序章
すいません前書きが長いです。超長いです。興味がない方は飛ばしてしまってください。
ただ、もしも序章を読んで少しでも興味をもたれた方、この前書きに聖女物語の大まかな概要、そしてテーマが書かれているのでよろしくお願いしますm(__)m
(ていうか、あとがきに書けばよかったような気が...∑゜□゜)
こんにちは、キンカラキと申します。
小説家になろうのユーザーの方々、そうでない方々もこの小説に立ち寄っていただいてどうもありがとうございますm(__)m
素人が書いた稚拙な文章でありますが、皆様の心に少しでも印象に残っていただければ幸いです。
さて、これから連載させていただきます聖女物語ですが、序章を読んでいただくとわかると思うのですが、結構残酷な描写が含まれていることが多いです。
物語の性質上どうしても仕方のないものになってしまいました。
最初は学園物のほのぼの超能力バトルを描こうと思っていたのですが、どうにも設定の段階で話が壮大になっていってしまったので、ほのぼのの項目は脳内消去させていただきました。
さて、序章でも書かれているのですが、登場人物が使っている能力は超能力でも魔法でもありません。
この辺は物語の重要な伏線なので、詳しくは書くことが出来ませんが、ほかに表現するタグがなかったのでやむなく超能力のタグをつけさせていただきました。
バトル物で残酷な表現が多い、物語を読んでいると、いったいどの辺りが聖女物語なんだ?って思う方もいるかと思いますが、最初から聖女な主人公なんてありえない。
最初から聖人君主な人間なんて不気味なだけだと思いました。
この物語に登場する人物のほとんどは暗い過去、人間くさい悩みを抱えています。それは他人にとってはたいしたことなくても、当人にとってはまさに人生に立ちふさがった大きな壁であり、また限りなく深い溝でもあるのです。
この作品のテーマは2つあります。
1つは人生の選択。
あの時にあの選択をしていれば今頃は別の人生を歩んでいたはずだ。
なぜあの時ためらってしまったのだろう。
もっとあの時頑張っていれば...
そんな過去が読者の皆様にもあると思います。
ですが、それでも、自分が選んできた道だから、そう言い聞かせてここまでの人生を歩んでこられたと思いますし、これからもそうであると思います。(もちろん自分もです)
さて、この人生の選択は言うまでもなくそれそのものが人生であり、くつがえすことの出来ないものです。
ですが、あの時の自分にとっては深く考えることなく、些細なものであっても、今思えば、重大なことであり、深く後悔をしている方もいると思います。
それはたとえ、軽いすれ違いであったり、軽い親切であったりとか、ですが、それがきっかけで何が起こるのかはわかりません。
もちろん、何も起こらないことが圧倒的に多いでしょう、ですが、そのほぼ、すべてのことに自分以外の誰かが関わっていると思います。
人は他人によって縛られ、他人もまた、自分を含む誰かによって縛られています。
他人を傷つければ、自分も一緒に傷がつく、それは、大切な人であればなおさらのことだと思います。
この話はそんな軽いすれ違いが起こしてしまった。悲しくも優しい物語なのです。
2つ目のテーマは人間の弱さです
さて、序章を読んでいただくとわかると思うのですが、いきなり2人の殺し合いから物語ははじまっています。
しかも片方は最初は逃げているだけで、殺意などはありませんでした。
ですが、絶体絶命の危機になると自分が助かるために、容赦なく殺そうとしています。
人が人を殺してはいけない、これはある、特定の時代背景時以外は、人間社会では当然のように定められたルールであります。
なぜ殺してはいけないか?そう問われると刑罰をうける以外の具体的な理由を説明できないかもしれません。
ですがそれをなしにしても、人殺しはいけない、ほぼすべての方がそう考えていると思います。
ですが人間とは弱いもの、そんな論理など、生命の危機、自我の危機の前には吹き飛んでしまうことがあります。
最初に殺そうとしている少女にも実は狂人になってしまったそれ相応の理由があります。(詳しくは後ほど本編で)
ただ、それは仕方がなかったとはいえ、やはり自己の弱さからきてしまったものなのです。
そしてその心の弱さは、たいていの場合が自分を守るために発揮される(っていえばいいのかな?)物と思います。
自分よりも他人を取ることが出来る人なんてめったにいないと思います。
かといって、仮にそれが出来たとしても、それが心の強い人、そうであるとはいえないとも思います。
本当の強さとは?そして、生きるということの真理とは?それが聖女物語の大筋のテーマなのです。
最後に主人公である神奈千春は、決して思いやりにあふれて、他人のために動く、そんな主人公体質ではありません。
どちらかというと、自己保身が強く、また、思考も幼い、さらに相当のネガティブな人間です。
