タイトル未定2026/01/01 08:46
休憩しながら、よんでください
Metamorphosis 変化論 著 デグ・ネグトルド
例えば、鶏が卵を産むとき、落ちどころが不安定であると未成熟な雛を覆う殻に罅が入る。ゆくゆくはそれが原因で、健全とは言い難い酷い状態で、雛がかえる。この一環は何億年も昔に先祖である生き物も経験したはずの災難であるはずが、それから進化しているどころか、鶏に限っては退化し、その過ちの著しくを繰り返してしまっている。
鶏。それらは、家畜の代表格にふさわしい生き物だ。野生の鶏なんぞは見る事がないと言いきれてしまう程に、それは家畜として、十分にふさわしい素質を持つ。飼育が簡単で、メスに限っては我々にとって必要不可欠な鶏卵を産み落とす。それを育てようが割って食おうが飼育者の勝手で、人の勝手だ。
鶏は、私たちにとっては確実に進化している。そう、私たちにとっては…ここからは私の思うところを、私が内に携える持論についてと、発散もされずその形を不細工に歪めた不満について語らせて頂こう。
そもそも進化とは。進化とは、言わば便利になる為、都合よくなる為に、生きとし生けるもの全てが長い年月をかけて行う行為だ。高所の木の実を食べられるようになる為に、高い所へ登れるようにする為に、力がない分知能で補い生きていく為に。飛べない鳥に限ってもそうだ。飛べない代わりに足を速くする。飛べない代わりに殺人級の脚力を得る。その全てに意味がある。そして、その反対の退化にも、意味がある。飛べない鳥が皆無力か、鳥に鋭い歯が無いのはどうしてか、蛇に足が無いのは、どうしてペンギンが空を飛ぶのをやめたのか。そうだ、退化は適応だ。そして、それが進化だ。つまり退化も進化も表裏一体であり、そもそも退化などというものは存在しないに等しいのだ。
______しかし、仮にその退化というものが、既に進化した何者かによって実現されたと言うなら。進化した者にとってのみ有利に、都合よく働く進化を遂げたのなら。
つまるところ、それが鶏だ。彼らは、その進化を何者かに妨げられた。誰かと言われれば、勿論それは人だ。今の鶏を見たら分かるだろう。そもそも飛ぶことすらできない彼らは他に比べて足が遅く、更には目立ち、うるさく、そのくせ肉は上手い。体の部位を余すことなく使えて、彼らの産み落とす鶏卵においては何百通りと用途が存在する。一部ではその肉体を儀式に使い、祭り上げたりもする。彼らにとっての欠点が、どれもこれも人にとって都合が良すぎる。なぜか分かるか。
分かるはずだ。そうだ、我々が変えたのだ。我々が、彼らの進化を妨げ、彼らにとっての確実な退化を進化と偽ったのだ。それが既に何百、何千年も前から行われていたのだ。完璧な家畜として”進化”させたのだ。
彼らは目を覆いたくなるほどに悲哀に満ちた動物である。そして、血族動物の歴史もそうだ。鶏の血族動物。彼らも同様藻掻くも虚しくその地に叩きつけられた。これについて詳しく話そう。
遡ることおよそ2800年以上も前のこと。全ての発端である日本の文明がようやく栄えてきたころで、向こうで言うところの、縄文の時代から弥生の時代に移り変わる頃。それに前に倣うようにして海をまたいだ隣の国から、伝統や文化が持ち込まれた頃。そしてそれまでの全てが、ある一人の特異な存在により濃く上塗りされた頃である。それが顕現したとされているのは、日本は四国地方の北東、もしくは北北西側。どこが原点かは、今なおも論争の火種となってはいるが、その場所に一人の特異な姿をした少女が現れた。その姿は、どこもかしこも諸説だらけではあるものの、一番有力な説を抜粋し形容すると、顔はどの国のどの美女より良く、その幼げな見た目に反し、その美貌は見たものを惑わしたという。髪は天の羽衣のように凛として縫い目の無いように見えるほどの鮮やかな白。瞳は今にも轟雷が呻きだしそうな曇天を思わす灰色。体はまるで生まれたてかのようなほどに白く、柔く、傷一つ無い。暗く鬱とした森の中にその天女は一人立っていたという。当時それを見たものは皆、口をそろえて魔女と罵り殺して、四肢を千切った。なおも息を続けピンとしている様に皆恐怖し、その後数日をもって四肢を切り海に沈めた。幸か不幸か切り落としたその部分から海へ川へと流れ出たのは、その後大きく世を乱した”魔女の純血”であった。
そして、その恩恵を受けたのは、まさしく蒸発した水が雨となり、川となり、海となり、大地となるその場所を這い、惨めに殺され食われ果せた鶏共であった。そう、血族動物において、初めてその存在を記録したのは海川にいる魚ではない。ましてや大地から水を吸い上げる植物でもない。鶏なのだ。鶏であったのだ。生きる過程で退化することを余儀なくされた、哀れな飛べない鳥、鶏だったのだ。彼らは進化の第一歩を、その先に待つであろう過酷な競争の火蓋を切ることにより得たのだ……。
しかし、だからと言って人の言葉が分かるわけでも、人様同様に能力が使えたわけでもなく、ただひたすらに「もの分かりが良くなった」と、その程度である。何かに抗うため得た力はいつも斯様な物であった。彼ら飛べない鳥は結局、「ただもの分かりの良い家畜」として、その後2000年もの間を生きた。その2000年間を彼らは進化するという選択を取った。ようやく今の姿になったと思えば、待っていたのは理解し喋り、モノを乞い、なんともないただの家畜である同氏が、フライドチキンとして食卓に運び出され、弱小物の意でその名を呼ばれる事実のみである。これに限っては鶏以外もそうだろう。そう罅があるのだ。産み落とされた場所が地か水か空かでその後のことは9割決まる。ここで胸を張り上げる人生か、猫背になり腹を抱えて歩く人生かが決まる。これが進化である。
何者かがこう言った。「生まれながらに命の価値は皆平等だが、どう生きるかでその価値は変わる。」確かにその通りだ。紛れもない正論だ。2000年前であれば、それは確かにその通りだった。今の世でなかった場合、それはその通りなのだ。
事実とは、進化したとして、それが前に進むとは限らないということだ。欲しいものを取って付けるだけでは意味が無い。確実に自分の理想を掴みたいのなら”変化”しろ。変身するのだ。一時的でも何でもいい。今の自分の上に新しい、今までと違う衣をたった一瞬纏うべきなのだ。成らねばならぬのだ。
