ホォルティオ悲惨な入学式
ホォルティオの学園生活が始まります。
仲の良い三つ子と遠くから隙を狙うエリーナ嬢…
これからどんな生活が始まるでしょうか
春の暖かい陽気と花が咲く頃、ホォルティオは王立学園に入学する。校門をくぐった途端女子生徒に囲まれキャーキャーと騒ぐ黄色い声に耳が痛くて近寄ると色んな香水が混ざった匂いに気を失いそうになり駆け足で講堂に逃げ込んだ。
一番前の左端に見に覚えのある三つ子が座っている。
「あ、ホォルティオおはよ!!」
「なんか顔色が悪いけど大丈夫か?」
「…なんかホォルから香水臭いんだけど…香水なんて今まで付けてなかったよね?」
「おはよ。僕は香水なんて付けないしこの匂いは令嬢達に囲まれて色んな香水が混ざったんだよ…。本当に勘弁して…」
疲れた表情と息の荒さで散々な目に遭ったことが分かったのか3人は苦笑いしながらホォルティオを見ている。きっと、予想通りの事が起こったんだと呆れていることだろう。
「ホォルティオ、どんまいだね。モテ男は辛そうだわ!」
「そうだね。仮にも王族の僕たちには近寄って来ないからね。距離置かれてちょうど良いぐらいで嬉しいけど、ホォルは可愛そうだ…」
「今日を乗り切ると落ち着くんじゃないか?」
「そうかな…?平穏な生活を送れる気がしないよ。」
周りを見渡すとぞろぞろと新入生が講堂に入っており見に覚えのある令嬢と目があった。嬉しそうに微笑んできて気まずくて目をそらした。講堂の重厚な扉が閉じて式の開始を知らせるアナウンスが聞こえてきた。
僕は三つ子の座ってる一番奥に座ると照明が暗くなり学園長の挨拶、貴賓の挨拶が滞りなく終わり新入生代表トニー・シャトゼフの祝辞が始まった。シーンと静まった講堂は緊張感で張り詰めていた。ルイス様の祝辞は歓声が聞こえてきたと言ってたがあれはルイス様のおちゃらけた性格もあって楽しかったんだろうなと今では思う。トニーはどちらかというとケイン殿下に似ている性格なので真面目な上に面白い事を言う事は無いので歓声も笑いも起こることはない。着々と挨拶文を読み上げ終わって拍手喝采で淡々と式が終わっていった。
トニー、ノア、リンネと一緒に教室へ向かっていく。
「ホォルティオ様!!入学式終わったらお話しするお時間下さいませんか?」
教室までもう少しという所の廊下を歩いていると後ろからエリーナの甘ったるい声が聞こえてきた。話し掛けられるだろうなと思ってはいたが周りの目を気にせずに大きな声で呼び止めるものだから周囲の生徒はエリーナに視線が向く。
「オルガン嬢!ご令嬢が大声張り上げてはしたないですよ。皆さん静かに教室へ移動中です。話し掛けるのは今じゃなくてもいいと思いますが、どう思われますか?」
トニーの低く冷たい声でエリーナに問いかける。周囲の生徒は巻き添えになりたくなくて速やかに教室へ入っていった。
「シャトゼフ様、失礼致しました。でも、話し掛けるタイミングなんて待っていてはホォルティオ様と何時まで経ってもお話し出来ません。」
「だから、今はまだ入学式が終わっていないんだ。早く自分の教室に移動しなさい。担任の先生も教室にオルガン令嬢が居なければ心配するのを分からないのか?それよりもホォルティオと話すことが重要案件なのか?俺には全く理解できない。失礼する」
トニーはホォルティオの肩を持って教室に向かわせエリーナはそれを呆然と見つめていたが後ろから教師が促して教室へ入っていった。
教室の席は4人固まっていて着席すると周囲の視線が此方に集中している。正直居づらいけど仕方ない、王族の血を引き継ぐ公爵子息令嬢と王女と婚約内定している公爵子息が集まっているんだ注目されないわけがない。そして先程のエリーナの行動も相まって気になるのだろう。
