第八十七話 扉の外へ出よう
ブリナキアが出した霧が辺りを飲み込みあたりが真っ暗になったところでウルナが最初に口を開く。
「これは一体…」
まあウルナがそう言うのも無理はない、聞きたくなければ耳をふさいでいてと言われていたから耳をふさいでいてちょっとしたら急に周りが暗くなってしまったのだから。ただ外に出るという目的のためだけにどうしてこんな大掛かりなことをしなければいけないのかブリナキアは理解していなかった。
突然ブリナキアが出した霧の中が明るくなる、そしてそこには白い色の髪の女性が立っていた、女性の見た目は時間が止まっていた時ブリナキアの近くに現れた影に似ていた。
「なるほど、あなたね。」
突然現れた人はそう言った。
「まさかあなたは魔女ではありませんか。」
ウルナがそう突然現れた人に問いかける、すると突然現れた人は微笑んだ後こう言った。
「そうよ、ただ今私はちょっと危ないことになってるの。」
「つまりどういうことですか。」
ウルナがそう問いかける、まあ危ないことになっていると言われても理由やそうなっている原因がわからなければどうすることもできないからそういうのは当然と言えば当然だろう。
「そうね、どういえばいいのかな。」
突然現れた魔女という疑惑を持たれている人はそう言った後少し自分の白い髪を触る、恐らくできるだけわかりやすく説明しようと考えているのだろう。
「あ、質問に答えるのを忘れていたわね、私は魔女よ。」
そう白い髪の人が言うとウルナは白い髪の人をにらみつける。
「まあ今のところ魔女って言っているだけなので自称魔女だと思いますよ。」
ブリナキアがそう言うとウルナは頷いた、とりあえずは自称魔女でおいておこうということだろう。
「それで簡単に説明していくわね、私は簡単に言うと今ヘルに封印されているの、それで私が封印されている石を割るかもう一度強力な封印をかけるかで魔女教は争っているの。」
「つまり助けてくれっていうことか。」
アランが自称魔女にそう言った、というよりこの話の内容的にこの人は魔女なんだろうとブリナキアは思っていた。
「ええ、ただ一応私たちは敵よね、だから別に助けなくてもいいのよ。」
「なら私は助けるほうを選びます。」
ブリナキアはそう魔女のほうを向いていった。
「駄目ですよ敵を助けるなんて。」
「確かに敵かもしれない、でも困っている人を助けずに放っておくなんて私にはできない。」
「わかりました、そこまで言うなら私も手伝います。」
ウルナがそうブリナキアに言うと魔女は頷いた。
「ありがとう、じゃあ私はこれで。」
「待ってください、どうやってここから出ればいいんですか。」
ブリナキアが魔女にそう問いかける。すると魔女は親指を立てウインクをするとブリナキア達の前から消えていった。
「一体何だったんだ…」
「わかりません、でもアウグストスさんの言う通り世界を滅ぼしたりするような人じゃないと思います。」
ブリナキアはアランのほうを見てそう言った。
「それじゃあ、お前のお母さんに魔女の封印を解いてもらうことから始めないとな。」
アランはブリナキアにそう言った、魔女を封印したのはブリナキアの母であり魔族の王であるヘルだ、そして魔女の封印はヘルにしか解けないようになっている、つまりそれほど複雑な封印というわけだ、だが魔女教徒はそこにさらに封印をかけようとしている、もしそうなれば魔女はもう封印されたままだろう。もし魔女が世界を滅ぼすような人だったとしてもブリナキア達はもう一度ヘルに封印してもらえばいいだけの話だ、ただこれをするにはヘルが魔女の力を上回っているということが必要になる、なぜなら一度魔女を倒してからしか相手の体力の関係上封印から抜けられる可能性が高くなる、つまり一度は魔女と戦い方なければならないというわけだ、つまり魔女を封印していた時点ではヘルのほうが魔女よりも強かったというわけだ。
ブリナキアの出した黒色の霧がだんだんなくなりあたりの景色はブリナキア達がもといた平原へと姿を変えていく。
「もうさっきの技はいいのか。」
「はい、ここから出る方法が分かりました。」
ブリナキアはアランにそう言った、そしてブリナキアは扉の前にさっきの黒い色の霧を出した。
「ここをくぐれば扉を出れるはずです。」
ブリナキアがウルナやアラン達のほうを向いてそう言った、そしてブリナキアは最初に黒い色の霧の中へと入った、するとそこには黒い色の空間が広がっているが、少し進んだところに光が見える、そう、扉に入る前の場所の景色だ、ブリナキアはそこへ向かってゆっくりと歩いていく、だが扉に入る前の景色に見たことがないものが映り込む。
「今のは何ですかね…」
ブリナキアはそう言いながらも扉に入る前の景色のほうへと歩いていく、すると後ろからアラン達が中へと入ってきた。
「お、ブリナキア、まだ扉の外には出てなかったのか。」
アランにそう言われてブリナキアはアラン達のほうを向く。
「はい、ただ不思議なんですよね、扉の外に見たことがないものがうろうろしているんです。」
ブリナキアがそう言うと急にビドンメが地面に倒れこんだ。
「僕を置いていってください。」
ビドンメがそう言った時アランもビドンメと同じように倒れこんでしまった。
「俺も駄目みたいだ。」
アランがそう言うとすぐにブリナキアがこう言った。
「私がどうにかして見せます、だからあきらめないでください。」
ブリナキアはそう言ってウルナのほうへと歩いていきウルナにネデットを渡してから氷華刀を鞘から抜いた。
「この刀の力を使えば多分大丈夫です。」
ブリナキアはそう言ってアランに氷華刀を当てる、するとアランは立ち上がった。
「なんだこれは、力が湧いてくる。」
「私の力を少しだけ分けました。」
ブリナキアはアランにそう言った後ビドンメにアランにしたように氷華刀を当てる、するとビドンメもアランと同じように立ち上がる。
「すごい、力が湧いてくる。」
ビドンメがそう言うとブリナキアは氷華刀を鞘に入れて扉の外へと向かって歩いていく。
「もうすぐ扉の外だと思います。」
「だったら頑張らないとな。」
アランがそう言った。
ブリナキア達は扉の外の景色が映っている場所の前へとたどり着いた。
「じゃあ今から上に行きましょうか。」
ブリナキアはそう言って扉の外の景色が映っている場所から外に出た。
「本当に出れました。」
ブリナキアがそう言うとウルナもブリナキアがしたように扉の外が映っている場所から外に出る。
「すごい、出れました。」
ウルナがそう言うとアランはクロードと一緒に扉の外が映っている場所から外に出る。
「出れたね。」
クロードはアランのほうを向いてそう言った後ブリナキアのほうへと飛んでいきブリナキアの肩に乗った。そして最後にビドンメが扉の外が映っている場所から外に出る。
「おお、まさか本当に出れるなんて。」
「それじゃあ上に行きましょうか。」
ブリナキアはそう言った後上に続く階段を上っていく。するとそれについてアラン達も階段を上っていく。
扉の外に出たブリナキア達、そしてブリナキア達は塔の上へと上っていく、果たしてそこでブリナキア達が見たものとは、そしてブリナキア達は魔女を助けることができるのか、次回をお楽しみに‼




