プロローグ〜運命の始まり〜
読みづらいかもしれませんがよろしくお願いします。
あと、作者は受験生なので、3月まではめったに、もしくは全く投稿できません。それでもOK!という心の広い方は、読んでみてください。
それでは、どうぞ。
「……………はぁ」
今日も、一日が終わる。
朝早く起き、朝飯を食って部活の朝練に行き、学校で授業を受けて飯を食い、午後にまた授業を受けて部活の午後練を行い家に帰る。そして家に帰って飯を食って塾に行って学校の勉強の予習をして家に帰って寝る。
だいたい、こんな毎日。
もうすでにあたりは暗闇に支配され、街灯の灯りが道を照らす、塾の帰り道。
家に帰りながら、今日の塾でやった授業の内容を思い出し、チャリをこぐ。大通りに差し掛かった。信号が赤になったので止まる。
「……………あーあ」
退屈だ。
毎日毎日同じようなことをする。
少しづつ、1日1日に変化はあるけど、大筋は変わらない。
もちろん今の生活も嫌いではない。
けど、変化が欲しい。
矛盾しているとは思うが、今の生活だけでは満足できないのだ。もっと毎日いろいろなことがある日々を送りたい。
故に、願う。
変化が欲しい、と。
………おっと。
信号は今だ変わっていないのだが、体が前に出そうになった。
「あぶねーあぶねー」
いくら変化を求めていると言っても、死にたくはない。
しかし、なぜだ?
考え事はしていたが、今までもよく考え事をしていたし、こんなことはしたことがない。
周りを見渡してみると、人が1人、横断歩道を渡っていた。
ああ、そういうことか。確かに、周りの人が渡ると、本能的に渡りたくなるよねーって!いやいや、アカーン!今信号赤だって!引かれちまうだろーが!
「おい君!危ないからもどれ!」
今なら車は来てないから間に合う。
「おい、もどれって!」
しかし、なぜか反応がない。歩いているだけだ。
「くそっ」
危ないとはわかっているが、思わず車道に飛び出した。
立ちこぎで迫って行く。
「おい君!」
近くで止まって声をかけた。
しかし、なおも返事は無い。
そして目の前の人物に話しかけていたからこそ、忘れていた。今が赤信号だということを。さらにはぎりぎりまで気づけないでいた。今にもクラクションを鳴らしながら迫ってくるトラックの存在に。
「ちいっ!」
目のはしにトラックがうつった瞬間、俺は動いた。少しは運動神経には自信がある。まず、目の前の人物に突き飛ばす。ここで、初めてその人物が反応を見せたが、今はそれどころではない。次に、チャリのサドルに足で乗り、横にジャンプ。
トラックの前ガラスが近づいてきているので、手の粉砕骨折覚悟で腕を前に突き出す。
メシャ、という音がして腕がつぶれたが、なんとかトラックをかわすことができた。どさっと道路に倒れこむ。
「っ………………」
もちろん無傷ではないのだが。
むしろ痛い。もう気絶しそうなくらい痛い。血だってドクドクと出ている。
でも、後続の車に引かれるわけにもいかないので、がんばって立ち上がり、歩道へ歩く。
チャリは粉砕されていたが………まぁ、命二つに比べれば軽いだろう。
助けた人物のところへと歩いていく。
「おう、大丈夫か?」
声をかけると、その人物は振り向いた。そして、俺の姿を見ると、キッと睨みつけてきた。
「なんで……た…………よ………」
俺と同じくらいの女の子だった。
「え?」
声が小さかったので思わず聞き返してしまった。
「なんで!私のこと、助けたのよ!」
そしたらーーもうほんとに、すごい勢いで怒鳴られた。
「え………なんでって赤信号なのに渡っている人見たら助けに行くに決まってるだろ?確かに、俺は大怪我をしたし、血はぼたぼただれてはいるけど……2人とも生きていたんだから別にいいじゃないか。ほら、終わり良ければすべて良し、だろ?」
「そういう問題じゃないの!」
近くまで詰め寄ってくる。
「いい!!私の運命は、あの場でトラックに引かれて死ぬことだったの!わかる!!」
「あ、ああ」
まあ普通、トラックに引かれたら死ぬだろう。
「いいえ、そういうことじゃないわ」
声に出していたのか、反論された。
「なんでだよ」
そういえば、そろそろ病院に行きたいのだが。
しかし、女の子はそんなことは無視して続ける。
「いい!?あなたは、他人(私)の確定した運命を変えてしまったのよ!だから………」
「だから………?」
なぜか一旦言葉を区切ったから、その先を促す。
しかし。
「あれ?」
女の子の話を聞いている途中で、不意に、体から力が抜けて行く。
そのまま歩道に倒れこんだ。夜の寒さに冷えた歩道が目の前にある。
「ほら、こういうことよ」
上から声が聞こえる。
「他人(私)の運命を変えてしまったのなら、その運命を背負わなければならないの。つまり、”トラックに引かれて死ぬ”という私の運命は、全てあなたに降りかかる」
そういうことか。
理解した。
つまりは…………………
「なあ……………」
なんだかすこしづつ体が重くなっているものの、なんとか声を出す。
「何よ?」
「つまり………逆を言えば君は………俺の運命を背負うってことなのか?」
女の子から俺へ、ならその逆、俺から女の子へ、というのもあるはずだ。
「へぇ…………」
女の子が感心した声を出した。
「そういうことよ………………すごいわね、あなた」
「へ?」
いきなりなんだろうか。
「一番に、トラック。私を突き飛ばしてさらに”トラックに引かれて死ぬ他人(私)の運命”を背負いながらも腕の一本の損傷で済むほどの反射神経と運動神経。さらには”トラックに引かれて死ぬ他人(私)の運命”をねじ曲げて”腕が折れたことによる大量出血による死”とし、更にはその状態で私の話したことを理解してその先を予測した。この二つのことから考えて、明らかに異常よ」
「たしかに、な………でも、火事場の馬鹿力ってのもあるし、不可能ではないんじゃないか?」
死に直面した時の奇跡ってやつ。
「まぁ、不可能ではないかもしれないけど………そんなことが出来る確率なんてほとんどないわよ」
「ま、それもそうかね」
あ、目の前が真っ暗になってきた。
すると、女の子は、再び道路へ歩いて行く。
「お、おい、どこへ………」
俺の問いかけに、
「これも、運命なのよ」
と返された。
「!!……そうか……………」
つまりは、俺も今日死ぬ予定だったってことなのだろう。
「……こんな世界の人生でも、最後はすこし楽しかったわ、ありがと」
死ぬ前なのにね、と言って苦笑しているのがわかったので、俺も苦笑する。
「縁があったらまた会いましょ………ねぇ、最後にあなたの名前、教えてくれない?」
「………俺は、天風 蓮也だ………あんたは……………?」
「………私は、月花 柊って言うのよ、それじゃ、じゃあね」
彼女は俺に名前を言って、再び歩き始める。
月花 柊か………
頭の中で不思議な女の子の名前を呼ぶのとドン、と道路の方から音が聞こえるのと俺の意識が遠のいていくのはほぼ同時だった。
どうやったら、うまくかけるんでしょうか…………?