残念ながら、それを唯一可能にしたのが我々人である。ブラッディーとノーマン。彼らは前述した関係のお手本のような存在である。無論、ブラッディーが変化として、ノーマンが進化である。どの時代も、どの世紀においたとしても、優れていたのはブラッディーである。これは代えがたい事実に他ならない。悲しきかな、先に記したひびの入った存在は、腹におもりを抱えた存在は、我等人の中でもノーマンであるのだ。彼らはそのまま生き続け、変化することを嫌い、拒み、進化してきた。彼らノーマンが進化を選択して、結果どうなったか。そんなものはどの国を見てみても明らかだろう。ハイテクに頼らなければ我らに対抗できない。核で脅さねば対抗できない。見下げ果てる。彼らの体にはそれが宿らなかった。残念なことに彼らにこれ以上の躍進はない。これから100年200年と時が経ても、彼らは常に脅すことしかできぬ舌足らずな存在なのだ。アスファルト上で絶え絶えになりながらもその針で無謀にも威嚇する死にかけの蜂と何が違うのか。その破れた羽を必死にはためかせ、鱗粉を撒き散らすアゲハと何が違うのか。彼らにはピリオドが打ち付けられている。その内車か人かに踏みつけられ、藻掻くも虚しく確実な終わりを迎えるだろう。進化とは、終わりを見つけることにあるのだ。
中略
そして、変化する事のどこに進化を上回る事があるのか。簡単である。変化とは、その場その場に見合った才能を引き出し、一時的であろうとも過去を超越することにある。進化なんぞは、例えば人類がそうしてきたように、目を作り、耳を作り、口を作り、鼻を作り、それが顔となって足が生え、手が生え、性別によっては乳が生え。口があるなら話せよと、喋り、罵り、嘲て笑い。しかしそれはあれよこれよと、欲しいものを積み重ねてきた結果であって、その結果不安定で仕舞い所はどこにもなく、何か拍子に崩れ落てしまう、ガラクタ宜しく塵、芥となるだろう。そして、その崩れ落ちなかった部分が怒りであり、悲しみであり、何か果ての無い衝動であったりする。元の高さに、其れより高く積み重ね治すには、今日までの何乗分もの労力を要し、なおもどこへ進むとも知れない似非ギャンブルを、種族が絶滅するまで繰り返す。
それが進化だ。進んで、どこか見当違いに化けるのだ。笑えない。
私は、別に、ただ単に人類史を非難している訳ではない。ただ、ノーマンと言う時代とその柵の中に取り残された哀れな存在達に対して、今歩んでいるその道程が本当に正しいのかについて疑問を呈しているだけである。ただ私の言いたいことは、そんなことをしなくとも、得たものを積み重ねず、”タンス”にしまっては取り出し使い終わったら片付ける。その繰り返しである変化の方が有無を言うことなく良いということについての一点のみだ。それである方がよっぽど良いのだ。我々は、進化について何の疑問も持たぬまま今日まで生きてきた。その形を変えるのも賢明な一判断に過ぎず、それはそれ以上の答えを持たない確実なものなのだ。
”タンス”とは。これ以上の完璧な形を持たない収納具であると認識している。シャツやコートだけでない。靴や帽子、タオルに小道具、時には金庫の隠し場所として、時には家内侵犯から身をひそめる場所として。そんな便利なものが、この世に『特異能力』として新たに形作った。118種もの才能を、どこぞのメシアに選ばれた118人が、取っては片付け取っては片付け幾千年続けてきた。カナダのある男がこのタンスのサイクルを「循環の法則」と言った。右から左へ左から右へ。くるくるまわっているのが特異能力と言うものなのだと。全くその通りだ。いつか必ず打ち付けられるピリオドを待ち詫び草臥れるノーマンなんぞより、変化をもたらしたる都合の良い存在に頭を垂れて適応したブラッディーの方がどれほど素晴らしいか。
そして、至極当然ながらこの世にその純血の全てが揃い果せたことは一度もない。0歳から80歳近くまでブラッディーは、純血はいるのだ。それであるからこそ特異な力を持った者たちは稀有として扱われるのだ。
しかし、その稀有な存在もまた残念なことに、あの頃と、昔に大勢が核如きで背え比べをしていた頃と何ら変わる事無く、その都合の良い力によって、国の価値を高めてしまっている。進化を選ぼうとしてしまっている。なんせ何十億分の百。約して千万分の一の存在なのであるから。それいらが結局のところ運に選ばれたものであっても、その純血を一人得る事により発生する利益の底なしの度と言えばどれ程のものか。であるからこそ、私たちは彼らに示さねばならない。私たちは、今、試練の中にいるのだ。汝が海の底より私たちのことを見つめているのだ。そして、私達も同様に、過去を見つめているのだ。変化を選んだ私たちにしかない方法で、道を誤った愚か者としてではなく、変化しうる開拓者として、その道を示すことのできる、唯一の稀有な存在なのだ。
彼らは世界の欲する幾千の都合を叶えてくれるメシアに他ならない。それはつまり、我が世を、この世をイデアの楽園へと昇華させうる唯一の方法となり得、更に言うなら彼ら純血は、純血含むブラッディーらの祖である「魔女」の分身に違いないのだ。この世をこの世たら占めた『源司の魔女』の存在は侮るものではなく、汝が四肢を千切られ海の奥底へと沈んだ理由を説明しうるにたる根拠は、我々変化の歴史とその序章における開拓者がこの世を汝による進化から変化への分岐をもたらす為のメシアの使いであったのだと示すのだ。そうであるなら、汝によってつくられた其のタンスの中身を覗く機会が、ブラッディーに平等にあったとするならば、その我らがメシアを、もしかすれば胎児の頃に見ていたはずの夢の中で、居たかもしれないのだ。お前は違う、お前は違う、お前は、良いだろう。何を突っ立っている。お前は選ばれた。好きなようにタンスから能力を引き出すが良い。死んだら戻し、後の開拓者へ使命を託せと、そう仰せつかっては大いなる使命の元に生まれたのだと。その時点で、我等に変化するチャンスを与え給うた存在がいたのかもしれない。いたのかもしれないのだ。
中略
我々は安全で不完全な孵化ポッドの中に生まれ落ちた名高きメシアの細胞と何ら変わらず、其の細胞には我々の中の祖先の記憶を深く刻み込まれているのだろう。それは進化などと言う下賤なものではなく、都合の良い変化がもたらしたる、言わばチャンスとも呼べる代物だ。ブラッディーにも純血にも、メシアは等しく変化するチャンスを与え給うたのだ。たかがブラッディーにタンスの中を覗く権利など無いものではあるのだが、それでもそのチャンスをこの手にぎちぎちと音がするまで握りしめることができるのは、親が、祖先が、魔女がメシアが、そうせよと示したからであるのだ。力とは、能力とは、火属とは水属とは、特異能力とは、我々の細胞の中に眠る記憶の片鱗に過ぎず、我らが変化の道を歩んできた以上、その先は確実にあるのだ。
天女が羽衣を纏ったように、キリストがトリノ聖骸布を纏っていたように、我等もその先にあるものを纏うことができるのだ。ただの特異能力であった存在が、その先にあるものを経て”特異点”へと昇華し得るとするのなら、それこそが我らがメシアの思し召したる先に違いないのだ。
六七 , 四月十五日 訳 赤瀬 勇樹
かなり思想の強い内容だった。何が言いたいのかは「ふにゃッ」って感じでしか分からなかったけど、凄い重要なことを言ってるんだろうなって言うのが伝わった。それに、このネグトルドって名前、色んなとこで耳にしたことがある。確か、なにか大きな事件?戦争?の火付け役になった人物の名前だったはずだ。その人の著書ってこと?
