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カコ、ゲンザイ。

作者: 祐天寺蓮花
掲載日:2015/05/26

「蝉の声が聴こえる」




もうあの日から何年経つのだろうか…。




「ひかり、またあの事考えてるのか?」




愛しき人の声が、夏音色に入ってくる。




「あ、隼人さん…」




2本の缶ジュースを手に持ち、私の横にそっと座った。




「どうでもいいけどさ、もういいんじゃねーの?」


「ええ、でもどうしても私が駄目なんです。なんて言ったら伝わりますかね…」




上手い言い回しが見付からず、頭を抱える。


それに気づいたのか


「まぁ、お前の言いたいことはなんとなく分かるさ。」




隼人さんはそう言うと、私を優しく包み込む。


私が隼人さんに謝ろうとすると


「いいから。“ごめんなさい”は聞き飽きたって言ってるだろう?」




と、甘いキス。




「そうだな、“ありがとう”ならいつでも受け付ける」




輝かしい満面の笑みでそう言う隼人さん。


この笑顔を見る度に安心する。












私はこの世で一番愛していた人を、殺してしまった。




「また明日な!」




あの時、腕を掴んで“行かないで”とでも言っていたら…




彼はまだ私の隣で笑っていたのだろうか。




そうだとしたら、私は現在より幸せだったのだろうか。




だったとしても、やはり運命というものは存在しているのだと思う。




いつかは消えてしまうのだろう。












あの夏のあの日、君は何を見ていて、何を思っていたの?






また話せる日が来るのだとしたら


私は君に「ありがとう」と伝えたい。












「愛してた」




右手に持っている缶ジュースを飲み干した。






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