ぶっちゃけ主人公失格です(爆)
しかしそんな欠点だらけの主人公が悩みに悩んで、時には間違いを犯しながらも、ある、ひとつの到達点にたどり着く。
聖女物語とはそんな物語なのであります。
この悲しく辛くそして苦しい、でも、どこか優しさのある聖女物語をどうかよろしくお願いしますm(__)m
最後にこんなにも長ったらしい前書きを呼んでいただいてどうもありがとうございましたm(__)m
聖女物語
第一巻 日常と非日常の狭間の中で
序章
風の強い夜だった。
11月の半ばの夜は寒い。しかも強い風が吹いているとあれば、誰もが好き好んで外を出歩きたがらないだろう。そしてそれは、平穏に暮らしている人々にとっては幸運なことだったに違いない。
「ハァ、ハァ、ハァ」
私はかつてない恐怖を感じながら夜の住宅街を走っていた。
息が切れる、苦しい、かつてこれほど真剣に走ったことがあっただろうか?いや、ない。私の人生では初めてのことだ、というか、何者かに追われる経験も初めてのことだ。
そう、今私は追われていた。誰に?わからない、初めて会ったわけではないが、顔を見たことがある。その程度の面識でしかない。それなのに追われている。いや追われているんじゃない。―――――命を狙われているのだ。
「どうしてこんなことに」
私は絶望を感じながらつぶやいた。
助けを求めて叫びながら逃げているのに誰一人として現れる気配がない。それも当然か。私は自動車並みの速度で走っているのだ、もしも仮に私の叫び声に気づいて駆けつけたところで私はとっくに見えないところまで進んでいるだろう。だが、それでも走りをやめることは出来ない。追いつかれたら殺されてしまう。あの異常者に。
むしろ誰も来ないほうが幸運なのかもしれない。誰かが駆けつけてくればあの異常者はためらいなく殺すだろう。何とか逃げ切るしかない。
私はかすかな希望を胸に逃げ回っていた。でも、ここがどこなのか、まったくわからない。
かなりの時間走り回っていたせいか、まったく土地勘のない場所に迷い込んでしまった。たぶんここは私の住んでいた町ではないだろう。もしかしたら市を越えてしまっているのかもしれない。それにここの住宅街はまるで迷路のようだ。同じような風景ばかりでなかなか抜け出すことが出来ない。
私は不意に足を止めた。いや、止めざるを得なかった。
「行き止まり!!」
周りは塀に囲まれていた。前にも横にも通り抜けられるところはなさそうだった
「何で、こんな迷路みたいな道を作るのよ、ここに車が迷い込んだらどうするつもりなの」
私は精一杯の声で毒づいた、もはや頭が正常に機能していない。頭の中がパニックになっている。
「あはぁ、みぃ~つけたぁ~」
不意に後ろからうれしそうな声が聞こえてきた。その声はまるでねずみを追い詰めた猫のようなイメージを私に与えた。全身が逆立ち、震えを抑えることができない、追い詰められたねずみはこんな心境なんだろう。
まったく体が動かない、声を上げたいのに口がパクパクするだけだ。頭の中も真っ白だ。
――――― シュゴ
幾度となく聞いた音がした。もう二度と聞きたくない音が。
「うあああああ」
私はようやく声を出すことが出来た、といってもこれは悲鳴ではない、痛みに耐えかねて全身から搾り出すような叫び声だ。
そう、あの音とともに私の体には風穴を開けられていた。今度はいったいどこを開けられたのかわからないくらいパニックに陥っている。
私は痛みのあまり地面に転がりこみ、ようやく相手のいる方向を見ることが出来た。
先ほどからずっと私を追いかけてきた相手は中学生ほどの少女だった。綺麗でまっすぐな亜麻色の髪は肩までかかる程度、少々病弱そうに見えるが小さな顔で整った顔をしている、そしてなぜか病院の入院患者が着る服を着ていた。服はともかくここまでみれば可愛い印象を与えるのだろうが、血まみれの病院服と、狂気が宿った、としか言いようのない異常なまでに見開いたまぶたが、可愛いという印象を吹き飛ばし、怖いという印象を与えていた。
「追いかけっこも飽きちゃったから、足を射抜いたよぉ」
足?足を射抜かれたのか?ようやく私はこの激痛が足からきていることに理解をした。同時に私はもう先ほどまでのように逃げ回ることが出来ないことも。
「あは、あははは、あはははははははは~。痛い?痛い?ねえ?痛いのぉ~?」
狂気に満ちた顔で笑っている。狂人、というよりも人間とは思えない。
―――――シュゴ
「ああああああ」
あまりの痛みに私は再び叫び声を上げた。今度は逆の足を射抜かれた。
いったい目の前の少女が何をしているのか?どんな凶器を使っているのか?最初はわからなかった。だがこうして対峙して攻撃を受けてみてようやくわかった。
風だ。風を束ねて光線のようにして打ち出しているのだ。
人体を貫通するほどの風、いったいどれほどの圧力で打ち出しているのか?