まぁ、いいや。次は、これとか。
今よりはるか昔、とある小さな村でのお話_____
その村では数日間続いた嵐によって、川が氾濫し、村のみんなで育てた穀物や野菜がすべて流されてしまい、備蓄していた食料で日々をしのぐという厳しい生活を強いられていました。
このままではみんな飢えて死んでしまう。そう考えた村人たちは、みんなで話し合い、隣の村の住民に食料をおすそ分けしてもらうことにしました。
しかし隣の村まで行くには山を4つほど越えなくてはなりませんし、その村の途中にある橋が洪水の影響で崩れてしまっていました。
このままでは村の者が餓死してしまうと考えた村長は、山へ行き獣を狩ってこいと若い衆に伝えました。
しかし、山は嵐の影響で足元がとても不安定で危険な状態。
それを聞いた村長は、それなら船を出し沖へ出て魚を釣ってこいと言いました。
しかし、海は荒れ果て、魚も、鳥も、その姿を消しています。。
それを聞いた村の長は、それでは村の者を生贄に捧げ、神様に何とかしてもらおう。と言い出しました。もう他に方法が無いと悟った村人達は、なんと、その意見に賛成してしまったのです。
問題は生贄を誰にするか。この問題が解決せず、仕舞いには村人同士で争いが起こってしまいます。
「早く決めなければマズいことになってしまう」と、焦った村の長が、村で一番貧相な家族を無理やり生贄にしようとしました。そんな時、山へ偵察に行っていた若い衆が、ある少女を見つけたと報告に来ました。
その少女の髪は絹で編まれた衣を思わせるほど艶やかなで真っ白。そして、目の色は薄暗い灰色をし、顔立ちは皆見たことが無いほどに美しい少女でした。
その少女を見たとある村人が突然、「そいつは魔女だ。ずっと見ていると呪われてしまう。そいつのせいでおれたちが苦しんでいる」と叫びました。
それを聞いた村人達はこれといって疑うことをせず、生贄のことも忘れ、少女を縄でつるし、石を投げつけ罰を与えました。
その日、少女は体にたくさんの傷を負いました。しかし、不思議なことにその傷が翌日にはなくなっていたのです。それを見た村人たちは恐怖におののき、次第に少女への罰は増していきました。
腕や首を切り落としたり、火を放ったり、大きな岩の下敷きにしたり。
しかし少女は生きています。それどころか傷は1つもありません。そんな少女を憐れんで数少ない食料を渡す者も数名いました。
そんな状況を見かねた村の長の提案により、この少女を例の生贄とすることが決まりました。
そうして次の日、少女は四肢を切り落とされ、巨大な布できつく巻かれ、石の棺に閉じ込められたまま海に沈みました。
それから数日が経ちました。川の流れは落ち着きを取り戻し、魚も鳥も港に戻ってくるようになったある日。村で不思議なことが起こりました。とある住民が謎の力を使えるようになったと、村の長の元へ駈け込んで来たのです。
その村人は、確かに奇妙な力を使えるようになっていました。そして、それに続くようにして沢山の村人が同じような力を使えるようになっていました。
手から火が、水が出せる。それにとどまらず、念じるだけでモノを動かせたり、負傷した村人の傷を、呪文を唱えるだけで治してしまう者まで現れました。
そんな不思議な能力を使えるようになった村人たちにはとある共通点がありました。それは、彼らが少女に数少ない食料を分け与えていた人たちだったということでした。それを知った村人たちは、申し訳ないことをしたと悔やみ、少女のために立派なお墓を建てました。
今や魔女の血を継いだ血族は人だけにとどまらず、動物や植物までもがその偉大で聡明な力を受け継いでいます。少女が沈んだ海は埋め立てられ、現在は『聖都ウィッチグレーブ(魔女の墓)』として立派な建物が立ち並ぶ大きく華やかな都市となっています。その少女も『源司の魔女』と呼ばれ、血族からは唯一神として崇められています。
うーん。これは、知ってる話だな。幼稚園生か小学生の時にほぼ毎週読んだり聞いたりしてたからよく覚えてる。こういうのもあるんだ、ここ。
じゃあ……今度はこのカセットテープとか。あれ、なんかチラシみたいなの挟まってる。
今......立ち止まり、これに目を通してくれたのなら、それは幸いだ。私は運がいい。どうせそこいらの汚い壁に、誰かの嚙み潰したガムと共にでも貼り付けらているのであろう。この先、否これまで、うぬはあーだ、うぬはこーだと、ユスリカが道路の真ん中で戯れているのと同じ程に胸糞悪いこの場所で、耳が腐り落ちるほどに嫌味ったらしく言われて来た諸君はどう今までを覆すつもりでいるのか。この聖なる地外で生まれ育った諸君は今までに見たことが無いような刺激とヒントを求めてこの地へ赴いたのだろう?いそいそしく毎日が過ぎてゆき、才能の原石だった人気者の彼や彼女は、今や聖都の職員となり、金をハブらせ理想なんてものを抱いた1時間後にはそれを叶える生活を送っているんだ。それに比べてあんたはどうなんだい。ここまでムキになって読み進めているんだ、何かしら突き刺さってしまったんだろう。図星であったんだろう?どうだ、少しだけさ、金も取らない。私のところへ来て話でも聞いてみないか。分かっている。こんな風に言ったら、どこかの孤独屋のじじいの戯け事に付き合わされると、そう聞こえてしまうのだろうが違う。一先ずこの町、この国、人。それから穢れた歴史。その諸々のことについて、諸君の知りたいことをご教授して差し上げるのさ。学校なんぞで受ける講義なぞより、幾分はためになるはずだ。
一つ忠告をしておくが、私の話し方は人をムカつかせる。それでもかまわんのなら、来年の九月末。場所も明記する。暇なら来い。もやもやすることがあるなら来るがいいサ.......................あぁ、継子はいるぞ。
南区三百二十七-六-九
十四 , 七月一日
高渕教授による機密講義とその始終
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ほらほら、諸君。静かにしてくれ。聞く気はあるのかどうなのカ。続けるぞ?......はぁ...かの戦争、血族と無血族における下らんいざこざにおいて、特に日本と言う国は戦後の国内における情勢の変化が、顕著に出た。無血族共は死に晒し、自由に闊歩することを許されていた関西以南への行き来の制限。この国に住まう、およそ1.2億人の無血族は関東以北へと追い遣られ、ギュウギュウ詰めにされる羽目になった。広いように見えて、その中に1.2億人を収容するスペースなんざあるようで全くない。仕方なくできた巨大都市が『超都市センダイ』とかいう無血族の最終決戦兵器構築場よ。日本にとどまらない。大陸に住まう連中は、敗北種共を山へ追い遣り、海辺を己らで占領、大きく発展を遂げた。それら格差を更にこじ開けたのがユスリカ宜しく血族連どもだ。彼らが出しゃばりだしてからは随分と事が早く進んでいった。
先ず、出てきたのが「アンドラ・グラストンの循環法則」とやらに則って、「純血のみが保持しうる特異能力の質や汎用性などなどの点から上位三十名を厳選し、王室の警備及び聖都全域の顔役となる存在として仕る……カッコ最強純血ランキング上位30を特に意味もないが王室の名誉と血族連の見栄のため選び出して死ぬまで飼いならしてやるカッコトジな為として「王室三十式者」などとかいう、所謂「サーティ」という名の大殺戮グループが発足された。その一人一人が核兵器並み、もしくは直径200kmのメテオール並みの破壊力を有しており。まぁ、要するに彼らからすれば、地球を滅させることなんぞは蟻の巣を打ち壊す事ほどに容易く暇つぶし程度の戯れに過ぎんということだ。そう考えると良くもまぁここまで地球が生き残ってこれたものだと感心できる。