生徒全員席に着席すると20代後半の男性教師が入って教壇の前に立つ。
「新入生のみんな入学おめでとう!この教室を受け持つユーシン・ダニエルだ。よろしく。では、自己紹介から始めよう!成績順だからトニー・シャトゼフからお願いしようか」
担任教師はホォルティオの従兄弟だ。お母様の実家ダニエル公爵家の三男でルファティナとホォルティオの家庭教師もしてくれている。明るくて優しい兄様だ。
「トニー・シャトゼフです。三つ子の長男です。ノアと見間違う人もいるらしいが気を付けて貰いたいと思います。よろしくお願いします。」
少々無愛想で淡白な話し方で一礼するとパチパチと握手する音がした。次、ホォルティオの番でトニーが席に着くと同時に立ち上がり挨拶を始める
「ホォルティオ・ガルシアです。皆さんと仲良く学園生活を過ごせると嬉しいです。よろしくお願いします。」
優しい話し声と満開の笑顔で一礼すると拍手喝采と女子生徒からの黄色い声が聞こえてくる。
流石、王子殿下達に次ぐ人気の貴公子だ。本人は知っているか分からないがご令嬢の内輪では甘い花の美男子と言われているらしい。ホォルティオが笑うと花が舞うように甘く中性的でかつ剣術で鍛えられた体格もあり男らしいという意味らしい。終始令嬢達の瞳がハートになっていた。ホォルティオは其どころじゃなかっただろうけど。
その後ノアは、『三つ子の次男で髪を耳に掛けてペアピンをしてるからトニーと間違えないでね』と明るくおちゃらけて笑いを取った。リンネは、明るく愛らしい笑顔で『ちょっと面倒な兄たちを持つ三つ子の末っ子です。皆さんと楽しく過ごせると嬉しいわ、よろしくね!』と簡潔に自己紹介を終えた。生徒全員の自己紹介を終え学級委員決めにホォルティオとリンネが推薦されてなった。因みにトニーは図書委員でノアは美化委員だ。
一通り委員決めが決まってホームルームは終了した。生徒達は各々帰宅支度して帰っていく中、1人の令嬢が教室に入りホォルティオを見ている。エリーナ・オルガンだ。ホォルティオ、トニー、ノア、リンネは警戒心を強める。
「ホォルティオ様、入学式は終わりました。私とお話しするお時間ありますよね?」
ホォルティオの姿一点を見て動かない。無表情な表情がより怖く思える。
「いや、悪いけど急いでいるんだ」
警戒しながらエリーナに冷ややかな目を向けながら横を通り過ぎると腕を掴まれた。そして引き寄せられ抱きついてきた。
「なっ、何をするんだ!!!今すぐ離れてくれ」
ホォルティオの声と同時に慌ててトニーとノアがホォルティオからエリーナを乱暴に引き剥がした。
「…だってホォルティオ様は私に初めて会った時、一度通り過ぎたのに引き返して助けてくれた。誰も助けてくれなかった中、貴方は私に気付いてくれて優しくしてくれた。あの時貴方と出逢ったのは運命だと思ったんです。シンデレラストーリーに出てくる様な貴方は私の運命の王子様ですの」
甘ったるい声と上目遣いで可愛く演出してる表情も嘘っぽくそして安っぽく思えるのは何故だろう。ラピアネが同じ事をしたら愛らしく思えるのにする人によってこうも変わるものなんだと冷静に分析しているホォルティオがいた。
「悪いけど君の運命の王子様が僕だと言うのは勝手だが僕の運命の人はラピアネ王女ただ1人だ。それ以外の令嬢を運命の人だと思うことは一切無い。話は終わったようだしこれで失礼するよ」
ホォルティオは冷たい表情と声でエリーナを突き放す。それに続いてトニー、ノア、リンネが塵を見るような表情で見下ろしながら教室を出た。
教室に1人残されたエリーナ・オルガンは悔しそうにホォルティオ達の後ろ姿を睨み付けていた。




