ケイン様とアンナ嬢
ケイン様とアンナの不安な感情をぶつけ合います。
ちゃんと話し合うことは大切ですよね
オリエンテーションから一週間後――――
王立学園の昼休みの中いつもの4人で昼食を取っていた。
場所は食堂奥にあるテラス席。ここは食堂から隠れていて人避けに最高の場所なのだが、人が乱入してきた。それも全員が見知った顔だ。ほら、1人しか浮かばないだろう?
「あれ?君たちここで食べてるのか?」
第一王子ケイン様だ。アンナの相談から何も変化なくこの日まで来てしまった。4人とも固まっている。
「ああ、兄上も今から昼食?」
「いや、食べ終わってゆっくりしようとここに来たんだが…先客が居たとはな。悪い、邪魔だろうし退散するよ」
「い、いや、待って、兄上。邪魔じゃないからここに居なよ!」
おーい、ルイス。この雰囲気どうするだと残り3名が気にしてるぞ!
「いいのか?気を遣わなくていいんだが…」
「あ、あの、大丈夫ですよ。ねぇ、アンナ、クロード様?」
「は、はい!ケイン様こちらの席にどうぞ」
クロードがアンナの横の席を譲るとアンナは一瞬不安そうな顔をクロードに向けたがクロードは大丈夫だと言いたげに頷いた
「…アンナは、私が居たら気まずいか?」
ケイン様が少し強ばった表情をしてアンナをみた
「いえ、そんなことあるはずありませんわ」
内心焦っているのだろう少し困った表情をしている
その雰囲気を壊そうとルイスがルファティナに話し掛ける
「ティナ、それ美味しそうだな!貰っていいか?」
ルファティナのランチボックスに入ってるエッグサンドを指差して欲しいと言い出す
「ええ、いいわよ。はい、どうぞ」
ルイスのランチボックスの蓋に乗せるといや、違うと首を左右に振る。ルファティナは察してルイスの口許にエッグサンドを差し出し、ルイスがあーんと口を開いて食べさせる
その光景をアンナとクロードはニヤニヤしつつも横に座っているケインに視線を配る
「いつもそういうことを人前でしてるのか?」
ケインが険しい顔してルイスとルファティナに問いかけた
「いつもってこれが僕達の通常運転ですから。学園中、僕達の話題で盛り上がってますよ。僕達は皆に楽しいネタを提供してるまでです。って言うのは建前で僕がティナと触れ合いたいしティナも嫌じゃないしお互い嫌じゃなければいいと思いますよ。」
「そうですよ!私もルイスと仲良くしてるのを見せてる事で色々助かってるんです。だからケイン様、ルイスを怒らないであげて下さいませんか?」
ルファティナがルイスの腕に手を回して密着した状態でケインに話し掛ける
「あ、いや、ルファティナ嬢が嫌じゃなければ構わない。但し、節度は守れよ。学園で生徒以外に教師達にも見られてるんだ。王族としての立場を考えるんだな。分かったか、ルイス」
「分かっていますよ、兄上」
ケインがルイスに厳しく注意する中でアンナは不安そうな顔をして俯いている。クロードは直ぐに駆け寄りたい所だがケインの手前それも出来ず膝の上で拳を握りしめていた
「あ、あの、ケイン様、、伝えたいことがあります。私のこと…ケイン様はどう思っていらっしゃるのですか?私は…ルファとルイス様の仲の良さを見るたびに…どうしてケイン様は、私は距離が遠く……感じるんだろうと思うのです。私は…婚約者としてこれからもいていい存在なのですか?」
アンナが辿々しく口を開く
今にでも不満爆発するんじゃないかと言いたくなるほど耐えながらゆっくりと言葉にしていく
その言葉にケインは唖然とした顔で見詰めている
なんて声を掛けたらいいのか分からないような顔だ
「私は…ケイン様をお慕いしています。最初は興味本位からでした。私と考え方が似てると思って、もっと知りたいと思ってました。ケイン様を知れば知るほど心を開いてくれないように感じるのです。王族としての威厳とご自身の立場を考えて感情を表に出さないことはとても素晴らしいと思います。言葉も選び抜いて恥を欠かないように気をつけて物事を発言する事も分かっています。ですが、私にも同じことをされてはとても傷付きます。私には貴方の心の声が聞こえません。王族とか王子とか取っ払ってただのケイン様の声が聞きたいと思うのはいけないことですか?」
アンナはしっかりとした口調でケインに訴え掛けた
言いたいこと全部とは行かずとも少しは伝えられたのだろうか
ずっと黙っていたケインが重たい口を開く
「アンナ、すまなかった。私が君をそんなにも追い詰めていたなんて今の今まで気付いてやれなかった。いや、見ようとしてなかったのかも知れない。私は第一王子として厳しく育てられたから自分の感情を表に出すことが苦手だ。目の前にいるルイスが心底羨ましかったよ。ルイスも厳しく育てられてるのはよく分かっている。けどな、生まれつきなのか、いつも自分の気持ちに感情に素直で行動も積極的だ。だからルファティナ嬢といい関係を築けているんだろうね。私は最初から間違えていたね、アンナなら言わなくても分かってくれると思っていたんだ。だから言葉も最低限で行動も積極的にして来なかった。私は君だから婚約をしたんだ。あの日、私とルイスとルファティナ嬢とアンナで話した時、きっと君をよく思っていなかったら私は父上に婚約をもう少し慎重に選びたいと進言していたよ。でも、それをしなかった。それは君となら結婚しても上手くいくと思えたからだ。婚約期間に恋人らしいことをして来なかった私が悪い。君に愛想を尽かされても仕方がない状態だったと今になって感じている。でも、これだけは言わせて欲しい。」
ケインはアンナと向き合って顔を合わせようとするが
アンナはボロボロと大粒の涙を流しながら俯いている。
「アンナ、人前では1度しか言わないから良く聞くんだ。アンナのこと心の底から深く愛してるよ。私はアンナのお喋り上手なところ、いつも笑顔で楽しそうなところ、不器用だけど一生懸命に頑張る姿に見た目は綺麗なのに口が悪いところも今まで見てきた君が大好きなんだよ。アンナ以外こんな情けない私を理解してでも離れずに一緒に居てくれる女性はいないと断言するよ。だからこれからも私と一緒に歩んで欲しい」
「……はい、ケイン様…」
ケインの柔らかく優しい微笑みにいつもより甘い優しい声色で口説いた言葉にアンナは嬉しそうに微笑む、涙が止まらずケインがハンカチで拭い落ち着かせようと背中を擦る姿は恋人らしい姿に思えた。
クロード様はきっとアンナに片想いしていると思います。
可哀想に…。
きっといい人がまた現れるさ