ん?………もっとわかりやすくハナシテくれだと?……何を言う?分かりやすい極まっておらんか?これ以上諸君に分かりやすくする方法など私には見当が着かないナ……なに、純血について詳しく話せ?……そんなもの、そこら辺に落ちている該当資料でも読み漁ってくれタマへ。
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ひとつ言うが、私はどちらの味方でもない。そもそも斯様な争いごとには正直興味がない。しかしながらに敵は腐るほどいる。例えば人だ。人は皆私の敵である。お前も、お前も、それにお前も、私の敵に違いない。血族動物なんぞは………どうだろう。彼らは良くも悪くも素直で、そして素直は私の好物だ。味方になれと言えばなるだろうし敵になれと言えばもちろんなるだろう。素直は扱いやすいから、アハ。彼らほど善と悪がはっきりした存在も中々おらんだろうから...故に、私は人を殺すことには一切の躊躇いが無いのだが、夜、ふらりと散歩に出かけて気付かぬうちに蛙を踏み抜いた時なんかには、不快感と申し訳なさの波が心を埋め尽くしたものだ。人なんぞよかそこいらの爬虫類の方がよっぽど悲哀に満ちているんだから。
そして、ご存じの通り、血族動物は染色体の数や、遺伝子情報云々が人に近い動物ほど血族の其の血の効能を受け継ぎやすい。つまり、人に近い遺伝子構造のサルなんぞは血族種として生まれれば、人かそれ以下並に能力の扱いが長けているというわけで、蛙なんぞはそれを持ったところで致死量の負荷を受け即死という様で。まぁ皮肉なものだ。虫や魚共が、何十億年と繋いできた地球の歴史をたった何千年で捻りつぶそうとする憎き生き物人間がそれら基準になっているのだ。完成された、レベルの高い漫才なんかよりよっぽど面白い。
この世にある真実とは、血族は勇敢でかっこよくて、純血は皆羨ましくて、血族連合は正義の味方で、無血族共は哀れで。ソレラハ基本真実だ。真実も嘘も政府が作っているんだ、どれもこれも真実に違いないよ。紛れもない……なんだ、言ってみろ………あぁ、ハハ。そうだな。俺が斯様にうだうだと駄弁るのは…こんな面白い話を私が独り占めしておっ死ぬのは…とてもつまらないと感じてしまったの一言に尽きるから……だっけか?私は昔、血族連合、厳密には聖都市にて仕事をしていた。高官とかいう、言うところのコーヒーを出せと命令するとシロップと社員の弱み付きゴシップが付属でついてくる役職だ。血族至上主義のこの世において、私のような小難しい特異能力を持った純血は大変稀有だったのか、たったの23と言う年齢であの地位を築いた。私が来るまで必死に働き、その地位を確立したもの共を容赦なく叩きのめしてな。私の横領がバレ、高官の地位から叩き落され、解雇された際の彼らの嬉しそうな表情は今でも夢に見るほど覚えている。さぞ嬉しかったろう。そのまま退くことも考えたがそれは流石につまらなすぎる。私は聖都市から盗んだ資料を、コピー機がガタガタと悲鳴を発するまでコピーして好きなようにばら撒いた。あれはすごく爽快だった……後に、公文書偽造や機密情報漏洩云々言われ、私が学生の頃暮らした寮と何ら変わらない貧相な獄に閉じ込められたんだけれども。と自分語りもうだうだ続けてもつまらないだろう。まぁ、要するに、私があなた方にばら撒いた、もといお配りいたした資料を見つけて読むが良い。それは紛れもない真実なので。まぁ、中身はここにて駄弁ていることと大して変わったものではないが………おいおい、おいおいおい。なんで俺様の有難ぁい講義にガキが紛れ込んでいる……そこの2人。なんだ?迷子か?ハハハ……なんだおめぇ、2人とも純血か…?たまげたなぁおいおい。この小汚い部屋に純血が三人もいるぞ。こりゃ、滅多にねえ……どうした、血相を変えて……お前、じゃ分からんな。そこの半分白い奴。あぁそうだお前だ。お前は何番だ……番号だよ番号。おめえ純血だろうが。なんで識別番号知らねえんだよ。情けない。おら、なんて名前の特異能力だ言ってみろ………あぁ?再生だぁ?それなら既にドイツ人に……下らんな。もういい。おら、次お前だ………ナンバァセブニィセブン…たまげた。そんなものを…………野妃?……あぁ知っているぞ。それがどうした………あぁ……お前、高助の……そうかそうか、あいつ子供がいたのか。それで、高助は………話が逸れたな。すまない。
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あぁ……ここからが、所謂本題だ。もちろんお前等優秀な人共は知っているだろう、純血はおよそ18までに特異能力を発現しなければならない。しなければ、潜在していた特異能力様は暴れだす。自分以外の周りの人、物全てを巻き込んで。
高等教育施設であったか、あそこでは特異能力を持って産まれた運の良い幼子を隔離し、その特異能力が発現しうるまで手を焼かし、育てるという。勿論その中には18までに能力を発現することができず爆発し、生まれて初めての人殺しを経験するものもいるとか。そんな彼ら純血のメンタルケアを……なんだ意見か?……そうかそうかそうだった。このことはお前等凡人の知らぬところであったな……これというのも、IRO…いいや、政府が必死に隠してきた事柄でね。特異能力を発現しうるトリガーが何であるかは、本人を含めて誰も知らない。不意に発現する者もいれば、こうしてみればどうだという助言によって発現したり、産まれた途端から無意識に扱えていたりする。このことは純血にしか知り得ない感覚ではあるのだが。そして、何故18を過ぎた純血が特異能力の暴発に見舞われる。なんて超特急に知っておかねばならんことを、ひた隠しにするのかについてだが、それはたった一つ。唯々ぞんざいな、それでもってそりゃそーだムニャムニャと言わんばかりの納得な理由。それが「純血のイメージが落ち兼ねない」から………ハハハハ、どうした。一昔前もそうだったはずなんだけれども、そうだな。一世紀ほど前までは、純血の数なんかより「核爆弾」なるものの所持数の方が、各国の強みじみていたのだけれど、その時も似たように核の危険性の公表を避け、原子力エネルギーのイメージ向上を必死に行って来おったんだ。今政府がしているのは”それ”なのだよ。効率が良いだの、適切に扱えば無害だの、その内に秘めたる危険性は1つも変わらんのにな。勿論、そんなもんはいつまでも浸隠くせん。いつかは綻ぶ。私はそのプライド集団がそれらの始末をどうしているかを人伝手に聞いた。どうやら、特異能力が爆発すると政府お抱えの”記憶改竄”の特異能力を持つ純血がどこからともなく呼び出され、その場で海馬や小脳、大脳皮質をいじくりまわし、爆発させた純血の記憶を都合よく書き換えてしまうのだと。死んだ、もとい殺した研究者の存在を戸籍丸ごと削除するんだと。まぁつまり、メンタルケアなど必要ないということだ。もっと言うなら、今この国やこの世界を堂々と歩き仰せている純血の中に、早々に人を殺めた者がいるというわけであって……ん、殺された方の遺族はどうなるのか?……お前は聞いてなかったのか?記憶を改竄するんだよ。そうそう、たまに記憶改竄を施す前にメディアにしゃしゃり出る者達もいるが、そんなご遺族方達には申し訳ないが、いつもご退場頂いていて……なんだまたいちゃもんかい?……そんな話は聞いたことが無い……誰から聞いたか…だと?……はは、先ほどの話に何度か登場しているサ……そうだヨ、その記憶改竄の特異能力者様サ…彼はお金が大好きでね…二桁万円渡したらコーヒー片手にすらすらと話してくれたよ……何、私も記憶を書き換えられているんじゃないのか?……はは、そうかもしれない……そうなら、心の底から気に食わないな。
