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山登りと森の精霊


3時間馬車に揺られながら目的地に着いたルシアン子爵領地コリアという小さな町だ。自然に囲まれて湧き水から流れる川がとても綺麗だ。飲み水も浄化せずに直飲み出来るのも素晴らしい。中央部からしたら直飲みなど考えられない。必ず浄化しないと飲めるような物じゃ無いからだ。下手すれば死に至るだろう。コリアは主に農業と林業が盛んだ。なので野菜や果物、麦粉などが特産物になる。


ガタンゴトンと馬車が停車する音がした


「んん、うーん、あれ?着いたの?」


ぐっすりと眠っていたルファティナが呟くとルイスが微笑みながらルファティナの頭を撫でる


「ああ、着いたよ。良く眠れた?僕のお姫様。」


「っうう、うん。良く寝れました。ルイス肩貸してくれてありがとう!」


飛び上がるようにルイスの肩から離れる。けどルイスが逃げ出さないように腰を引き寄せ離さない。


「ッな!!」「ほら、直ぐ僕から離れようとする。ルファティナはいけない子だな」


「いけない子ってなによ?」

「僕から離れて行くのは許さないよ」


ルイスの目が鮮やかな青から濃藍に変わっていく

目が据わってルファティナを向いていた


「あ、うん、離れないよ?」


なーんか怒ってる?今のやり取りで怒らせるようなことした?もう分からないよ


「うん、ならいいよ!」


濃藍から元の鮮やかな青に戻っていた。

一瞬だったけど怖かった…


向かい側にいる2人は苦笑いをしている


順番に馬車を降りるとそこには自然豊かな景色が広がっていた


いつもの見ている景色と真逆でとても目に優しい、そして空気が綺麗で息がしやすい


「すぅーはぁ~、風が気持ちいい!!」


深呼吸して身体中で自然を感じているような感覚になる


「ははっ、ルファティナの自然な姿、久しぶりに見たな!」


「ん?何か言った?」


「表の姿を覆ってる鎧が完璧剥ぎ取られてるぞ。その自然体の方がルファティナに似合ってるよ」


「ふふっ、張り詰めた気が緩んだのかしら?自分では分からないわ」


「僕が分かってるから君は気付かなくていいよ」


「それもそうね、ルイスが私の変化に気付いてくれたらそれで十分よ」



「ルイス様、ルファ。置いていくわよ!」

「早くしないとはぐれるぞ!」


アンナとクロードがルイスとルファティナに向かって叫んでいる

ルイスはルファティナの手を握り駆け足でアンナ達の元へ向かった


「全員揃ってるか、班長確認してくれ」


「はい、1班揃ってます!」


ルイスを先頭に8班まで全員揃って居ることを確認し、

先生から今から行う山登りの注意事項を聞いていく。


「今の説明で分かったか?何かあれば先生を呼ぶんだぞ!」


「「はーい」」


先生の言葉に1組全員が揃って返事する


「ルファティナ、ゆっくり歩いていこう。無理するなよ」


「うん、ありがとう。」


ルイスは体力に自信がないルファティナを気遣いながら一緒に歩いていく。


体力がある、アンナとクロードは先にさっさと歩いていった。15分程歩いた所で登頂まであと半分。見渡せば数人しか歩いていない。


「ルイスごめんね、私体力無くて…ルイス1人ならさっさと登れるのに…」


「何言ってんだよ。そんなことしたって楽しくないだろ?僕はルファティナと一緒に居たいからいいんだよ。気にするな!」


ルイスはルファティナの頭をくしゃくしゃに撫で繰り回す


「きゃっ、もう!髪ボサボサになっちゃう」


「はいはい、綺麗に梳かしてやるからじっとして」


ん、と櫛をルファティナから櫛を受け取って優しくといていく。


「はい、終わり」「ありがとう」と櫛を返して貰う


キラキラキラキラと目の前に現れた。目を瞬かせ目が点となる。2人ともこんな現象を見るのは初めてだ


『君たち僕の事見える?』


え、話しかけられた?キラキラしてるけど物体は見えない。けど声は聞こえる?


「ねぇ、ルイス…」「あ、ああ。目の前にある光が話し掛けてるのか?」


『わあ~、やっぱり聞こえてた!!キャハハ。久し振りだよ、僕のこと見える人達。僕は森の精霊リアム、ここの町が自然豊かで綺麗なのは僕達のお陰なの』


「ほおう、それは興味深いな。確かに昔の書物にそういった者が存在した書を見たことがある。けれど、とうの昔に姿が見えなくなったと記されていたが…」


『それは、単に見える人間が減って行ったからだよ。僕は僕たちはまだこの町に存在しているよ』


「まあ、そうなのね!会えて嬉しいわ!」


「ああ、こんな機会滅多に無いからな。それでどうして僕たちの前に現れた?」


『う~ん、気まぐれ?面白い人間達がいるなーって見ていたら僕もびっくりまさか僕が見える人達だったなんてね』


「精霊の気紛れか。それは面白いな、僕たちを気に入ってくれたと思っていいのかな?」


『うん、とても気に入った。今後何か困ったことがあれば僕と話せるように精霊の力分けてあげる』


「え!そんなことが出来るのか?」『んふふ、精霊は何でも出来るんだよ~』


『じゃあ2人とも近づいて僕を見ててね。じゃあ始めるよ~』


ぱあああっと光がルイスとルファティナの頭の上からキラキラと纏うように輝いている


「これは?」


『今、僕の力を2人に分け与えたよ、口にしなくても頭の中で僕の声が聞こえてくる筈だよ。だから周りを気にせず話せるんだよ~。凄いでしょ?』


「え!?凄い凄い!」


「何か見返りがあるとか言わないよな?」


『え?無いよ無いよ!僕悪い子じゃないし、ただ本当に君たちが気に入ったの!ただそれだけ。たまに僕の話し相手になってくれれば何も要らないよ』


「それぐらいなら全然構わないが、リアムの寿命が縮むとか無いのか?」


『僕の命は永遠だもん。もう、何年この場所にいるかも忘れたよ』


「そんなもんなのか」


『そんなもんなの。だから気にしなくていいよ。話しも出来るけど呼び出すことも出来るから必要なら言ってね~。それじゃ僕はもう行くね。二人とも早く行かないと皆心配するよ~』


「ああ、わかった。またな」「またね、リアム」



キラキラとした光は私たちの前から消えていった

とてもとても不思議な経験をした

まさかお伽噺にもなっている精霊に会えるなんて夢のよう






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