第八十八話 どういうこと?
ブリナキア達は階段を上っていき、左側に扉がついている場所へと着いた、そしてそこより上には階段が続いていない、もうそこで壁になっていて進めないようになっている、それに壁を叩いても空洞があるような音はしない。
「ここの敵を倒せば終わりか。」
アランがそう言って扉を開けると中には塔の素材と同じ石でできた部屋が広がっていた、だが部屋には入って来た扉しかない、そして部屋の真ん中に木でできた看板が立っている、ブリナキア達はその看板へと近づいていく。
「下に戻り扉を探せ、と書いてます。」
ビドンメがそう言った、だがブリナキア達はここに来る前にすでに扉を見つけてそこで龍と戦い勝ってここへと来たのだ、つまりこの塔はこの部屋が一番上というわけだ。
「でもここに来る前にすでに扉があったから入りましたよね…」
ビドンメがそう言うとアランはあきれたようにこう言った。
「だったらあそこで降りればよかったな。」
アランがそう言った後に後ろを見ると看板に書いている字が変わった。
「アランさん、嘘だよって書いてます。」
ビドンメがそう言った時ブリナキア達が入ってきた扉が閉まる、そして木でできた看板が消えそこから人の形のしたものが入った球体が現れる、そしてその球体が地面からすべて出てくると突然その球体にひびが入りばらばらに割れる。
「まさか…」
そして球体の中にいた人が中から出てきて立ち上がる、その姿はブリナキア達が一度見た事がある人だった、いや、先ほど見たばかりの人と言ったほうがわかりやすいか、そう、この塔の最後の敵、それは魔女なのだ。球体から出てきた魔女はブリナキアのほうを見て笑みを浮かべる、すると魔女の周りに小さい黒い色をした球体がいくつか浮かび上がる、そしてその球体がすべて針のように鋭くとがりブリナキアのほうへと素早く進んでいく、だがブリナキアは氷華刀を鞘から抜き飛んできた黒い色の物体をすべて切り落とす。
「この程度ですか。」
ブリナキアはそう言って魔女のほうに氷華刀を向ける、だが魔女はそんなことを気にしていないのかまだ笑みを浮かべている、そして再び魔女の周りに黒い色の球体が現れる。
「その技しか使えないんですか。」
ブリナキアがそう言った時魔女の周りにあったはずの球体がブリナキアを囲んでいた。そしてその球体は全てブリナキアのほうへと素早く進んでいく。
「その程度なの。」
魔女がそう言った時黒い色の球体がぶつかった場所から青い色の物体が現れる、そしてその青い色の物体は砕け散り中からブリナキアが現れる。
「この刀がなければやられてましたよ。」
ブリナキアは魔女のほうを向いてそう言うがまだ余裕そうだ、そしてブリナキアは刀を鞘に入れる、その時魔女がブリナキアのほうへと走って移動してブリナキアを殴る、するとブリナキアは上へと上がる、魔女はブリナキアより上に飛びあがりブリナキアを地面にたたきつける、だが地面に着いた後ブリナキアはすぐに立ち上がり背中に背負っている鎌を取る。
「あら、まだ武器があったの。」
「皆さん、自分の身は自分で守ってくださいね。」
ブリナキアがそう言うとクロードは何かを察したかのようにウルナ達がいるほうへと飛んで移動する、そしてクロードがウルナ達の前で翼を広げると薄い緑色の膜の様なものがウルナ達の前に現れた。
「こ、これは…」
「攻撃から身を守るためのものだよ。」
クロードはそう言った後ウルナの肩の上に乗った。
そのころブリナキアと魔女はというと魔女はブリナキアに向かって歩いて近づいていく、するとブリナキアは鎌を後ろのほうに構え直す、そしてブリナキアは息を深く吸い込む。
「デスサイス‼」
ブリナキアがそう言って鎌をゆっくり振ると紫色をした物体が現れる、そしてその物体は部屋の端から端まで届くほど大きい、それを証拠に部屋の壁を削りながらだんだん魔女のほうへと移動している。ブリナキアはそれを見て鎌を背中にかける。
「何かと思えばこんな技なの。」
魔女がそう言って左手を腰の高さあたりにあげる、その手には尖った氷の様なものが握られている、魔女はその氷の様なものをブリナキアが出した紫色の物体に向かって投げる、すると魔女が投げた紫色の物体はブリナキアが出した紫色の物体に当たった瞬間消えてなくなった。
「なるほど、威力はあるみたいね、だけどこんな技飛んで避けることができるわよ。」
魔女がそう言って近づいてきた紫色の物体を飛び越えようと飛んだところをブリナキアは見逃さなかった、ブリナキアは鎌を手から離し鞘から氷華刀を抜き魔女のいるほうへと向かって振る、すると氷の塊が猛スピードで魔女のほうへと飛んでいく、だが魔女はそれを素手で受け止めた後それを真っ二つに割って見せた。