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休憩がてらに、紀元前100年ほど前のこの国にて、今はトップシークレットなんぞと言われているとある事象が起きていたことも話しておこう。愁帆という名のとある純血の女児が齢11という若さで特異能力の爆発に見舞われたという。先に駄弁った通り特異能力が爆発するのは18を過ぎたあたりで、時限的暴発なんぞと呼ばれるくらいには予測の付く事象であるから、まぁこんなことは絶対にないものではあるんだが、考えられる原因として、彼女は同じく純血の血を継いだサルの血肉を食ったから。や、その場に18を過ぎた純血がいて、そいつの爆発に巻き込まれた。嘘であると言ったものまであったりなかったり。だから未だに詳しい部分はわかっていないと。まぁ真相はどうあれ十分に興味をそそられるような話だろう。だが、本当に面白いのはこの後なのだ。どうやら特異能力が爆発したとき、彼女は彼女でなくなっていたと言われている。つまり、赤の他人がその少女に、その瞬間に憑りついてしまったかの様に豹変していたのだと。
『解離性同一症』。彼女は、おそらくその爆発の瞬間にそれになった。未熟すぎる体に明らかに過剰すぎる純血の作用を摂取、心身ともに負荷がかかり過ぎた事が原因とされているが、詳しくは判明していないそうだ。まだある。爆発の後、特異能力を自在に操ることができたのは主人格ではなく、後から出しゃばって来た第二の人格のみで、元居た人格は一生特異能力を操れず死んだという話だ……ははは、そうおびえる必要はナイサ、君等がそうなるってわけじゃないんダカラ……?なんだ………言っておくがこの話はあくまで伝記に記された御伽噺であるからして、真相もクソもないんだぞ?そなた等におびえる権利などもあるはずがないのだが……まぁよい。
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知っているだろうか、まぁ知るはずもないか。実は純血と言うものを確定させて妊娠させる方法があるという。そうだな、まずは純血についての大前提のことから触れることとしようか………あぁ、お前たちはどこまでもメンドクサイな。わかったわかった。すまない、気を引き締めるから斯様な表情はやめてくれ給え。
そもそも純血とは何ぞやという話なんだが、容易く言ってしまえば、お前らご存じ、口の閉じ方を忘れてしまうようなイカレタ能力である特異能力とか言うのを操る血族のことを言う。其の特異能力ってのも一度持ってしまえばその純血がオッチヌまで誰とも被る事無く、地球上において唯一であり無二である存在になるという訳なんだが、そんなら純血とはどのようにして決まるのかという話になるよな。この世をこの世タラ占めている純血が如何にして決まるのか。こういうとき、最も簡易的に説明する場合のテンプレートとして「引き出し」とよく言ったりするんだが、これについて、説明して進ぜようかい?………まぁ、なんと答えられようがするんだがね、ハハハ。この世界にゃ今現在124種類の特異能力があってだな、発見された順に番号が付けられる。例えば『影の中にいる間は外部からの干渉を一切受けつけない特異能力』なんてものは、いちいち言うのはめんどくさかろう?だからさっき言った能力なら、ナンバー……なんじゃったか……えーと、あぁ!言わんでくれ!思い出せそう!思い出せそうなんだよ!えぇと………そうだそうだ『ナンバーシックスティツー』だ。62番目に見つけたから、『ナンバーシックスティツー』。そんな具合にカウントされていくんだが、どうも純血とは呆れるほどに種類が多い。そのナンバー62みたく環境を上手く利用する特異能力だったり…なんといえばよいか…なんだ?……なんだと?お前、ここにいるということは、しっかりあの張り紙を読んで来たのだろう?なら知っているダロウ。私は母国語がドヘタなのだ…ハァ……まぁいうところの分類分けであって。ほら、猫とかいう動物の中にも、スコティッシュナンチャラやロシアンナントカとやらがいるように、彼ら純血の持ちうる特異能力の中にも種類というか、個体差はあれどもそういうモノがあるんだよ……オイオイ、静かに聞けんのか。ナニ?例えがいまいち違う気がスル?……あぁ、もういいよお前。茶かしに来たんならさっさと帰れや。
そうだな……例えば『ある環境下を克服した架空な生き物を生み作り操る』ふざけた能力や『理科学的な発生なり衝突なり転移なり含んだ反応を司っちまった』危うい能力だったり『次元なり空間なりを曲解せられたる方法で操る』バカげた能力なり、そう言うのをウンタラ特種なりカンタラ特種なりとややっこしく分類分けたりして…………面白いだろう。特に『ある環境下を克服した架空な生き物を生み作り操る』能力なんてのは、術者である己が何の気なしに只只顕現させた化け物に全て押し付けようとしている、よく言われる協力とかいう押し付けがましい、ただ責任を丸投げしただけの術であり、どこまで行ってもその様は本当に滑稽だ。ハハハ、結果逆に……あぁ、いや何でもない。いやはや、しかし、この能力は実に詰まらん。私は協力ナンゾが大嫌いでな。そんならよっぽど数学云々物理云々の方が面白く、扱いも簡単……じゃない、楽しい。そう思うだろう?諸君。まぁ口で説明するのは体中の骨が折れてもしきれんだろうから………おい、いい加減にしてくれ。何がそんなに不満なんだ…しっかり説明してくれないと分からない…?戯け。今しただろう?口を噤んでろ。
あぁ、相当話がそれたな。なんの話だったか……そうそう引き出し引き出し。特異能力とは、言うところの引き出しサ。124種類ある能力を…そうだな、その頃にすでに能力を発現した純血が100人いるとして、残りの24人のうら若き純血においては、誰が、どの特異能力を、何時のタイミングで引き当てるかは結局本人以外の誰にもわからんのだ。その能力は所謂『引き出し』もしくは『タンス』の中に煩雑に入れられていて、己ら血族は胎児かそれ以前にその中にある純血になる権利を、運が相当良ければランダムで引き当てられるというのだ。そして特異能力を引き当てたものはその生を全うし、死んだと同時に今まで預かっていた特異能力をその引き出しやらタンスやらに仕舞い、そうして使命やら運命やらを次の赤子に託す。いいや押し付けると。それを延々と今まで、そんでこの先の先の先まで続けていく。これが所謂『アンドル・グラストンの循環法則』とやらで、純血と言うものサ。分かったか?そして、その中でも「サーティ」なんてのは過去に幾度となく受け継がれてきた特異能力の中において、その扱いに長けた者を選び抜き、そこからまた厳選する。でないと存在する純血の云百分の三十なんぞに選ばれたりせんだろう?………なんだお前、トイレか?……くだらない…?あぁあぁ、ならなんも言わずにさっさと行けやクソが………あぁ、スマナイ。
それでだ、話を最初に戻そう。そんな、ランダムな特異能力をどうして100%で引き当てるというのか………なんだ、イチャモンは無しか。ははは、随分と物静かになったなぁ、ははは、はは……あぁ、ええと、まぁ、言ってしまえば、”ある種”の純血の少年少女を各地より集めて、殺して、ある成分を抽出して、妊婦の腹に注ぎ込む。ある成分とは、純血だけが体に持つ「SA分泌ホルモン」のことを言うんだけども、それを詳しく解析すれば、その純血がどういった特異能力を内に秘めたるのかが分かるというものだそうで、それをどう抽出するのかについてだが………なんだ、まだ話の途中だぞ……あぁ、そうだったな。それについても言わんとだな。先に話した、”ある種”の少年少女についてだ。
