小説が現実に舞い降りる
――――ホォルティオのラピアネへの求愛行動―――――
「…ホォルティオ?」
「良いから僕に合わせてくれ」
口説かれ続けて真っ赤になってたラピアネがはっとした顔でホォルティオを見る
どうすればいいか分からないと言いたげな顔だ
そんな可愛い婚約者に耳元で囁く
その言葉を聞いた彼女はコクンと頷き、チラッとエリーナを見流す。様子を伺ったのだろう。
僕はラピアネに口説く事に必死でエリーナの様子が分からない
「あの娘凄い形相で見てるわ。とっても怖い顔でね。ホォルティオが何をしたいのかわかった気がする」
ラピアネは僕に耳打ちしてきた。
やっぱりエリーナは何かしら僕に感情を向けているのだろう。
「ホォルティオ。私はね、貴方を一目見て運命を感じたの。
それと同時に貴方を他の令嬢に取られたくないと強く思ったわ!感情のままに貴方に告白をした。そして自分の立場を利用して婚約者にして貰ったわ。立場上、貴方は私に嫌とは言えないから無理やり婚約者にさせられたと思っているんじゃないかって、私みたいな我儘な娘よりもっとホォルティオに見合うご令嬢が居るんじゃないかって、貴方がいつか運命の恋を見つけたからと私から離れて行きそうで怖いのよ、とても不安なの。甘い言葉や表情も作りもので見せ掛けの姿なのかもって思う気持ちが、心の中で漆黒のように染まって行くの。こんな私、醜いわよね…」
おお、ラピアネの迫真の演技えげつない…
でも全て嘘で演技ではないんだと思う
ラピアネのことだから本当に思っていそうだ
「ラピアネを醜いなんて思わないよ。君がそんな風に思っていたなんて、気付けなくてごめん。僕も君と出逢った時、キラキラ輝く髪を揺らして花のように愛らしく笑うラピアネが花の妖精なんじゃないかとそう思ったら目が離せなくなった。僕こそ君を他の令息に奪われたくないと強く思ったんだよ。だから君から告白されて戸惑ったけど物凄く嬉しかったんだ。婚約者になってからは君の全てを知り尽くしたいと思った。誰も知らない顔も声も姿も独り占めできたらなんて幸せなんだろうって思っている。君が余りにも可愛いから意地悪してしまうけど、それも愛情表現として受け取って欲しいんだ。」
そう伝えるとラピアネの右手をとり薬指にハート型のペリドットが一際目立つ指輪を填めてみせた
そして指輪に口付けを落とした
完璧だ。きっとこれで僕には婚約者いて2人に入り込む隙なんてなく何らかの感情を持とうと相手にされないと賢い令嬢なら分かるだろう。
エリーナはどちらか分からないけれど僕はラピアネしか見えないし見たくないんだ。
周囲の目はバッチリ僕達に向いていた、勿論エリーナも妬ましい目付きで見ていた
「ホォルティオ、これ、いつの間に…」
「前々から指輪を贈りたいと思って特注で作って貰ったんだ。まだ指輪が大きめだからネックレスとして身につける事も出来るよ。ラピアネ、とても似合ってる。左の薬指はまだまだ先だけど必ず填めてあげるから楽しみに待っててね」
「…うん…、ありがとう…ホォルティオ…
もう!私の王子様は格好良すぎて無理だわ…心臓が止まりそうよ。」
「ふふふっ、それは僕も同じだよ。僕のお姫様が可愛すぎて理性が保てなくなる。大きくなったら覚悟しててね」
ラピアネが歓喜余ってホォルティオに抱きついた後、
ホォルティオはさらっと飛んでもないことを言う。
きっとラピアネは意味が分かっていない。
将来結婚したら少し後悔するかもな、どんまい。
周囲は声を押さえながら悶え死にする女性達で溢れ還っていた
彼女達の手元には小説本〈冷酷公爵と皇女様の運命〉がある。小説の物語が現実に起こっている事実に感激して泣いてる者もいた
街中にこの話が広まり、劇団の題材に使われ王国中に知れ渡るまでそう時間は掛からないだろう。
噂は七十五日というが美男美女の演劇など噂で終わるわけがない




