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いざ、作戦開始、前夜


夜が深まる時間にホォルティオの部屋には先ほど呼んだ4人が集まっていた。


「明日の夜にあの計画決行するんだろ?」


「そうだね、エリーナ嬢はあの小瓶を持って僕の部屋に1人で来て貰って一時間半二人っきりになる」


「一時間半もあれば既成事実を作れたと思い込ませるって踏んでるのよね?本当に騙されるかしら?」


「それは何かアクシデントがない限り大丈夫だと思うよ」


「ホォル、もしかしてだけど本当にエリーナ嬢と既成事実作らないよね?」


「………!?」


「……そんなことあるわけないだろ!僕にはラピアネという立派な婚約者が居るんだぞ」


「今、間があったんだけど少し気持ちが揺らいだとか?

もう!エリーナ嬢の事が心配だよ~。やっぱり予めホォルの部屋に入ってクローゼットにでも隠れてようかな…」


「バカノア!いい加減にしろ!この計画がバレたらノアのせいになってケイン様に怒られたいか?」


「うう、トニー言い過ぎ………それは嫌だ……ケインは怒ると閻魔大王みたいに怖いもん…」


「ノア様、心配してくださって嬉しいですよ。でも、絶対にホォルティオ様とそういうことはありません。」


「なんでそう言いきれるの?エリーナ嬢はホォルのこと好きなんでしょ?」


「憧れの好きですから恋愛対象外です。一線越えたら私的にはアウトです。ホォルティオ様がもしも万が一そのような行動すれば容赦なく自己防衛して急所を狙います。」


「………なっ!!!!」


「………うぅ、エリーナ嬢本気で容赦ないな」


「…ふっふはは…やっぱりエリーナ嬢は他の令嬢達と違ってて好感持てるね~!!そんなに言い切れるなら大丈夫だね!」


「行動的で芯のぶれない姿は他の令嬢達に無いものね。きっとエリーナは社交界でも上手くやって行けそうよ。ノア、頑張って落としなさい!エリーナだったら姉として認めるわ」


「リ、リンネ、エリーナ嬢がいるこの場で言わないでよ。恥ずかしいって…」


「…………?ノア様、お顔が真っ赤ですが大丈夫ですか?お疲れが溜まって熱でも出ましたか?うーん、熱は無さそうですね」


「………ッッ。え?今の聞こえなかった?」


「聞き流してくれたとは思えないのか、お前は…」


トニーが話を切り出してからホォルティオとエリーナの作戦会議をし始めたつもりだったが些か話が逸れすぎている。ノアの問いかけでエリーナから一方的にホォルティオが振られたような話になって正直聞いてて気持ちの良いものじゃない。


そして今、ノアの額に手を当てて熱を計っているエリーナの行動にノアが真っ赤に顔を染めている。ノアの珍しい姿にトニー、リンネは楽しそうに笑っているが僕は何故だか気に食わないと思ってしまっている。よく分からない感情だ。


エリーナ嬢に付きまとわれてたのが、今はエリーナがノアに付き纏われている事に戸惑っているんだろうか…。

でも、それなら僕としては嬉しいことだ。喜ばしい事なのに…。

うーん、恋愛対象外と言われプライドが傷ついたのだろうか?


まあ、いいや。

明日の夜作戦が成功すれば恋人の演技は終わるのだから。


「もう、そろそろ部屋に戻った方が良いんじゃない?」


「あ、本当だわ。エリーナ帰りましょ!」


「はい、そうですね。では、失礼します。ホォルティオ様おやすみなさい」


「ああ、おやすみ」


リンネは時計を見てエリーナを連れて部屋に帰っていった。


「トニーとノアも帰った方がいいよ?」


一向に立ち上がろうとしない二人を見てきょとんと首をかしげるとぶんぶんと顔を横に振る


「え?何?」


「せんせーがホォルが一人で眠るのは寂しがるから一緒に寝てもいいって」


「あの奥に簡易ベットが仕舞われているんだ」


トニーが指差す方を見ると扉に隠れるように仕舞われていた。

それをノアが素早く組み立てて行く。工作や物作りすることが好きなノアは説明書なくても物の数分で組み立て終わった。


「………あのさ、僕一緒に寝るとか言った覚えないんだけど。てか、兄上は何吹き込んでんだよ」


側にあった枕をベットに投げる。兄上はホォルティオを未だに幼い子と同じように思っているらしい。僕が10才ぐらいまでは兄上がガルシア邸宅に泊まる時は一緒に寝て貰ったことがある。がそれだけだ!あの時とは違う。


「ホォルティオの荒れてる姿は珍しいな」


「もう!誰のせいだと思ってんの!トニー達も兄上の言うこと聞き流してよー」


「えー、聞き流すって言葉、僕にあると思う?」


「うん、ノアには聞いてないし期待してない」


「うわ、ホォルが僕に冷たく当たる~!ねぇ、トニー酷いと思わない?」


「………思わない。ノアはたまにうざったい」


「えー、弟にそういうこと言うなんて酷いよ。もう!こうなったらリンネ達の部屋で寝ようかな~」


「………おい!冗談でもそういうこと言うな」


「じゃあ、もっと優しくしてよね、二人とも」


「はぁー寂しがり屋はノアの方でしょ」


「………確かに。相手にされないといじけるよな」


ノアはホォルとトニーの言葉に黙りを決めて素早く簡易ベットをホォルティオのベットに横並びに移動させて予備で置いてあった布団を乗せて寝床の完成だ。


「ほら、完成したよ!寝床も準備出来たしここで寝ていいよね?」


「……今更それ聞くの?折角組み立てたんだから使わないと勿体無いでしょ」


「ふふっ、ホォルティオも素直じゃないな」


「うん、ホォルの許可が出たし寝よう!」


3人で川の字の様に寝転ぶ。この世界にはない修学旅行の様で友人達と宿泊することが楽しくて嬉しくもある。基本的に貴族間で各々の家を行き来して泊まれる程お気軽な立場でないのでこの機会は貴重なんだと思った。


「……修学旅行みたいで楽しいもんだな」


「しゅうがくりょこうって何?」


「……えーと、本で読んだんだけど、遠くの異国の学校では学生の為に修学旅行って名目で学年ごとに旅行に行くみたいなんだ。その土地の歴史を勉強したり観光目的で学生同士の思い出作りも兼ねてるらしいよ」


「へぇー、ホォルは本当に物知りだよね」


「……もしかして、あいどるとかおたくって言葉も知ってるか?」


「えっ?誰かそんな言葉使ってたの?」


「エリーナ嬢が使ってたんだよ~!」


僕の前でも言ってたぐらいだから他でもボロが出てたか…。

僕もたった今ボロが出たから人のこと言える立場じゃないけどさ。


「異国ではエンターテイメントの仕事で歌って踊れる男性グループや女性グループをアイドルって言うことがあるんだ。その人達を熱狂的に応援する人をオタクって呼ぶ事もあるらしいよ」


「ふーん、なる程。ってことはさっきも言ってたがエリーナ嬢にとってホォルティオはアイドル的存在なんだな。応援するだけで満足するってことか」


「そういうことなんだ!だから恋愛対象外なんだね」


ホォルティオの説明でトニーとノアは理解できたらしい。

トニーの言う通り僕はアイドル的存在だからエリーナにとって神の領域にいる存在。恋愛対象者として見るなんておこがましいとかルール違反になるのかもしれない。

そう言うことなら理解できるし納得できる。

今、先程のモヤモヤがストンと無くなった気がした。








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