第九十二話 これが最後です②
ゾスネブとウルナを取り戻すために戦っているブリナキア、そしてブリナキアは鞘から氷華刀を抜きそのままゾスネブに向かって走っていく。
「私はお前には負けない。」
とブリナキアは言ってゾスネブに向かって右から左へと剣を振る、するとゾスネブは糸を使いブリナキアの刀の動きを止めようとする、だがブリナキアはその動きに気づきゾスネブの糸を一本にまとめる、そしてブリナキアはそのまま刀を振る、すると刀は見事にゾスネブに命中しゾスネブは体から血を流して倒れる。するとブリナキアはゾスネブにさらに近づきゾスネブに向かって刀を向ける。
「この程度ではありませんよね。」
ブリナキアがそうゾスネブに剣を向けながら言うとゾスネブはブリナキアのほうを向く。
「私の力はこの程度ではないっ‼」
そうゾスネブが言った時ブリナキアは後ろへととばされる、だがブリナキアは刀を床にさしできるだけ後ろに飛ばない様にしようとするが少しだけ長さが足りず床に刺さらずそのまま壁に当たる。ブリナキアが飛ばされているときゾスネブは立ち上がる。
「残念でしたね、私は魔女様の持つ回復能力も使え…」
ゾスネブがそう言っているときウルナの方からつららのようなものが飛んでいきゾスネブのおなかあたりに突き刺さる、ゾスネブはその時しゃべるのをやめ下を向く、そして自分のおなかにつららのようなものが刺さっているのを見つけたのかウルナの方を向く。
「何故縛られているのに動けるんですか…」
そう言ってゾスネブがウルナの方へと走っていこうとするとゾスネブの目の前にブリナキアが現れる。
「ウルナに手は出させない。」
ブリナキアはそう言ってゾスネブに向かって右から左へと刀を振る、するとゾスネブは剣でブリナキアの攻撃を防ぐ。するとゾスネブは笑みを浮かべる、するとゾスネブはブリナキアの前から消えウルナの前に移動する。ブリナキアは自分の前からゾスネブの姿が消えていることに気づきウルナの方を見る、そしてウルナの方にゾスネブがいるのを確認したのかブリナキアは猛スピードでゾスネブのほうへと移動する。
「貴方の能力が欲しいです…」
そう言ってゾスネブがウルナに触ろうとしているときにブリナキアはゾスネブの前に立ちはだかる。
「何です…邪魔をしに来たんですか、無駄で…」
ゾスネブが無駄ですよと言おうとしたときブリナキアは刀を振りゾスネブの右腕を切り落とす、するとゾスネブの右腕は剣を握ったまま床を転がっていく。ゾスネブは転がっていく自分の右腕を見て斬られたことによって腕がない右肩を見る。
「ギャァァァァァァァ‼」
ゾスネブは確認したことによって急に痛くなったのか左腕で自分の右肩を抑える。それを見て無様だとでも言わんばかりにブリナキアは笑みを浮かべる。
「貴方じゃ私には勝てませんよ。」
ブリナキアがそう言ってゾスネブを睨みつけるとゾスネブは後ろへと下がっていく、そして転がっている自分の右腕を踏みそれでバランスを崩しゾスネブはしりもちをつく、そしてブリナキアは素早くゾスネブに近づいてゾスネブののど元に刀を当てる、するとゾスネブはがたがたと震えている、殺される恐怖というものを味わい怖くなったのだろう。だがゾスネブはブリナキアの刀を握りしめる。
「殺すなら殺せ…とでもいうとでも思ったか。」
ゾスネブがそう言った時ゾスネブの右目が光った、そしてブリナキアは突然ゾスネブから離れていきゾスネブは意識がなくなったかのように倒れる。
「ハハハ、やった、やったぞぉぉぉぉぉ‼」
ブリナキアがそう言うとウルナは口を開いてブリナキアのほうを見ている。
一体ブリナキアはどうしたのだろうか、気でも狂ったのだろうか、と思った人もいるかもしれないがこれはゾスネブに与えられた大罪が原因です、ゾスネブの大罪それは『貪欲』です、欲しいと思ったものを手に入れなければ気が済まない、などという意味です、ですがこれを能力に直してあげると欲しいと思ったものを手に入れられる能力です、例えば、おなかがすいていてパンが欲しいとしましょう、すると不思議なことに隣の家の人がパンを持って家を訪れてきます、そしてそのパンをくれるというわけです、その能力を人に使うすると乗っ取れたりということができるんです、つまりブリナキアの中には今ゾスネブとブリナキアの意識があるわけです、では続きをぜひ読んでいってください。
