ショートケーキよりも甘い
―――――人気のお店で見かけた人物――――――――
エリーナがスタッフの制服を来て働いていた
やばい、こっちに来る。どうしたらいいんだ
「いらっしゃいませ、御注文お聞きしても宜しいでしょうか?」
僕達の席に来て注文を伺う姿はゲームの中のエリーナそのままだった
5年間の時間の流れを感じるほどに呆気ない女の子から可憐な少女に成長していた
「アイス珈琲2つとアイスティー2つ。それからショートケーキ2つお願いします」
護衛騎士のルトロンが注文する
「畏まりました。」と注文を聞き入れて席を離れようとした時だった彼女と目があった
「あの、貴方と何処かでお会いしたことありますか?何となく懐かしい気がするのですが…」
「…いや、気のせいだと思うが。僕にはそんな記憶はない」
「そうですか、失礼致しました」
彼女に会った事有るかと問われて内心ハラハラした
どう答えようかと考えてたが口許からすんなりと冷たい声で冷静に言葉が出てきた
僕自信もこんな声が自分から出るのかと吃驚した
彼女は俯きながら一瞬悲しそうな顔して席を離れていった
「ホォルティオ、そんなに冷たくするなんてどうしたの?」
「え、あ、どうしたんだろう。僕も分からないや。ラピアネもしかして怖かったか?」
「いえ、少し吃驚しただけよ」
僕の様子がおかしいと心配するラピアネが僕の手に自分の手を添えて落ち着くように撫でてくれた
あれから彼女エリーナは僕達の席が見える位置に立って店内を見渡していた。客から声を掛けられて直ぐ動けるようにその場に居るんだろうけど僕からしたら僕らの席を観察しているように思える
何故だ、なんで僕達が気になるんだ!?
さっきの返答が良くなかったのか…
彼女とは別のスタッフが注文の品を持って来てくれた
その時も彼女は僕達を見ている
何がしたいんだ!?
「ホォルティオ、このケーキ美味しいわよ」
はい、とフォークに乗せたショートケーキを僕の口に向けるラピアネ
ん?ラピアネは普段人前でこんなことはしない
今日はどうしたんだ!?
「ラピアネ?」
「ほら、早くあーんして。手が疲れちゃうわ」
「あ、うん。あーん…」
もぐもぐ口一杯にショートケーキを入れてゆっくり咀嚼した
「ね、美味しかったでしょ?」
僕の顔を覗き込むように上目遣いをしてきた
やばっ、この距離でそんな可愛い顔しないで人前なのに抱き締めたくなる
でも、顔を良く見ると何処か不安そうな表情をしている。
ラピアネ、何がそんなに不安なんだ?
ラピアネの視線がエリーナの方を向いている
エリーナが度々此方を見ていることは僕だけじゃなくラピアネも気づいていたんだ
僕とエリーナの間で何かあると思ってるのか!?そんな誤解はさせたくない。
よし、こうなったら人前だろうがラピアネの関心を僕に向けなければならない
「ラピアネにもあーんしてあげるよ」
ラピアネを引き寄せて耳元で言うと赤くなりながらも僕の方に顔を向けてくれた
「はい、口開けて。はい、どーぞ」
フォークにショートケーキ乗せてラピアネの口に入れる
リンゴのように真っ赤っかになりながらゆっくり咀嚼した
「ラピアネ、口許にクリーム付いてるよ。わざと付けたの?」
僕は意地悪い顔でラピアネを見ながら口許に付いてるクリームを親指で拭いその指を目の前で舐めて見せた
ラピアネは信じられないと言いたげに目を見開いて僕を見つめている。めちゃくちゃ可愛い…
「ふふ、ドキドキした?」
コクコクと頭を上下に振る姿が僕の意地悪心を刺激する
もっとだ、もっとエリーナに見せつけて何も言わせないようにしなければ…
「ラピアネは本当に可愛いね、もっと甘やかしてあげたくなるよ。ねぇ、他の事が目には入らないぐらい僕だけに集中して。そんな可愛い顔で僕以外を見るなんて許さないよ。だから心配しないで僕に愛されていればいい、誰がなんと言おうと僕はラピアネしか見えてないんだから」
ラピアネを見つめ甘い甘い言葉をスラスラと紡いでいく僕の表情、声何もかもがラピアネだけに向けられている
僕自信もこんなロマンチストみたいな事言えるなんて思わなかった
ラピアネが僕をそうさせたんだ
だから何も心配しなくていいんだよ




