表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/71

例の彼女とルファティナ

今回はラピアネ視点で書いていきます。


表通りに出てルファティナとラピアネは護衛を連れて歩いている。どう見ても貴族だと分かる服装で来てるので通り過ぎる人々は振り返り注目の的になっていた


「やっぱりこの服装だと目立ってしまうのね。もう少し地味な服で来れば良かったかしら…」


「ラピアネはどんな服装でも髪と瞳の色で王族だって一目で分かるわよ。それならどんな服でも同じこと」


「それもそうね。仕方ないわ…」


「…あの店でお茶をしましょう!」


その店は以前ホォルティオと来て例の彼女と出会ったあの店だった。ルファティナはあの時のことは知らないのでラピアネも余計なことは言わない。


「はい!ルファティナお姉様」


―――――カランカラン


「いらっしゃいませ~!あ、ルファティナ様。今、丁度2階の個室が埋まっておりまして1階のホールでしたら空いているのですが大丈夫でしょうか?」


店長のような30代ぐらいの落ち着いた女性が顔を出して話し掛けてきた。


「ええ、大丈夫よ。予約しないで来たんだから気にしなくて良いわ」


「ありがとうございます。ではご案内しますね、此方へどうぞ」


そう言われて案内されたのは前回ホォルティオと来た際と同じ席だった。そしてその席から見える立ち位置に例の彼女が立っている。ホォルティオがいないもののラピアネの顔は覚えているらしく此方をチラチラと見てくる。


「ラピアネ何かあったの?」


落ち着かない表情と仕草にルファティナは気づいていた。


「あ、えーと、彼処に立っているスタッフさんが此方をチラチラと見てくるから気になっちゃって…」


「…あー、あの子ね。ホォルのストーカーさん。ラピアネも気にしたくなくても気になるわよね」


「…………………!!!」


ホォルのストーカーさん…???

ルファティナお姉様は何を言ってるのかしら?


「いらっしゃいませ、御注文お伺い致します!」


「ホットコーヒー2つとホットティー2つ、あとチーズケーキ2つお願いしますわ。エリーナさん」


「…畏まりました。失礼致します」


例の彼女が注文を聞きに来てルファティナお姉様が答えると彼女は気まずそうに裏に下がっていった。


「……ルファティナお姉様、エリーナさん?の事を知っているの?」


「ええ、知っているわ。彼女はエリーナ・オルガンと言ってね。最近オルガン男爵が養女に迎え入れたのよ。何故このタイミングで養女に迎えたか分かる?」


「いいえ、何故ですの?」


「オルガン男爵は欲深い人でね、最初王族の立場を狙っていたの。でも、ケイン殿下とルイスは婚約者と仲良くてそれも相手が陛下の友人であるガルシア公爵とハントン侯爵の令嬢達で横槍を入れる隙がなかった。そこで目を付けたのが口約束している婚約者は居るものの公式に公表はされていないホォルティオに目を付けた。オルガン男爵はガルシア公爵家と繋がりガルシア公爵の資産が欲しいと企んでいて、エリーナさんはホォルティオと近づきたい、いずれはラピアネから婚約者の立場を奪い結婚出来たらと願っているのよ。来年度からホォルと一緒に王立学園に入学するのが決まっているわ」


「…………!!!」


ルファティナお姉様がそこまで調べて知っているなんて知らなかった。私の知らない所でそんな企みに巻き込まれていたなんて…。ホォルティオは知っているのかしら?


「ルファティナお姉様はどうしてそんなに知っているの?」


「最近、お父様宛にオルガン男爵から手紙が送られて来るのよ。金銭面の支援をして欲しいと率直な文面で。今までオルガンとガルシアの関わりは無いに等しいのに変だと思うのが当然よね。お父様が陛下に相談して調べて見たらさっき話した通りの内容だったってこと。陛下も流石に面食らったみたいで今後オルガンの動向に注意すると仰ってるわ。ルイスとケイン様も知っていることよ。それは来年度入学するホォルをサポートする為に情報を共有しているのよ。…決してラピアネを仲間外れしてる訳じゃ無い事を分かって頂戴ね。ラピアネが王立学園に入学するまでの1年間でエリーナさんがホォルに関わって色々と仕掛けてくる可能性があると思っているの。もし万が一の事があればホォルとラピアネの婚約は解消されてしまうわ。一年間、ホォルは辛抱しないといけない、それにはラピアネの支えも必要になると思うのよ」


ルファティナお姉様はとても悔しそうに顔を歪め、そして私やホォルティオの心配をしてくれている。お父様、ガルシア公爵様、お兄様達も巻き込んでこんな大事になっているなんて今まで知らなかった私が恥ずかしい…

でも、これだけ情報を共有していれば万が一なんて事は起こらない。いえ、ホォルティオは万が一なんて起こす筈がないもの。大丈夫、大丈夫よラピアネ。


「…話は理解したわ。一年の差がこんなにももどかしいなんて思わなかった。同じ年ならこんな不安も心配もしなくて良かったのよね。年齢はどうしようもないって分かっているけど悔しい…。私が隣で守ってあげられないのがとても悔しい…」


そう言うとルファティナがラピアネの背中を優しく擦って落ち着かせるように大丈夫よ、私達が付いてるわと優しく微笑んでくれる。


「…お待たせしました!ホットコーヒー2つにホットティー2つ、チーズケーキ2つでしたよね。ごゆっくりお楽しみくださいませ。」


例の彼女、エリーナ・オルガンが注文の品を運んできた。私を睨め付けるように視線が鋭い。顔も笑ってるようで笑ってない。

こんな彼女に私のホォルティオが騙される筈無いわ。


「…エリーナさん、ありがとう。貴女いつまで此処で働いているの?そろそろ貴族として自覚しなければならないと思うのよ。金銭面の問題も男爵がどうにかしてくれてるんじゃなくて?無駄遣いしなければ男爵もそこそこ資金はあると思うのだけれど貴女はどう思う?」


「…私は男爵領地の運営に関わっておりませんのでなんとも言えません。私は入学ギリギリまで此方で働く所存です。ホォルティオ様にも会えるかもしれませんし…」


「そう、貴女の考えは分かったわ。でもね、ホォルティオはもうこの店には来ないわよ。貴女みたいなストーカーが居ると分かってこの店に行かせようとする筈無いでしょう。男爵伝いにホォルティオに手紙を送りつけるのもやめて貰えるかしら?これは公爵から男爵に対する伝令よ。」


「……!!!そ、そうですか…分かりました。心に止めておきます。失礼致しました」


ルファティナとエリーナのやり取りが繰り返されラピアネは呆気に取られていた。エリーナは懲りたのか速やかに席から離れていった。


「ラピアネ、怖い場面見せてごめんなさいね。さあ、紅茶が冷めてしまうわ。ケーキも食べて落ち着きましょうね」


「…はい、ルファティナお姉様」



ラピアネはこの日の出来事は絶対忘れられないだろう。

ルファティナお姉様がこんなにも剣幕で怖く怒っている姿は見たことがない。怒らせたら怖いことを初めて知った。

実際言うと紅茶とケーキの味も楽しめたかどうか分からなかった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