ウルナはゾスネブがブリナキアに乗り移ったことによってゆるくなった糸による拘束から抜け出す。そしてウルナは拘束から抜け出した後ブリナキアに向かって走っていく。
「やった、何をやったんですか。」
そうブリナキアが言った時ウルナはブリナキアの前にいた。
「なっ、私の支配から抜け出すだと…」
「ブリナキア、帰ってきて。」
そう言ってウルナが涙を流すとブリナキアは首を横に振る。
「ごめん、それは無理みたいです…」
そう言ってブリナキアもウルナと同じように涙を流す、するとウルナは泣き崩れる。
「今まで迷惑をかけてごめんね…」
ブリナキアはウルナを見てそう言い刀を鞘に入れる。
「さあ、私と共に死ね‼」
ブリナキアがそう言うと黒い色の槍がブリナキアの周りに大量に現れる、そしてその槍はブリナキアに向かって飛んでいく、するとウルナはブリナキアを見上げる。
「そ、そんな…」
ウルナがそう言った時ウルナの前に鞘に入った氷華刀がブリナキアの腰から落ちてくる。ウルナは落ちてきた氷華刀を両手でもって抱きしめる。
ブリナキアが死んだことによってブラックミストの効果が切れてアラン達が現れる。
「なっ、何だこの状況は…」
アランがそう言うとクロードは泣いている、ブリナキアが死んだということが分かったのだろう。
「こうなった以上仕方がないね…僕はこの世界を滅ぼすよ…」
クロードがそう言って大きくなる、すると塔の壁がクロードがでかくなったことによって崩れる、そしてクロードはアランとビドンメのほうを向いて翼を振る、するとアランとビドンメは塔の外に吹き飛ばされる。
「どうしてこうなったんだ…」
「アランさん、今まで…」
ビドンメがそう何かを言いかけた時二人は地面に落ち、ぐしゃっとつぶれる。
クロードはゆっくりとウルナに近づいていく。そしてクロードはくちばしで鞘に入った氷華刀をウルナから奪い取りそれを銜えて飛び去っていく。
黒い空間にブリナキアはいた、そしてその前に白い髪の女性がいた、魔女だ。魔女はブリナキアのほうを見て手を後ろに回す。
「死んじゃったのね…」
魔女はそうブリナキアのほうを見て残念だというように言う、するとブリナキアは魔女のほうを向いて頷いた後下を見る。
「顔をあげて。」
魔女はそうブリナキアのほうを見て言う。
「無理ですよ…」
ブリナキアがそう言うと魔女はブリナキアのほうへと歩いて近づいていきブリナキアの顔を叩く。
「何を言っているの‼ほら、早く戻る‼」
魔女はそう言ってブリナキアを後ろに向かせて背中を両手で押す、するとブリナキアは魔女のほうを見る。すると魔女は手を振っている。
「次ぎあう時はここじゃなくて現実で。」
魔女はそうブリナキアに笑顔で言う、するとブリナキアは魔女を見てほほ笑んで魔女のほうに体を向ける。
「はい‼」
ブリナキアはそう言って手を振った後後ろを向いて歩いていく。するとブリナキアはゾスネブが魔女を倒すところにいた。
「そんな事させない‼」
ブリナキアはそう言って飛んできたものを斬る。するとゾスネブが扉の前に現れた。
「ほう、私の技を見切りますか…」
そう言ってゾスネブは感心している様子だ。だが次の瞬間ブリナキアの前に無数の糸が現れる。
「そこを通って私のもとに来れますか。」
そうゾスネブが言うとブリナキアは糸と糸の間にブラックミストで作りだした糸を通していき糸と糸の間を広げる、そしてそこにつららのようなものを打ち込む、するとゾスネブは剣を抜き飛んできたつららのようなものを斬る。ゾスネブはブリナキアが飛ばしたつららのようなものを斬った後ブリナキアのほうを向いて舌打ちをする。
「せこい事をしてくれますねぇ…」
ゾスネブはそう言うとブリナキアと自分の間に出した糸を消してブリナキアはと向かって走っていく、すると魔女の後ろに黒い影が現れそこからゾスネブが現れ魔女に向かって剣を振り下ろす、するとそれに気づいたブリナキアは魔女の背中を押す、すると魔女はこけて床に手を突く、そしてブリナキアはゾスネブの剣を刀を出して止める。