そうだなぁ…それは、この世に生まれちゃならんもので、この世がこの世である以上、どうしても生まれてきてしまう、ある種のバグのような、この世の灰汁とでも言うのか。つまりはそのような存在だ。
『The Children』か『Clb』と、そう呼ばれている。彼らは、思春期の間に訪れるランダムなタイミングで”その事実”を知る者達だ。その事実は彼らに途方もない絶望を与え、そうして彼らを打ちひしがれさせ、挙句に様々な方法でその特異能力を引き出しへ返させるのさ。彼らをそうさせる事実とは、ずばり、特異能力を持っていようがそれを行使できないということだ。ピンとこないか?……わかるはずだ、一体その事柄が何を指し示すのか………………ソウダ。死だ。
私は何分か前にこう言ったはずだ。
「純血はおよそ18までに特異能力を発現しなければならない。しなければ、潜在していた特異能力様は暴れだす。自分以外の周りの人、物全てを巻き込んで。」ってな。はは、俺…私は、記憶力が良いから、一度言ったことはすべて記憶しているぞ?ははは、はは………それで、特異能力があるのに使えないということは、特異能力によるその暴走が確実に起こるということで。つまり”時限式の爆弾”と言うわけだ。だから集めて、殺すんだ。勿論、その際にもお金が大好きな純血の彼が手を貸してくれるそうで、Childrenを産んだ母親と家族の海馬や小脳を……はもういいよな。
それで………なんだ……オオ、丁度ソレについて話すところだ。なぜ特異能力が使えなくなるのかについてだ。ほら、学校で周りにもいなかったか?なんかしらの疾患を持って産まれてきた奴が。補聴器を耳にはめ込んでいたり、日も差していないのにサングラスをかけていたり、年中車いすに座っていたり。純血にも勿論それがある。純血ってのは、そう言った制限を持って産まれてしまうと避けられぬ絶望に相まみえることになるのだ。そうして彼らはメクラになり、死ぬのだ。彼らの場合は、産まれて起こる全ての先天性の疾患が頭に集中する。産まれてから何年かは普通なのに、思春期に入るや否や完全にランダムなタイミングによって脳の感覚を司る部分が破損するのだ。例外なくな。つまり、そこで余命宣告を受け、それを聞いた家族はその場で突っ伏し、泣き崩れ………………気付けば、純血の子供なんてものが存在しなかった世界に降り立ち、悲しみも怒りも後悔も何もかもを忘れ去って平和に暮らすのさ。
そうして彼らは子供のまま取り残されるのさ。だから『The children』なのさ。
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それで、先に話したキッズについてだが。嘘だ………あは、あはははははは!!どうだ!!信じたか!!あは、ははは…いやぁ、スマナイスマナイ……グフッ………なんでそんなに深刻そうなんだ!!あはは!!……おお!!出て行くか!!出てけ!!今出ていけ!!お前らみたいなんざこっちからお断りだクズ共がッ!………………ははは、すまないな。冒頭から今まで必死に手を挙げ質問攻めにしていたのがお前らだけだったもんで、馬鹿を元の掃き溜めに戻しただけさ。彼らはここに居るのが私だと知り、ただ茶しに来ただけの胸糞悪いユスリカさ。それに、あいつらはキチガイを見る目で俺を見つめていたよ。いつもの通りだ。あの時と同じさ。
勿論、さきの話は本当だ。あぁ、純血を確実に引き当てる方法も本当だ。SA分泌ホルモンを抽出して妊娠8か月目以降の妊婦の腹に注ぎ込んで純血を確定させるのも本当だ。The childrenと呼ばれる、死のみを待つ純血のガキどもがいるのもだ本当であり………それを免れた者も。
嘘じゃないぞ?嘘なんてついてない。俺は、例外はないと言ったが、これについては、そのキッズの中にある存在が同じ意味として含まれていることについてそう言っているだけだ。ただ、その存在はさっき言ったような時限爆弾云々みたいなのよりも厄介で、それよりも胸糞悪いモンだ。そして彼らはそう呼称されるに同じくふさわしい者たちだ。つまり”もう1つの意味を持つ子供達”と言う訳だ。良いか、ここからは話すことは本当の本当で、本題中の本題だぞ?………良い目だ。良いじゃないか、その顔、イカすね。君たちを残して正解だったよ……良イカ…特異能力の中には、不思議なことに”1度のみ”人前に存在したとされる特異能力が多数存在する。
我々血族種の歴史はおよそ3000年。文献通りなら、2600年前には既に30種の特異能力が観測され、それから4年に1人は確実に純血が産まれ、最近は落ち込んじゃあいるが、だいたい50年間で一種ずつの頻度で新しい特異能力を記録する。そのサイクルによって今現在の124種までの種類を数えるに至ったという訳で。そんで勿論、その引き出しとやらから既に文献に載っているああいう能力やそういう能力を引き出すことも頻繁に、というより、大半はそうなんだがあるんだ。
それでだ。その中で”たった一度のみ観測された特異能力”の数がいくつか知っているか……そこの半分白いの、答えろ……なんだ、勉強不足にもほどがあるぞ……鬼娘、お前が答えて見せろ………そうだ、23種だ。直近200年で見つかったもんを除いても21種。その21種の特異能力において、最新の、一番直近での記録で脅威の713年前だ。純血ってのは平均没年齢が75歳と基本早死にだから、それを踏まえて異常だろ?だってよ、ある純血が死んだとして、早けりゃその10年後には能力が循環を果たすことだってあるんだ。例えば、そこのガキが持っている再生と言う能力なら、西暦1213年に記録され、その丁度120年後に別の純血が受け継ぎ、その102年と三か月後にはまた他の純血が受け継いで、そんな具合に90~130年以内に循環を果たして今に至る。基本的に特異能力ってのは皆そうだ。先に答えてもらった23種もそうでないとおかしいんだ。循環を果たさねばアンドルの提唱した法則にはこれという欠陥があることになってしまうからな。だというのに”奴ら”はそう言うこともあると切りの悪いことばっか抜かしてやり過ごしている。俺の目はごまかせねえぜ。まぁ…そうだな。この異状が彼ら取り残された子供たちを産み出したと言っても過言でない。
まぁ、そう言うこともあるんじゃないかと、未だ未知の作用が加わっている、循環の法則にはそもそも不備がある云々思索することもできてしまうんだが、違うんだ。全然違う……………。そんなつまらないもんじゃないね。そもそも、この循環の法則ってのが真意究明を妨げていて、それでありながら真意を構築している。それで、今聞こう。ここでいう真意が何であると思う。急ですまないが答えてもらうぞ?これはミステリーだ。”もう1つのキッズ”とは、3000年を経ていながら一度しか姿を現しておらん21種の謎とは。どうして他の特異能力同様に100年周期で循環せず、たった一度姿を現して消えたと思う。そして、どうして一回だけだと思う………ははん、まるで分からないといった様子だな。よーく考えろ。ヒントは循環の法則だ。循環の法則。タンスの中にある特異能力を引き当てることのできる1000万分の1の存在達。循環の法則。純血が死ねば、そ奴の所持していた特異能力はタンスに帰り、次の者を待つ。循環の法則。循環の法則…………おい、まだわからんのか。大概……良いだろう、大ヒントだ。死ぬと引き継がれる。死ぬと引き継がれる。何が引き継がれるって、そりゃ特異能力だ。何が死ぬって?そりゃ純血だ。1度だけ記録されて、それ以降音沙汰無しと来て、素直にじゃあその純血は死んで、その21種の特異能力はタンスの中で気長に待っているんだなと宣うか。馬鹿言うな。
