はじまりはじまり
イエス・キリストの聖誕祭、その前夜には子供たちへ贈り物が届けられる。勿論、いい子にしていれば誰にだって贈り物はもらえる。神さまのことなんて全然知らない、極東の島国の子供にだって贈り物は届けられる。
そして、その贈り物は誰が届けるのかは世界中の子供たちの知るところだろう。サンタクロース。赤い洋服にもじゃもじゃの白いひげ。恰幅のいい赤ら顔の老紳士。
でも────サンタクロースの秘密は、知ってるだろうか。あの赤い洋服に纏わる秘密。何故、あの衣装でサンタクロースは子供たちに贈り物をしているのだろうか。ただ作家が思い付きで赤い服に描いたとか、目立ちたがり屋だからとか、そんなデタラメは信じちゃいけない。実は、ちゃんと理由がある。
本当はね、サンタクロースは二人で一組。黒いサンタと白いサンタがいた時代があった。子供たちの幸せを願って働いていた二人のサンタクロース。黒いサンタは悪い子を懲らしめて、白いサンタは良い子にプレゼントを配ってまわった。二人はいい仕事仲間だった。これは、黒と白が赤へと変わる物語。
贈り物というには悲しい物語かもしれないけれど、どうかここに綴らせてほしい。
聖なるこの日に君の幸せを願って。