの首にあてている剣をそのまま横に動かす。
「それじゃあ私はこのまま貴方を殺してそのあと力の持ち主に力が帰る前に持ち主を殺すわ。」
女性はそう言い終わるとベルゼブブの首をそのまま斬り落とす、するとベルゼブブは道へと倒れこむ、するとそこにヘルが現れる。
「お前が…お前が殺したのか‼」
ヘルがそう言うと女性は笑っている。
「怪我をしているあなたに何ができるの。」
女性がそう言うとヘルは女性へと向かって走っていく、すると女性はヘルの腹を殴る、するとその手はヘルを貫通する。
「あら残念、思ったより脆いのね…」
女性はそう言ってヘルを貫通した手を引き抜く、するとヘルはそのまま道に倒れこむ。
「残念、私に通用する人はいないみたいね…」
女性がそう言うと女性の姿が消える。
そのころウォルの家にいるベルクとブリナキアは。
「ヘル様、どうかご無事で…」
ベルクはそう言い窓を覗き込みため息をついている。
「外に行きましょうか。」
ベルクがそう言ってブリナキアを見るとブリナキアが頷く、するとベルクはブリナキアのほうへと手を伸ばす。するとブリナキアは首をかしげる。
「手をつなぎましょうということですよ。」
ベルクがそう言うとブリナキアはベルクの手を握る。
「それじゃあ行きましょうか。」
ベルクはそう言ってブリナキアのほうを向く。
「はい。」
ブリナキアがそう言うとベルクは壊された扉から外に出ていく。そしてベルクはそのまま飛ぶ、するとブリナキアはベルクにぶら下がっている。
「まさか飛べないの…」
ベルクはそう言ってブリナキアを見下ろす、するとブリナキアは頷く、するとベルクはため息をついてウォルの家のほうへと戻っていく、そしてウォルの家が乗っている枝の上に降りるそしてベルクはブリナキアを抱き上げそのまま飛んでいく。
「それじゃあこの辺を少し飛んでみましょうか。」
ベルクはそう言ってブリナキアのほうを見て笑みを浮かべる、そしてブリナキアはベルクを見て頷く。
その時地上では。
「高いところを飛んでますね。」
そう言ってベルクとブリナキアのほうを見ている女性がいる、そしてその女性は一本剣を抜く、そしてその剣をベルクのほうへと投げる。
ベルクはブリナキアを抱いてそのまま飛んでいる、そして後ろを向くと剣が飛んできている、ベルクはそれを見てブリナキアを離す、するとブリナキアはそのまま落ちていく、そしてベルクに飛んできている剣が刺さる。するとベルクはそのままブリナキアと同じように地面へと落ちていく。
「ベルクさん‼」
ブリナキアがそう言って落ちてきているベルクを見るがベルクは何も言わない。
「何で…何でこんなことに…」
ブリナキアはそう言って涙をこぼす、そしてそのまま地面に降り落ちてきているベルクを両手で捕まえそっと地面に下ろす。そしてブリナキアは前に立っている女性を睨みつける。
「どうしてこんなことをするんですか‼」
「どうして、面白いことを聞くわね。」
女性はそう言って笑っている、するとブリナキアはその女性のほうへと歩いていき女性の顔を叩く、すると女性はそのまま地面を転がっていく、そして女性は立ち上がりブリナキアを睨みつける。
どうしてこの子はただの人間のはずなのにこんな力を…まさかすでにあの球の中の力を、いや、でもあの球からここまで力が運ばれてくるにはまだ時間がかかるはず、だけどそれならどうしてこの子がこんなに強いのか説明できない、でも今はそんなことを考えている場合じゃない、私はこの子を殺さないといけない。私は腰に付けているサックから剣を抜き取り大きく息を吸い込みブリナキアのほうへと走っていく。
一方お城の地下で女の子と戦っているウォルは。
「子供なのになんて力だ…」
ウォルがそう言うと突然ウォルのほうに剣が現れその剣はウォルのほうへと飛んでいく、だがウォルは左手を前に出しその攻撃を受け止める。
「何処に行ったんだ…」
ウォルがそう言い辺りを見回すと部屋の扉の前に女の子が立っている。ウォルはそれを見て女のこの立っているほうへと歩いていく。
「アナタは私の遊び相手だから部屋から出ようとしちゃ駄目。」
女の子がそう言ってウォルのほうへ振り替えるとウォルの周りに鉄でできた柵が現れる、そしてウォルが上を見上げるとそこも囲われていて出ることが出来なくなっている、そしてウォルは柵の間に手を入れて柵をつかみ曲げようとする、しかし柵はびくともしない、それを見て女の子は笑っている。
「それじゃあさようなら。」
女の子がそう言うと柵の上から大量に溶岩が流れてくる、ウォルは手をあげて魔法でそれを防ごうとするがそのまま溶岩は落ちてくる、そしてウォルはそのまま溶岩に焼かれてしまった。
「残念、良いおもちゃだったのに…」
女の子はそう言って部屋の外へと出ていく。
そのころブリナキアとブリナキアに顔を叩かれた女性はお互いに向かって走っていた、ブリナキアは手にベルクに刺さっていた剣を持っている、女性は自分がサックから取り出した剣を持っている。そして二人はお互いが横に来た時に同時に剣を振る、すると剣同士がぶつかる。
「何であんたはこんなに強いの…」
女性はそう言って驚いている、だがブリナキアは無言で女性の剣を受け止めている、すると女性は剣を持ったまま後ろへと下がる。
「私の最強の技で殺してあげる。」
女性がそう言うと女性の周りに剣が上を向いた状態で現れる、そして女性が手をブリナキアのほうへと向けると女性の周りに現れた剣はブリナキアのほうを向く、そしてその剣はブリナキアのほうへと飛んでいく、ブリナキアは横へと走っていく、すると剣も同じように横に進んでいく。女性はそれを見て笑っている。
「ちょっとでもあたればあなたは死ぬのよ。」
女性はそう言って剣を避けているブリナキアを見て笑っている。
「無駄よ、避け続けたところで貴方は何もできない。」
女性はそう言ってじっとブリナキアを見ている。ブリナキアは自分の近くに剣が近づいてくるとその剣を避けるように上に飛ぶ、するとその剣の後ろにある剣がブリナキアの横を通る、するとブリナキアは手に持っている剣でその剣を防ぐ。それを見て女性は驚いている。
「まさかこんなに耐えるなんて…ご褒美にいいことを教えてあげるわ。」
女性はそう言って剣を避け続けているブリナキアを見ている。
「私は魔女教では剣とかの扱いは一番なの、でもなぜかフェンサーと呼ばれているのよ、そして私はついさっきあなたの親を殺してきたの。」
そう言うとブリナキアは一瞬女性のほうを見る。
「油断したわね。」
女性はそう言って笑みを浮かべる、そう、ブリナキアが一瞬自分のほうを向いている間にブリナキアに五本の剣が刺さったのである。
「これでこの世界はもう私たちの好きなようにできる。」
女性はそう言って笑っている。
─BAD END─
次回から第三章に入ります、第三章は何度も死にますね…そしてまさかのあの人が…




