第八十九話 これが魔女の本気だ
傷がいえた魔女はブリナキアに向かって大きな黒い槍を振る、だがブリナキアはその槍を後ろに動いて避けた後さっきと同じ氷の剣を魔女に向かって飛ばす、だが魔女はそれを槍でたたき割る。
「あなたでは私に勝てませんよ。」
魔女がそう言ったときウルナが魔女の後ろから魔女に向かって剣を振り下ろす、だが魔女はそれを黒い槍で受け止める。
「遅い…」
魔女はそう言ってウルナを後ろ蹴りする、するとウルナは後ろへと飛んでいき壁にぶつかる。
「残念、この程度なの。」
魔女はそう言って地面に大きな黒い槍を突き刺す。
やつを倒すには一体何をすればいい、ウルナが近づいて急に剣を振っても反応してくる、魔女は魔法も使えてあの大きな槍を振り回したりできる、つまり誰でも思いつくようなことをしたところでさっきみたいに防がれるだけだ、ならどうすればいい、急に攻撃をしても反応できるっていうことは同時に攻撃を仕掛けたりしたら一体どうなる、どちらかの攻撃をかわすがどちらかの攻撃を受けるとかそう言ったことになるのか。
ブリナキアは大きく息を吸い込んだ。
「決めた‼いま刀は使わない。」
そう言ってブリナキアは刀を鞘に収めた、そしてブリナキアは刀から手を放し右手を上にあげる、するとブリナキアの周りにつららの様なものが現れる。
「その程度。」
魔女がそう言うがブリナキアは全く聞いていない様子だ、そしてウルナが立ち上がると同時にブリナキアの周りにあったつららの様なものは全て魔女のほうへと飛んでいく、すると魔女は手を合わせる、そして魔女が大きく手を広げるとブリナキアと魔女の間に薄い青い色の壁ができる、そしてつららの様なものは次々とその壁に当たり砕けていく。
なるほど、槍だけで対処しきれなければ魔法を使うということか、完璧な防御か、これを崩さないと攻撃を当てることすら不可能というわけか、そしてどうやっているのかは分からないがさっき傷が急に治った、つまり回復もできるというわけだ、だけどお母さんはこの人に勝って封印したというわけだ、つまりあの時お母さんに言われたことが本当なら私がこの人に勝てないわけがない。それにあの時お母さんが私に嘘を言う理由はないはずだ、つまり私は今魔女に勝てるというわけだ。
ブリナキアは背中の鎌を取る。
「刀は使わないと言いましたが鎌は使わないとは言ってませんよ。」
そう言うと魔女はフフフと笑った。そして魔女が左手を横に広げると魔女の左横に黒い色の球体が現れた、ブリナキアはそれを見て鎌を構える、すると魔女は笑みを浮かべ右手を左手と同じように横へ広げる、すると魔女の右横に白い色の球体が現れた。
「さあ、この二つを混ぜるとどうなると思う。」
魔女はブリナキアのほうを見てそう言った。するとブリナキアは何か思いついたのか魔女に向かって鎌を構えたまま走っていく。そして鎌を振れば当たる距離まで魔女に近づいた時ブリナキアは魔女に向かって鎌を振る、しかし魔女は鎌を素手で受け止め笑みを浮かべる。
「こうしておけば避けられないでしょう。」
魔女がそう言った時魔女とブリナキアの間に魔女が出した黒い色の球体と白い色の球体が集まり始める、そして黒い色の球体と白い色の球体がぶつかり混ざり合い大きくなっていく、それを見たブリナキアは後ろへ飛んで魔女から距離をとる。
「ブラックミスト…」
ブリナキアがそう言うとブリナキアと大きくなっていっている球体の間に薄い黒色の壁ができる、そしてその壁の色もかなり薄い、だがどうやら魔女にはその壁が見えていないらしい。
「何、またその何も起きない技なの。」
魔女はそう言った、魔女は恐らくまだアラン達が消えたことに気づいていないのだろう、そしてブリナキアと少しずつ大きく泣ている球体の間にブリナキアが壁を作り出したことにも気づいていないのだろう。
「さあ、この技を受けて死になさい。」
魔女がそう言った時ブリナキアに向かってだんだん大きくなっていた球体は進んでいく、だがブリナキアが出した薄い黒色の薄い壁に球体が当たる。
「反射…」
ブリナキアがそう言うと魔女へと向かって大きくなっていた球体は進んでいく、だがそれはブリナキアに向かって進んできていた時よりも早く進んでいく、それだけではない、ゆっくりとその球体は大きくなっていっているのだ。それを見た魔女は横へと動く。
「ブラックミスト…」
ブリナキアがそう言うとその球体は魔女の方向へと進んでいく、そう先ほど発生させた壁と同じものを作り出したのだ、だが違うところはまっすぐ反射させたのではなく魔女のいる方向へと反射させたことだ。