仕方ない。答え合わせだ。イイカ……この21種の純血は、死んでないんだ。最低でも713年間もの間、生きている……いや、半分は死んでるんだが……と、置いて行くつもりはないから安心しろや。しっかりと教えてやる。
特異能力。幾千の都合を叶えるシンギュラリティ。その中には生活を豊かにするモノから人殺しに適したモノまで多岐に及ぶ。そん中でも、特段イカレタもんが幾つかある。有名どころだと、ナンバァイレブンやナンバァセブンティーン、ナンバァエイティーンにナンバァトゥエニィスリィとかだな。これは一例に過ぎないんだが、その力を見くびっちまうとこの地球や俺らの存在する時空を矛盾させうる、つまりは世界を滅ぼし兼ねんもんで、1度しか姿を現していないその21種の内の4つでもある………つまるところ、この21種とは、その全てが”この世界の危険因子”になりうるイカレタ特異能力なんだ。それは、サーティなんぞ取るに足らんような特異能力だ。生まれた瞬間に地球を破壊しかねないんだ。暴発を起こせば因果が崩れ兼ねん力だ。そして、そんな奴らだけが都合よく姿を現さないという。分かるか、この偏りの真意が。いったいなぜか。どういう偶然か。将又神の情けか。源司の魔女の慈悲とでも?いいや違う。
人の手による保管だ。
高渕 十九美 十五 , 九月二十四日
持ち出し厳禁
……………?…………え、なにこれ。なにこれ?……じゃあ私は?…………いや、いやいや……こういうのって……っていうか、これ日程来年になってるし…表記ミスかな……。
今の複雑な世において、秩序や見通しの良い未来開発等は無くてはならない必要事項目であり、それを覆そうとする思想は、この絶妙なバランスを保つ均衡という名の天秤の、その片方を地に落とし兼ねない排他すべき存在に違いない。発達した技術と秩序を築いてきた先代の屍たち、その崇高なプライド。現代に生きる凡的な人たちや、この先に生まれてくる罪を背負う必要のない人々。それ等が手を取り肩を組み、空を仰ぐ平和な未来。なりたいものを好きに夢想し、将来この国や世界に貢献する有能で有望な存在や、それになり損ね、捻くれて陰湿になってしまう者がいる均衡の取れた微妙で平穏な世界。それを蔑ろにし兼ねない存在が、実のところ、密かに忍び寄って来ている。
この地球上、至る所で、絶えることなく戦争が続いている。それは下らない理由からマットウな理由まで様々で、双方が互いの行き過ぎた正義と無駄なプライドをぶつけ合い続ける。そのせいで金も人も土地も、どんどんと消えていく。有能な血族から知的なノーマン、タングステンの弾丸100万発から大型飛行機による航空支援までありとあらゆる人材と資源と資金が戦場に差し出され、それ等が尽きるまで殺し合う。我々はそんな最悪の循環をどうにかしたかったのだろう。
だから「能力の自立化」を夢見たのだろう。人でなく、精神的な存在である「能力」様に戦ってもらいたかった。己の考えを放棄し、自分以外の何者かに、どうにかして欲しかった。そうなのだろう。そうやって懇願し、妄想した。その結果が、つい先々月に出た。内容はこうだ。
「私ども世界血族種開発センターはこの度、ある常識を完全に覆すことに成功し、それを発見し、理論を組み立てた学者に敬意を込め『東理論』として発表するに至った。その『東理論』とは、18世紀のドイツの血族史学者であるドゥヴェインシュベルト氏の著した学説『血族と能力』より”ブラッディーと能力は、絶対的に主従的なものである。”という、この世をこの世たら占めた一文を確実に否定したものである。
この一文に続く『つまるところ、彼は無力だ。先へ進むために残した足跡に首を掴まれ、沼の底へと引き摺りこまれてしまっている。力を否定されたがそれに対抗する術はない。火を焚き上げ、水を汲むが、それの無意味さと、そこから発展させた事の顛末の愚かさを我々は知っている。彼の果てが進化の行き着く虚無である。そして、それを支配下に置いたのが我々である。』という、血族の支配力の優位性を示した一説により、当時の世の中を完全に混沌と化させ、行き過ぎた血族至上主義者とそれを鎮圧せんとする政府との抗争を世界中で産んだ。
それを聞いたアメリカの一学者が「純血における特異能力の暴発」を例に一部否定したことにより、その熱を冷ますに至ったというものである。しかしながら、たった一部を否定してみせただけではその後に大きな変化は非ず、未だ学徒の信者を持つほどに根強く残っている。それら学説を完全に否定して見せた『東理論』が何であるかの説明へと移る。
『東理論』とは、大まかに言うと「発動の3原則の大改変と能力の自立」である。ご存じの通り、能力を発動するまでには、構築、起導、制御と言った、発動の3原則、別名CLCと呼ばれる3つの段階が存在している。ここで一つ一つを丁寧に説明する必要は現段階で不要と認めた為、省くものとする。
私どもが実現しえたのは、所謂”能力が自立した”という、画期的かつあり得なかったはずの事象である。これは、先ほど説明した「従来の発動段階を相当に短縮する」ことができ、且つ「血族の能力使用による負担を減らす」ことができるという”付属品”までもがついてくる。我々はこの二つについては悪魔で付属品であるとする程度の認識に留め置いている。我々の主たる目的が「能力の自立」にあり、それであっても大きすぎる付属品であることに違いはない。
能力単体の自立。つまり、能力が自分の意思で考える、などと言う小難しい事ができるはずがなかったが、しかしその『能力の為の優秀な脳みそ』さえあれば、そんなこともなくなってしまうというのだ。
能力の脳みそ。そんなものがそもそも存在するのか。なにをそれの代替とするのか。
我々が目をつけた能力の脳みそ。そしてその代替とは、つまりAIである。「S3(super surveillance system)」と呼ばれる、当時理論上可能とされ超遠距離監視等を目的として開発の第一段階にあった、縦1,4cm、横0.8cm、厚さ0.04mmの次世代型内部挿入式端末。つまり「チップ」である。このS3の内容の具体的な説明は、現時点では保留にするものとするとして、ざっくり行ってしまえばこれはAIの力を底上げするスーパーコンピュータを内蔵した依り代であると考えて欲しい。
このS3の特徴として、性能や専門性、その他得意分野において”特別極端”な偏りを作る事が挙げられる。これは、本来は一時的なバグとして認識されており、修正される予定にあったものがアヅマ氏によって応用される形をとる事となった経緯があり、S3を指導し開発していた技術者らによる反発は絶えることが無く、結果S3の修正前段階を複製を取る形で受け継ぎ、本来のプロジェクトから派生する形で今回の発見と発表に至る。
S3についての話へ戻る。
S3における特別極端な偏りについて、例えばこのS3に「ある限り全ての運転知識と技術、車の内部構造や各パーツのグレード、更には世界中の交通情報諸々」がインプットされたAIをインスト―ル、それを人に装着させてしまえば、そこにドリフト走行なんかも可能な唯一無二の『生きたドライバー』が誕生する。例えばこのS3に「ある限り全ての犯罪行動心理学のデータと解決済みの難解事件のデータ、高IQ犯罪者の思考」なんかをインプットしたAIをインスト―ルし装着すると、今ある未解決事件の凡そ8割を解決してしまうような『生きた名探偵』が誕生する。装着についての詳しい内容は後述させて頂くとして、つまり、ただその分野に限定された存在をこのS3が依り代となることでこの世に顕現させることができるのだ。