「なぜおまえが魔女を助ける…」
ゾスネブはそう言いながらブリナキアのことを睨みつける、するとブリナキアはゾスネブのほうへと走っていきゾスネブののど元に刀を当てる。
「なら逆に聞きます、どうして魔女を殺そうとするんですか。」
ブリナキアはそうゾスネブに聞く、するとゾスネブは急に笑い出す。
「面白いことを聞くね、それは本物の魔女じゃないからだよ。」
ゾスネブがそう言うとブリナキアはゾスネブののど元から刀を放しゾスネブの後ろに回り込む。
「最低ですね…」
ブリナキアは冷たい声でそう言いながらゾスネブの腰あたりを蹴る、するとゾスネブは剣を落として前にふらふらと進む、そしてこけそうになった後何とか踏みとどまりブリナキアのほうを見てブリナキアを睨みつける。ゾスネブはブリナキアを少しの間睨みつけた後ブリナキアに向かって走り途中で落ちている剣を拾う。ブリナキアはそれを見て何故か刀を鞘に入れる。
「お前の力が欲しい‼」
ゾスネブがそう言うとゾスネブの周りに黒い色の煙のようなものが現れる、するとゾスネブは急に笑い出す。
「これがブラックミストか、なかなか使えそうだな。」
ゾスネブがそう言うとゾスネブの出したブラックミストが分裂して球体のような形に代わる、そして球体のような形のぐにゃぐにゃしたブラックミストは全てとげのように鋭くなる、するとそれはブリナキアに向かって飛んでいく。
「能力を奪う力ですか、面白い…」
ブリナキアがそう言って鞘から刀を抜くとブリナキアの周りに飛んできていたとげのような形のブラックミストは全て氷漬けになる、そして氷漬けになったブラックミストは周りに着いた氷の重さによって床に落ち粉々に砕ける。
「なっ、ブラックミストは硬いはず…」
ゾスネブはそう言って驚いている、それもそのはず、ブリナキアが出したブラックミストは魔法による攻撃にも耐えることができていた、普通に考えれば氷漬けになったぐらいで脆くなるはずがないのである。
「確かに硬いですよ、ですがブラックミストは細かい粒子でできています。」
ブリナキアはそうゾスネブのほうを向いて言う。
「つまりです、細かい粒子の隙間に氷が入れば脆くなるというわけです。」
ブリナキアはゾスネブのほうを向いてそう言うがゾスネブはブリナキアが説明したにもかかわらず分かっていない様子だ。
「もういい、私の勝ちです。」
ゾスネブがそう言った時ブリナキアとウルナが空中に浮かぶ、するとウルナは鞄に手を伸ばし鞄から何かを取り出す、中に剣を入れた魔法器だ、そしてウルナは真ん中の少し出っ張っているところを押す、すると中から剣が出てきた、そして剣が出てきたことによって耐え切れなくなった糸が切れウルナは糸から抜け出した。一方ブリナキアを突構えている糸は氷漬けになっている、氷華刀にずっと触れていたからだろう、そして少しブリナキアが手を動かすとブリナキアを捕まえていた糸は砕ける。
ゾスネブは糸から抜け出したウルナとブリナキアを見て笑みを浮かべる、そう、ゾスネブの狙いはブリナキアとウルナを倒すことではなかったのである。
「今まで守っていたのに残念ですね。」
そう言うとゾスネブは魔女に剣を突き刺しそのまま剣を上にあげる、そのあとゾスネブが左手を上にあげると魔女の姿はなくなった。それを見てブリナキアはゾスネブのほうへと走っていく、そしてゾスネブに向かって右から左へと刀を振る、するとゾスネブはブラックミストで作りだした糸で氷華刀の動きとブリナキアの右手の動きを止める、するとブリナキアは背中にかけている鎌を左手で持ち右手と氷華刀を固定している糸を斬る。そしてブリナキアは背中に鎌をかけ直す、するとゾスネブはブリナキアに向かって右から左へと剣を振る、だがブリナキアは後ろに下がりゾスネブの剣を避ける、そしてそのまま右足でゾスネブを蹴り飛ばす、するとゾスネブは後ろへと飛んでいく、それを見てブリナキアは素早くゾスネブの後ろへと回り込み刀を上にあげて一気に振り下ろす、だがそこにはゾスネブの姿はなかった。
ブリナキアとゾスネブの戦い、そして捕らわれるウルナ、果たして二人の運命は、次回、さすらいの大魔法使いをお楽しみに‼