「この程度なの。」
魔女がそう言って笑みを浮かべる。
そのころウルナ達のほうは、ブリナキアが鎌から出した紫色の物体がクロードが張った薄い緑色の膜を破ったので、紫色の物体が飛んでいる高さより自分の体を低くして身を守っていた。
「本当に倒せるのか…」
「アランさん、これを。」
ウルナはそう言ってブリナキアから預かっているネデットをアランに渡す、そして紫色の物体が頭の上を過ぎたのでウルナは立ち上がり黒龍剣を右手でサックから抜く、そしてウルナは黒龍剣を右手で握りブリナキアのほうへとゆっくりと歩いていく。
そのころ魔女とブリナキアはどちらも攻撃を仕掛けず両者ゆっくりと移動しているだけだ。そこで最初に動き出したのは魔女だ。魔女の近くにつららの様なものが何本か現れる、するとブリナキアは氷華刀を構え直す、すると魔女の出したつららの様なものはブリナキアのほうへと飛んでいく、だがブリナキアは自分のほうへと飛んでくるつららの様なものを避けようとはしない、そしてブリナキアに当たる寸前まで近づいてきたつららの様なものを氷華刀を振り床に落とす。
「なっ、こいつを落とせるはずがない…」
魔女がそう言うと魔女の周りのつららの様なものが一斉にブリナキアのほうへと飛んでいく、するとブリナキアは魔女に向かって氷華刀を構えて走っていく、途中でつららの様なものが自分に当たりかけるとブリナキアはそれを氷華刀を使って床に落としていく。そしてブリナキアは魔女に向かって氷華刀を振る、だが魔女はブリナキアの攻撃を飛んでかわす。
「この程度の攻撃では私を倒せはしないぞ。」
「確かに私だけじゃ倒せないかもしれませんね…」
ブリナキアがそう言った時ウルナが魔女に向かって飛び黒龍剣を魔女に向かって振る、すると魔女は黒い色の球体を黒龍剣へと向かって飛ばす、だが魔女のとばした黒い球体は氷漬けになり床に落ち粉々に砕ける。
「ならこれはどうですか。」
魔女がそう言った時黒い色の大きな槍が現れる、そしてその槍はウルナのほうへと飛んでいく、そしてその槍がウルナに当たりそうになった時突然槍の動きが止まる。その時すでに床へ着いていた魔女はこう言った。
「な、何をした…」
「私の力ですよ、私はあなたを必ず倒します。」
そう言ってブリナキアは氷華刀を魔女のほうへ向ける。
「面白い、なら私の本気を見せてあげましょう。」
魔女がそう言うとブリナキアはアラン達のほうを見る。
アランさん達には会話の内容は聞こえてないのか、これはまずいな、このままだと私たちの戦いにアランさん達を巻き込んでしまう、それは本当に危険だ、多分アランさん達がこの人の攻撃をまともに受ければ死ぬだろう、いや、私でも下手なことをすればやられる、それにここからは本気の戦いになる、このままここにアランさん達を置いておくのは危険すぎる、みんなを守るために今私にできることは…そうか、あの技ならどれだけここが危険だろうと関係がない、守るためにはこうするしかない。
魔女が本気を見せると言ってから少しの間静かな時間が流れた、だがそこで最初に動いたのはブリナキアだ。
「ブラックミスト‼」
ブリナキアがそう言うと魔女ではなくアラン達が黒い霧に包まれる、恐らくブリナキアの考えだろう。そしてアラン達を包み込んだ黒い霧は突然姿を消した。
「攻撃だと思ってしまいましたがそうではないんですね。」
魔女がそう言った時氷でできた剣が魔女のほうへと飛んでいく。
「何のつもりですか…」
「武器を持たない人向かって武器を使うのはどうなのかなと思ってしまって。」
ブリナキアがそう言うと魔女が笑みを浮かべてこう言った。
「それでこんな氷でできた剣ですか、舐めてるんですか。」
「マナを含んだ武器です、あなたなら見ればわかるでしょう。」
ブリナキアがそう言うと魔女は床に刺さった氷でできた剣を見る、そして頷いた後ブリナキアのほうを見る。
「確かにマナが入っているみたいですね、それもかなり大量に。」
「それで十分ですよね。」
ブリナキアがそう魔女に言うと驚いたことに魔女は氷でできた剣をユイカから抜いた後粉々に砕いた。
「これだけのマナがこんな空間にあれば魔法を使えばどうなると思いますか。」
魔女がそう言った時ウルナとブリナキアはバリアを張った。
「アイスストライク‼」
魔女がそう言うと大きなつららの様な氷が現れた後大爆発が起きた、だがウルナとブリナキアはバリアを張っていたから無事だ、だが驚いたことに爆発を起こした本人であり爆発した場所に一番近い魔女はバリアを張っていないにもかかわらず何一つ傷を負っていない、それどころかブリナキアと戦っていた時の傷がなくなっていた。
次回何と塔が ブリナキア達の戦いに耐えられなくなり崩壊!?




