信じてくれる?
翌日、目が覚めるとじんわりと額から汗が流れ
苛立つ記憶が甦って来たのを実感する
あの後、姉上はどうなるんだろうか…
他国に行くにしても何も伝がない状態で出ていくなんて
考えられない
もし、このイベント通りになった場合を考えて
裏でしっかり計画立てて素早く国外に逃がす手段も
考えておいた方が良いだろう
国外……、隣国に母上の親戚が居たような…
馬車で3ヶ月かかる程遠くてほとんど会ったことはないが
今から交流を深めたら何とか協力してくれるかもしれない
今日お父様に時間を作って貰って話してみよう
サイドテーブルの呼び鈴を鳴らし僕付き侍女を呼ぶ
トントンと音がなり失礼しますと声がしたので
返事をするとサラサの妹ユラが入ってきた
「ホォルティオ様、おはようございます。」
「おはよう、着替えと朝食の準備お願い。それとお父様に今日時間を作って貰えるよう伝えて貰える?」
「畏まりました。ではお着替えの準備からしましょう。
何日も寝ていらしたのでお風呂の準備もしますね。」
猫足の浴槽に湯が張られ何日も寝ていた疲れと汗を流していく
はぁー、スッキリした。
バスタオルで体を拭き寝巻きから部屋着に着替えた
部屋に戻るとテーブルに朝食が用意されていた
ふかふかした柔らかいパンとコーンスープと果物が美味しくて頬が綻ぶ
「ホォルティオ様が元気そうで良かったです。倒れた時はユラは心配で心配で心臓が止まりそうでした。」
「心配掛けてごめんね。でもユラ、それは言い過ぎだと思うよ」
「言い過ぎではありません。
今まで体調不良で寝込む事がなかった丈夫なホォルティオ様がいきなり倒れたのです。それは心配にもなりますよ」
「あはは、確かに健康的で丈夫な体が取り柄だもんね。僕も人間らしい部分があるってことだね。」
「笑い事じゃありませんのに…気をつけて下さいまし」
「うんうん、分かっているよ。
ユラ、もし、もしさ、僕に未来予知が見えるって言ったら信じる?」
「未来…予知ですか?
そうですね~、内容にも選るかと思いますが…
ユラはどんな事があってもホォルティオ様を信じますよ。」
「そ、そっかぁ~ありがとう!」
突拍子の無い事を言ったのに優しく笑って
側にいてくれるユラに信じると言われて勇気が出た
「旦那様はお昼過ぎから予定があるそうで午前中でしたら時間を作って下さるようです。お食事が終わったら執務室に向かいましょうね」
「うん、わかった。ありがとう!」