「あははははははぁ~、これでもうあなたは逃げることが出来ないわねぇ~。さあ、遊びましょうよぉ~。きゃぁはははははぁ」
―――――シュゴ、シュゴ、シュゴ
「いやあああああ」
風の光線が再び私の体を貫いた。
もう限界だ、私はこのまま死んでしまうのだろうか?こんな時漫画やアニメであればどこからかかっこいいイケメンが助けに来てくれるものなのだが、現実と空想は違う。どれだけ叫んでも誰も助けに来てくれない。
「どれだけ叫んでもむだよぉ~、あなたの貧弱な叫び声なんて私の風で吹き飛ばしてあげるんだからねえぇぇぇ~」
絶望的な言葉をかけられた。せめて私の死ぬ物狂いの叫び声を聞いて誰かが駆けつけてきてくれるか警察を呼んでくれるかもしれない、そう思っていたのに。
私、このまま死んでしまうのかな?死んだら誰か泣いてくれるのかな?嫌だよ、まだ死にたくない、死にたくない、死にたくないよぉ。
「何をやってんのよぉ、あんたも戦いなさいよぉ、あんたも能力を持ってるんでしょぉ~」
能力?確かにある、これまで生きてきて、そんなものは空想の世界だけで現実にあるわけがないことを知っていた。だが、目の前の少女は確かに現実ではありえない不思議な力を使っている。現実世界でかろうじて通用する不思議な力といえば超能力だろう。しかしこの力は超能力とは思えない、どちらかというと魔法に近いような気がする、だが、魔法でもない。超能力とも魔法ともつかないこの不思議な力は確かに私にも宿っている。だが、こんな力で今の危機を脱出できるとは思えない。それに、私に宿ったのは能力だけではない。
人間本当に命の危機になると意外と冷静になるようだ、目の前の危機に対してどうすれば助かるのだろうか、今までの人生で発揮したことがないほどの集中力で頭がフル回転していた。
―――――シュゴ、シュゴ
再び私の体を風の光線が貫いた。もう、私の体は穴だらけになっているとおもう。貫いた先から空気摩擦で傷口を焼いてしまうので出血がない。だから私は今まで生きていたのだ。そうでなかったらとっくに私は出血多量で死んでいただろう。
この耐え難い痛みを何とか押し殺し、私は地面に倒れこみ動かなかった。
「あれれぇ~、もしかして死んじゃったの~?それとも気絶をしちゃったのかなぁ~?」
近づいてくる気配がする、そうだ、こっちに来い、逃げることが出来ない以上、私の手の届くところにきてくれない限り私に勝ち目はない、ベタなおびき寄せの方法だがこれ以上の方法が思い浮かばなかった。
「だめよぉ~気絶なんてしちゃぁ~、あなたはもっともっと私と遊ぶんだからぁ~」
私の目の前まで来て私の頭を蹴飛ばした。いまだ。
私は死ぬ物狂いの力で起き上がり、目の前の少女を突き飛ばした。
少女は思ったよりもずっと軽かった、そして私の予想をはるかに超えて遠くへと吹き飛んでいった。
まずい、思ったよりも遠くに離れてしまった。せっかく手に届く間合いまで近づいてきてくれたのに、 私は、再び死ぬ物狂いの力で飛んでいった少女の下へと走った。
もはや足の痛みなどにかまっている余裕はなかった、とにかく死にたくない一心で少女の下へと急いだ。そして少女の下にたどり着くと仰向けに倒れている少女の上に座り馬乗りの形になった。
少女は混乱しているようでまだ自分の状況を理解していないようだ。今のうちにやるしかない。そう、殴り殺すのだ。今の私なら人間の体など簡単にこわすことが出来るだろう。私は覚悟を決めた。次の瞬間。
理解が出来なかった。一体何が起こった?私は助かるかもしれない。そう思って渾身の力で拳を振り下ろし、少女を絶命させたはずだ。それなのになぜ、少女は無事で私はT字路のところまで吹き飛んでいるのだ。
いや、わかっているはずだ、ただ、理解したくないだけで、そう、私は拳を振り下ろした瞬間に少女の起こした爆風に後ろから吹き飛ばされたのだ。しかも、この角度ならば本来は前のめりになるはずなのに、それすら許さないほどの圧倒的な風圧で。
私は理解をした。もう私に助かる道はないのだということに。
少女はいかにもがっかりしたような顔で私を見て、こういった
「つまらない奴、......死ね」
それが私の聞いた最後の言葉となった。




