記憶のノート
第一王子殿下と姉上を同じ年に設定してましたが
第一王子殿下を1つ上の学年に変更しました。
部屋の外が慌ただしい物音がする
何人もの足音と声がこちらに向かってきた
ドタドタ、バタンーーーー
「ホォル……ホォルティオ…やっと目を覚ましてくれたのね…!」
「はぁーー、良かった、どこか痛い所はないかい?」
慌てて来たのだろう、身なりがボサボサな両親が僕に声を掛ける。
疲労困憊しているのか頬が痩けているように見える。
心配した様子で僕よりも両親の方が今にでも倒れそうだ
「ぼく…大丈夫だよ、お父様、お母様」
ニコッと笑って見せると二人とも顔全体を
くしゃくしゃにして泣き笑いをしていた
「…心配掛けてごめんなさい。疲れてたとかじゃないんだ。ただ、意識なくなる前に頭痛がしてたのは覚えてる…。あとね、変な夢?見たんだ。ただの夢なのか予知夢なのか分からないけど…。」
「…変な夢?ホォルにとってはいい夢?悪い夢?」
大丈夫なのこの子?とでも言いたげな顔した
お父様が問いかける
「僕にとったら滅茶苦茶悪い夢。」
「そうか、詳しい話しは後でゆっくり聞いてあげるから今は安静して休みなさい」
仕事が終わらないから「また様子見に来るよ」と部屋を
退出した
部屋には僕、姉上、お母様、お母様の侍女サラサ、
扉の前に従者兼護衛ルトロンが残っている
「お母様、新しいノートある?夢の内容忘れないように
残したいんだ」
「ええ、あるはずよ。サラサ、持ってきてくれる?」
「畏まりました。
ホォルティオ坊っちゃん、少々お待ち下さいね」
「ありがとう、サラサ」
お礼を言うとサラサはノートを取りに行ってくれた
「ホォル、その夢は忘れたらいけない様な内容だったの?」
お母様の問いかけにビクッと体が固まる
「んー、どうなんだろう、忘れて良いのか、悪いのか
今のところ分かんないや…」
へらへらと惚ける様に言うとほっとしたような優しい顔をしていた
サラサからノートを貰うともう少し寝たいからと伝えて
部屋から出て貰った
やっと、一人になれた
ベット用テーブルを引き寄せてペンを持ちノートに
夢の内容を纏めていく
前世の僕がいた世界にシュミレーションゲームがあって
内容が王立学園から始まると…
王子様は姉上の1つ上で僕とヒロインが同じ年…
男爵令嬢で水色のロングヘアーに灰色の瞳、清楚な身なりと愛らしい顔付きに甘ったるい声
…まさにヒロインそのものだな…
僕は苦手なタイプだ…
王立学園は15歳から18歳の3年間
卒業までに王子様はヒロインと恋仲になり姉上はヒロインを虐めた理由で断裁、国外追放または修道院行き?下手したら処刑?
どういう断裁方法か思い出せないけど、大体どのゲームもこんな感じだよね…
そういえば王子様といつ婚約するんだろう…
今、姉上は10歳になったばかり
婚約の話がそろそろ出てもおかしくないのかも
婚約破談するように仕向けた方がいい?
それとも婚約した後、王子様とヒロインを関わらせないように僕が誘導する?
シナリオ通りに進まなきゃ姉上は悪役令嬢にならない可能性もあり?
今の姉上のまま成長すれば悪役令嬢になる可能性は低いような気がするけど…
どっちにしろ王子様次第だよなぁ…
王子様会ったことないけど、どんな人だろう…
近々、王家のお茶会とか呼ばれたりしないかな?
王子様がどんな人で何故姉上と婚約する事になるのか
今は分からない
それを知るためにも情報は必要だよね
姉上の幸せは僕が絶対に守って見せるからねと
心の中で決意する
お父様にさりげなく夢の内容を話してみよう
もし、信じるようなら王子様と婚約の話が来ても
断って貰う。うん、そうしよう。
ノートを枕の下に隠して眠りについた