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青春時代  作者: つばさ
3/5

過去

もしもあの時、もしも・・・もしも・・・俺がこんな事をしなかったら助かったのかな・・・



俺はあの日から毎年来ている。


そして今日も。


愛しい、愛しい、美嘉。


「毎年毎年、お若いのにお疲れ様です」


「いいえ、こちらこそ、いつもありがとうございます。」


「雨が降ってますから、お気をつけて下さい。」

「はい。山田さんも気をつけてください。

それでは。」


「ええ、またいらして下さい。」


あの日もこんな雨だったっけ・・・俺は傘をさしながら、昔のことに更けていた。




ザー、ザー


「雨、凄いね。何か帰る気無くすよ。」


「まじですごいな。

美嘉大丈夫か??

家まで送るよ。」


「まじ?ありがとサン」


俺達は急いで電車にのった。

滑り込みセーフだった。


「間に合った〜

よかったね」


「おぅ、よかった。」


しばらくして俺達は目的の駅に着いた。

俺より先に美嘉は降りた。



もし・・・

もしもあの時俺が無理にあの電車に乗せず、一本後の電車に乗っていたら・・・

電車から降りるとき、俺が先だったら・・・

美嘉も、俺の気持ちもあんな風にならなかっただろう・・・




〜○○駅、○○駅〜


ガシャン


美嘉は俺よりも先に電車を降りた。


向かい側に黒い服を来た男がいる。美嘉とすれ違い様に、そいつは・・・



美嘉を、




美嘉を刺した。


男は走って逃げる。


俺は・・・ただ状況を理解できず、ただ・・・

ただ、呆然と上から美嘉を見下ろしているだけだった。


俺は回りの


「救急車!!

救急車!!誰か!!」


と言う声で我に帰った。


「美嘉!!!!

美嘉!!!!

美嘉!!!!

美嘉ぁぁ!!!」


俺は必死で美嘉の手をとり、美嘉の名前を呼んだ。


〜♪


救急車の音がドンドン近付いて来る。


「すいません、道を開けてください!

状況は分かりますか?」


俺に話しかけて来た。


「電車を降りたら、刺されて・・・それで、走って逃げて行きました。」


俺はそれだけ言うと救急車に乗り、美嘉の手をずっとにぎっていた。


心から助かることを望んで。


「つ・・ばさ・・・」


「なに?どうした?」


「ず・・っと・・・ず・・っと・・好き・・・だよ・・・わすれ・・ない・・・でね・・?」


「何言ってんだよ!!!俺も好きだよ!

愛してる、忘れないでなんて、まるで別れみたいな言葉言うなよ!!!

生きろ!!!」


俺が言い終わると、美嘉は一瞬びっくりしたような顔をしたが、すぐににこやかになり、


ゆっくりと・・・瞳を閉じた。


「美嘉!!!!

美嘉!!!

美嘉!!!!!!!」


俺はどれくらい泣いていたんだろう。


どれくらい自分を責めていたんだろう。


ごめん。

美嘉、ごめん。


俺のせいだ。


そんな事を考えながら電車に乗っていた。

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