そもそもAIには、特定の分野に強い”特化型(ANI)”、役割が限定されない”汎用型(AGI)”、自己意思決定を持ち高度な知能を有する”超越型(ASI)”の3つが存在している。S3は最初の段階においては、この3つの内の”汎用型(AGI)”を基盤として製作されていた。
当時はその使用用途が故に自然科学、地球科学や工学などの幅広い知識を持ったAIをインストールする予定にあったものの、前述した試作段階のS3のバグにより路線が分岐、これにより我々の主たる目的と、分岐された試作段階S3(以後『αS3』と呼称する)の内容とが一致する、現存されるAIシステムの発見にも至らなかった。よって我々は、新たにこのαS3の依り代となりうる新たなAIシステム。つまり、「能力を使用する者への脳みそ」の開発に着手した。
結果は良好。αS3との相性も抜群。
名称を「αAI」と呼称させていただく。このαAIは察しの通り「特化型(ANI)」を基に製作されている。
そもそもαS3には元来、次世代型内部挿入式端末という名だけあって「能力使用者の体温や血流の速度を即座に数値化し、体内に含まれる『魔女の血』の割合から血族種の活動限界を逆算する機能」が備わっており、αAIはその機能を最大限活用し、体の興奮状態や感情の起伏をそれいらによって導かれる能力使用者の考えのその先を行く決断をものともしなくなる設計となっている。加えて、人体内部の神経系に間接的に作用する赤外線透視レーダーをαAIとともにαS3に付属させている為、能力の効率化された発動と独創的で完璧な思考を合わせ持った「脳みそ」を作り出すことに成功した。
今回使用したαS3はそれ等を仲介するAIのための便利な手足であり、脳みそである。その脳みそを能力者の得意とする起導法に沿って装着させるのだ。
私であれば印法を好んで使用する為、利き手の甲、もしくは掌に。言法を好む者は頬、もしくは喉に装着する。と言った具合だ。もし黙法が趣味と言うなら脳みそに埋め込むという手段も備えている。これら状態で能力を使用すると、構築、制御を省略することが可能になる。これが所謂発動の3原則の大改変に当たる。未だ試作段階にあるものの成果は著しく良好で、これが現実のものとなれば能力そのものに考える力がつき、主人は「とりあえず」や「こんな具合で」と言った曖昧な方法で能力を発動するだけで確実に正確で適量の能力を使用することが可能となる。更に、この「S3」は、その規格が故に微細な振動にも敏感であるため、それ等性質を応用し人の脈拍による振動を動力の98%に充てられるよう改良する事にも難なく成功した。つまり、このαAIが存在しているαS3は、生きている限り、もしくは一定で振動を続ける場合において、永遠に、半分脳死の状態であったとしても最適な能力判断を下せると言う訳である。」
どうだろうか。これを読んでみて、素晴らしい画期的だと、素直に喜んでしまっていいのだろうか。
AIとチップ状のスーパーコンピュータによる最強の組み合わせで作り上げた能力の為の脳みそ。聞こえは良いが、それを我々人類がまるで人形の様に操ることが、はたしてできるのか。例えば、その脳みそが”メカ”や”重工”みたように形を持ってしまった際。人より優れた判断能力と殺傷力。敵対勢力を、なんなら国家までをも命を消費することなく容易く握りつぶせてしまうようになるかもしれない。ミサイルや光線なぞでは到底殺せなかったあれやこれやそれを、"能力を使用する"と書かれたボタン1つで抹消できるようになるやもしれない。
例えば、そのαAIとやらがこちらの意思を完全に無視した思考を独自に行った際、肉と能力を手に入れた非人間が人類史に名を遺す史上最悪のテロを起こすかもしれない。その時人類は肉体を裁くことしか出来ず、そもそも非人間と同じ土俵にすら立たせてもらえないのだ。そんな”詰み”がたった今、起ころうとしているのだ。たった今、この瞬間にだ。
こんなもの、人類にとって無謀な発明ではないか。進化は人が死に絶えるまで続くつもりなのか。
結局のところ、この理論を組み立てた人間は何も彼の学説を否定できていないのだ。
『彼の果てが進化の行き着く虚無である。 - アーカー・ドゥベインシュベルト』
中村 誰然 著『秩序の瓦解(上)』より一部抜粋
二十 , 七月三十日
ここ聖都ウィッチグレーブには我々の体を支える五臓六腑のように、5つの建造物によって機能している。私たちはそれ等建造物を”塔”と呼び、この聖都ウィッチグレーブのそれらをまとめ上げる場所として師支局とも呼ばれる管制塔が存在している。
以下より、各塔及び各部署の説明である。
・王室
聖都ウィッチグレ―ブの象徴である。
・司法塔
日本国内における血族種の為の「法」を司る場所。立法府直属の塔であり、我が国における血族種への法整備を行う場所である。
・八幡電工塔
聖都のライフラインである「電気」の全てを管理している。高さ60mを有に超す電波塔とその足元を支える世界最高クラスの超効率を実現させた発電機群があり、聖都の全人口およそ90万人が一斉に使用しても悲鳴一つと上げぬ国内最高クラスのルーターを配備した中継局、基地局が隣接している。
ゆえに、警備が厳重である。
・管制塔
別名師支局。以上3つの塔の管理を行う。
聖都市において「王室衛血軍」と呼称されるおよそ2000人からなる軍隊を所有している。この軍隊は水属、火属、空間認識と、それより派生した能力のいずれか二つ以上の資格3級以上を保有した血族種のみで構成されている。
この管制塔内にもいくつか支部があり、第1支部~第8支部まで成る。加えて聖都内には管制塔が2つ存在し、南側に第1管制塔(第1支部~第4支部)、北側に第2管制塔(第5支部~第8支部)がある。
これら1~8の支部を1つずつ説明するのは手間がかかるため簡易的に説明する。
・第1管制塔 (第1~第4支部)
聖都内外の監視やアナウンス、その他各塔の管理が主な業務内容だが、第1支部においては聖都の所持する王室衛血軍、更に純血のみで結成された「王室三十式者(別名サーティ)」を指揮する権限を持つ『飛位』の役職が唯一存在する塔である。さらに飛位の2つ下の位である『王位』においては聖都ウィッチグレイブの象徴で容認されたもの以外は立ち入ることが禁じられている”王室”へ行き来することが可能となる。
どちらの位においても聖都にて15年以上務め、相応の評価を得ている必要があるため容易に就くことができる位ではないということを理解する必要がある。
以下が第1管制塔第1支部における位である。*上位順
・飛位(ヒイ 全属資格1級+特定の属種1段必須 定員1名)
聖都の最高執行責任者である。聖都内での最高意思決定を果たされる。
・角位(カクイ 全属資格1級必須 定員5名)
・王位(オウイ 特定の属種資格1級必須 定員12名)
王室への行き来が可能となる『KRサイン』を任意で受け取ることが可能となる。内容は伏せるものとする。
・金位(コンイ 特定の属種資格1級必須 定員18名)
・第2管制塔 (第5~第8支部)
瀬戸内海の中腹に浮かんでおり、第1管制塔とは直線で50km程の距離にある。
職務の主な内容として、聖都内外からの顧客対応や聖都内の清掃、パトロール等の役割を担う。さらに各塔への不足分のサポートを行ったり掃除用品やコピー機等の新調、備品の在庫管理や発注などの総雑務も担当している。
カスタマーサポートは第5支部にて対応。 コール[0120-xxx-xxx]
人事部の説明でも記述した通り聖都における役員は例外を除き、血族種(B ⁻クラス相当の血族動物を含む)のみを採用している。そのため、聖都で業務をこなす役員の9割が血族種で構成されている。
聖都ウィッチグレーブ役員会役員 第1管制塔第1支部 エンバー・M・フェーデン金位
今晩は七草粥です




