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この美しくも残酷な世界で異世界生活  作者: ヤジャ
第一章 終わりへの一歩
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第十一話 美しい月の下で

ウォケストがヌンタンを退けてくれた、

だが疲れて眠ってしまう神崎、

神崎はどうなってしまうのか。

 ヌンタンがいなくなり驚異が去っていった今、安心して寝ることが出来る、そう考えると全身の力が抜け眠くなってきた、私は眠気に耐えられず眠ってしまった。

「カンザキさん、大丈夫ですか。」

ウォケストさんはそう言って倒れた私のほうへと駆け寄ってくる、ウォケストさん心配してくれてるな。

「イエル、来てくれ。」

ガチャ、ドアを開けて誰かが入ってくる。

「カンザキは大丈夫なの。」

サモルナの声がする。

「分からない…」

ウォケストさんがそう言う、入ってきたのはサモルナのようだ、多分大丈夫だ、よくわからない剣術を使ったり時間を巻き戻したりして疲れただけだのはずだ、ガチャ再びドアが開く音がする。

「お呼びでしょうか、ウォケストさま。」

「ああ、カンザキさんが急に倒れてしまってね。」

興味無さそうだな、まあ仲良くする気がないと言っていた人だし最初はこんな感じなんだろう。

「最近流行ってる病気ね。」

「それはどうしたらいいんだ。」

「────」

イエルは私を助ける義理がない、だから助けようとしなくて当たり前だ、だがなぜ黙り込んでいるのか私には分からない。

「イエル、どうしたんだ。」

「この病気は王都でしか治せないの。」

王都、それは一体どこなんだろうかという疑問が頭によぎる、ただ体に力が入らない、起きようとしても起きることが出来ない、聞きたいことを聞こうとして口を動かそうとしても口が動かないし目を開けようとしても目が開かない。

「王都か、それは困ったな、今日の晩封鎖されたばかりじゃないか。」

王都でなにか起こっているのか、気になるな、だけど聞くことはできないか。

「はい、王都に今入ることはできませんね。」

「いや、私なら入れるわ。」

とサモルナが言った、でも何でサモルナなら王都に行けるんだろう。

「でも王都に行く道には今龍がいるという情報があるわ、嵐を起こすのは龍よ、もし今から行って出くわしたら命は無いわ。」

龍か、この世界はなんでもありだな、ガチャ、また誰か入ってくる、今いないのはウルナだけだ、だから今部屋に入って来たのはウルナだろう。

「それなら森にその病気を治すための草があります、だから望みがないわけでわないはずです。」

ウルナがそう言った、私のことを心配してくれてるみたいだな、うれしいけどウルナには傷ついてほしくない、私も行きたい、目を開こうとしても目が開かない、くそっ、私は結局役に立つことなんてできないのか。

「半日よ…半日でこの病気になれば死ぬわ。」

そうイエルが言った、それを聞いてウルナは走りドアを開けて部屋から出ていく。

「でも森には魔獣が...」

とサモルナが言ったがもうウルナは出て行ったあとだった。


 私が、私がどうにかしないと、私はカンザキさんの役に立てなかった、カンザキさんが部屋の中で戦っている時に私は入っていくことが出来なかった、私はむかしから何も変わっていない、家族が魔女教に殺されているのを見ているだけだった、ウォケストさんが来てくれなかったら私も村の人たちや家族と共に死んでいただろう、だけどウォケストさんは私にこう言った。

「生きていてくれてよかった。」

と何もできずに家の隅でただ小さくなって泣いているだけの私に言った、だけど私より強い人なんてあの村には沢山いた、私より賢い人だって沢山いた、私よりも役に立つ人だっていた、だけど助かったのは私だけだ。

ここは森の中だからとても木が多い、それにこの森は結界が張ってるから外に出てくることはないけど森の中にはたくさん魔獣がいる、臭い匂いがする、魔獣か、それも二三びきいるみたい、私は嘘をつきましたすみませんカンザキさん帰ったら謝らないといけませんね、私が狂気化したらこの剣は振れるんです。

「魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣魔獣」

そう言いながら私はきずけば辺りの魔獣をすべて殺していた、そうだ私はカンザキさんの為に草を取りに来たんだ、こんなことをしている場合ではない、草、草はどこだ、確か赤色の草と、黄緑色で土が盛り上がっているところに生えてる草だったはずどこだ、どこにある、私は森の中を歩き続ける、必ず助けますカンザキさん。


 きずけば朝になっていた、ここはどこだ、私が倒れた部屋とは別の部屋みたいだけど。

「目が覚めたんですねカンザキさん。」

イエルがいる、ここは客室か、そういえばウルナはどこに行った。

「ウルナは、ウルナはどこに行った。」

「彼女は森の中よ。」

ウルナはやっぱりあのあと一人で森へと走っていったのか、傷ついてほしくない、助けに行かないといけない、助けに行くなんて言ってもここから出してくれるとは限らない、だけど行ってみない事には何も変わらない、言ってみるしかないか。

「助けに行かないと。」

はぁ、イエルはため息をついた、あきれてるみたいだ、まああきれられて当然だ、病気の人間が自分のために動いてくれている人を助けるなんて何がしたいのかわからないと思われていてもおかしくはない。

 この人はウルナが何のために森へと言ったのか理解しているのかしら、とりあえず病人はこのままベットで寝かせておいたほうがよさそうね、わざわざ自分から危険な場所へ行くなんてただの馬鹿のすることなのよ、どうにかしてそれを分かってもらうしかないみたいね、少しきつい言い方をしたほうがよさそうね。

「あなたがいったところで何も出来ないし、何も変わらない、ウルナが草を持って帰ってくるのを待ってなさい。」

私は行ったところで無駄であるということを分かってもらうためにあえてきつい言い方をした。

 そうか、今の私が行ったところでウルナを助けることはできないのか、でも何でウルナは私なんかの為に草を採りに行ってくれるんだ。私のためにウルナが草を採りに行ってくれている、だったら私は今私にできることをしよう。

次回、屋敷の周りの森が消失、そしてそれに巻き込まれてしまったウルナを助けるためにカンザキは一体どこへ向かうのか…

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