作戦開始、いざ、本番 1
更新遅くなりました!!
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夜は深まり昨夜と同時刻、ホォルティオは1人エリーナの訪問を待つ。リンネはトニーとノアの部屋で何かあった時の為に待機をしている。
―――――――コンコン
「ホォルティオ様、エリーナです。」
戸を叩く音と共にハキハキとした口調のエリーナがいた。
どうぞと戸を開けて部屋に招き入れる。
クッションを敷いてエリーナを座らせるとホォルティオが問いかける。
「怪しい人物いた?」
「いえ、居なかったと思います。私が気付かなかっただけかも知れませんが…」
「怪しい人物がいないということは居ても怪しまれず施設を出入り出来る人物だろうね」
「……学園内に手引きしている者が居るということですか?」
「そう考えるのが自然だろうね。まだ憶測の段階だから無闇に疑う必要はないよ」
「はい、分かりました!」
「エリーナ嬢には伝えてなかったけど証拠を持つ為にこの部屋に遠隔録画機を2台取り付けてある。棚と扉の柱付近にね」
ホォルティオは指を指しながら説明する。エリーナは目を開き瞬きを何度も繰り返す。
「え、えー?遠隔録画機ってもしかして監視カメラですか?」
「ああ、前世の記憶が戻った際に防犯や何かあった時の証拠を提出しなければならなくなったら必要になるだろう。少しずつこの時代でも使えるように改良したんだ」
「わぁ~!ホォルティオ様天才ですね!この映像ってどうやったら見れるのですか?」
ホォルティオの説明にエリーナはキラキラ目を輝かせ話を聞きたくて堪らないといった表情を見せる。
「このコンパクト型視聴機で遠隔ライブ通信や録画映像を観ることが出来るよ。この水晶を入れ変えるだけでね。この水晶は魔石と言って、古くから使われていた魔力を持つ宝石なんだ。この宝石を発掘して保管しているのがガルシア公爵領地なんだ。今は使われる事が無くなってきて利用価値が落ち込んでたのを見て閃いて作ってみた。」
「えー!これがプレイヤーみたいな役割なんですね。手のひらサイズなのに高機能過ぎます!ってことはこの話してる内容も殿下達や陛下にも知れ渡るって事ですか?それってヤバくないですか?もし私達が転生者だってバレたらどうしよ……」
「エリーナ嬢、言葉遣いが令嬢らしく失くなってるよ。心配しなくても大丈夫。今の会話は異国語として聞き取れないようになってるから。だって日本語なんてこの王国で理解できる者なんていないだろう?」
「あら、失礼しました!確かにそうだと思いますが…大丈夫でしょうか?」
「僕が信じられない?色々失礼なことしたし信用されてないのかな僕は…」
「あ、いえ、信用してないとかそういうんじゃないです!ただこの世界で初めてこういう機械を見たのでちゃんと機能するのか心配でして…」
「そっか、良かった。…色んな場所で何度も試験的に試して安全だって陛下にも許可を取ってあるから何も心配ないよ!」
「そうなのですね。でも、ホォルティオ様は前世の記憶を頼りにこの世界で使える物をお作りになるって順応されていますね。私なんてゲームの世界のヒロインになれたと喜んで一歩出たら現実がこんなにも厳しく辛いものなんて耐えられないと転生したこと恨みました。ことごとく運のない平民の少女で母を亡くし父とは疎遠で会うことが出来ず手紙だけのやり取り。顔が見えない分文通相手は本当に父なのか、この言葉達は本心なのかと疑ってしまうこともあります。会いたい気持ちは本心ですが、会って傷付くのが怖いんです。本当は愛されてなかったと知ったらこの先生きる希望がありませんから。本当に情けないですね…」
「……情けなくないよ。僕が君の立場だったらここまで生きられ無かったかもしれない。この世界に絶望して自ら死を選んでたと思う。そのぐらい僕は弱い男だよ。エリーナ嬢は逞しく自らの境遇に不満はあっても生を断ち切ろうとしてこなかった。一生懸命に前を向き頑張って生きてきたんだよね。僕はそんなエリーナ嬢を尊敬するよ。」
ホォルティオの言葉にエリーナの瞳から涙がこぼれ落ちる。今までの人生でそんな風に言ってくれる人が周りに居なかったのもあって嬉しいと生きていて良かったと言葉にしていた。
この姿だけ見たらまるでホォルティオがエリーナを泣かせたように見えるだろう。いや、そうなんだろうけど決して嫌がるような事をして泣かせた訳じゃないし…って誰に言い訳しているのだろうか…。
「この際ですし、ホォルティオ様とゲームのお話させてください!」
「ああ、うん、そうだね。昨日途中までしか話せなかったよね」
「はい!ホォルティオ様は何かゲームに関して気になることありますか?」
「……気になることは…初め記憶が戻った時に悪役令嬢が自分の姉だって気付いてどうしたら回避できるんだろうって思ってた。でも、ケイン殿下との婚約がルイス様に変わって悪役令嬢になるシナリオから外れエリーナ嬢との接点も無くなった…。これってケイン様との婚約が成立しなかったからなんだよね?」
「はい、そうです!ルファティナ様が出てくるシナリオはルファティナ様の生真面目さや優秀な成績を修める姿に息苦しさを感じていたケイン様が入学式で迷子になってた私を気に入り流れで恋人になりました。その姿が気に食わないルファティナ様が次第に私に嫌がらせをして行きます。と言ってもルファティナ様の取り巻き令嬢がしていくんですけどね。ルファティナ様は指示をするわけでもなく令嬢達がしている行動を把握さえしていませんでしたが最終的に取り巻き令嬢に裏切られてケイン殿下に断罪されます。なんともいえない最後ですよね…。何も関与していない婚約者を大勢の前で無惨にも婚約破棄を言い渡す殿下には腹が立ちました。私はこのシナリオが一番嫌いです!ホォルティオ様のお姉様がそんな悪役令嬢になるわけ無いのに酷いですよね…」
「そっか、そういうシナリオだったんだ。ケイン殿下との婚約が成立していなくて本当に良かった。この話を聞いてゲームのシナリオ通りに姉上に最悪な未来が待ってる事はないんだね」
「ええ、ルイス殿下と婚約成立した今は幸せな未来しか見えません。だから、ホォルティオ様安心してくださいね」
エリーナは穏やかに微笑みながら大丈夫ですよと教えてくれた。
ホォルティオはエリーナの話を聞いてやっと不安要素が抜けていった気がした。最悪な未来はもう見ることはない、そう確信した。