「甘く見すぎていたようね、ただ私が何の対策を練ってないとでも。」
魔女がそう言った時ウルナが魔女を一瞬で縛り上げる。
「残念、これで避けれませんよ。」
ウルナがそう言って魔女を見る、そしてその後ウルナはブリナキアのほうを見てピースをしたあとブリナキアのいるほうへと移動していく。
「この程度なの、残念ね。」
魔女がそう言った時ブリナキアはウルナのほうへと走っていく、そしてブリナキアはウルナを突き倒す、するとブリナキアに黒い色の棒状のものが突き刺さる。
「あら、仲間思いなのね。」
魔女がそう言った時ブリナキアは血を流して床に倒れこむ。そしてその直後魔女は輪から抜け出し球体を避ける。
「あなたは絶対に許さない。」
ウルナはそう言って魔女をにらみつける、だが魔女は微笑んでいる。
「ああ、最高ねー、だけど残念あなたじゃ力不足よ。」
魔女がそう言った時魔女の周りに黒い色の球体が現れその球体は一斉にウルナに襲い掛かる。その時倒れていたブリナキアが起き上がり手を振ると黒い色の球体はすべて消えた。
「何故立ち上がれるの…」
「さあ、魔族だからでしょうか。」
ブリナキアはそう言って体に刺さった黒い色の物体を引き抜く、するとブリナキアの傷はみるみるうちにふさがっていく。
「それじゃあ私も本気を出そうかな。」
ブリナキアがそう言うとブリナキアの姿が消える、その直後魔女が塔の天井に打ち付けられる。
「一体何が…」
魔女がそう言った時魔女は突然床にたたきつけられる、そして床に亀裂が走る。だがその亀裂はすぐに消えた恐らく塔に自動修復の効果でもついているのだろう。そして魔女が床に右手をつき立ち上がろうとする、すると魔女の右手が突然無くなる。そして部屋には魔女の悲鳴がこだまする。
魔女は右手がなくなったことにより再び床に倒れこむ、その時ブリナキアが現れる。
「残念ですね、力の差がつきすぎました。」
ブリナキアは魔女に近づいてそう言った。その時魔女が立ち上がる。
「一度攻撃を当てたぐらいで何を言っているの。」
魔女がそう言った時魔女の無くなったはずの右手がもとに戻っていた。
「これが私の能力、完全再生よ。」
魔女がそう言った時ブリナキアがフフフと笑う。
「何が可笑しい。」
「いや、ダサい名前だなーと思って。」
ブリナキアがそう言うと魔女はブリナキアに向かって黒い棒状のものを作り出して飛ばす、だがブリナキアはそれを素手ではじく。
「怒らせちゃったかな。」
ブリナキアがそう言うとブリナキアの姿が消え魔女が浮かび上がる、そしてブリナキアはもといた場所に姿を現す。
見えた、今ブリナキアは魔女のことを膝で蹴った、そしてそれだけで浮かび上がらせた、一体ブリナキアは今どのぐらい強いんだろう、という疑問が私の頭によぎった、だけど多分強さとかそう言ったものでは表せないものがブリナキアにはあるんだと思う、そしてそれによってブリナキアは強さを得ているのかもしれない、なら今の私にできることはブリナキアの邪魔にならないようにすること。
ブリナキアは浮かび上がった魔女の上に移動して魔女を床にたたきつける、そして床に落ちた魔女の服を持ち無理やり立たせ氷華刀の塚で魔女のおなかを殴る、すると魔女は後ろへと飛んでいき塔の壁に当たる。
魔女は塔の壁に当たりぐでっとしている、ぱっと見では死んでいるかのように見えるが部屋の扉が開いていないということはまだ魔女は倒せてもいないし死んでもいないというわけだ。
ブリナキアはゆっくりと魔女のいるほうへと歩いていく、すると魔女の手が少し動いた、その時ブリナキアは魔女に飛び膝蹴りする、そしてそれは見事に魔女に命中する。
「あれ、さっきまで自信満々でしたよね。」
ブリナキアがそう言って魔女を見下ろす、だが魔女にはもうしゃべる力すら残っていないようだ、誰もがそう思っていたであろうその瞬間魔女の姿が消えブリナキアの後ろに魔女が現れる。
「流石にこうして誰もここまで来ないってことが続くと体がなまりますね。」
そう言った魔女の姿には傷一つついていなかった。
「倒せたとか思っちゃいましたか、残念、あなたじゃ無理ですよ。」
魔女がそう言ってブリナキアに向かって蹴ろうと足を延ばすがブリナキアはその足を後ろを向いたまま受け止める。
「いやー、こんなに弱いはずはないと思っていたのでちょうどよかったです。」
ブリナキアはそう言って魔女の足から手を放し後ろを向くときに魔女を蹴る、だが魔女は全く痛くなさそうだ、その証拠に魔女は笑みを浮かべている。
次回、魔女がブリナキアを圧倒、そしてブリナキアがクロードに教えてもらった技を使い再び魔女を圧倒する。




