ルファティナとルイスの日常(番外編)
―――――王宮図書室にて――――――
ルファティナ・ガルシアは婚約者ルイス・イースターに会う為に王宮へ来ていた。
彼女は今、王宮図書室で本を読みながらルイスを待っている。
従姉妹のアンナも今頃、王宮の何処かで花嫁修行の真っ最中らしい
以前は週に一度は会っていたが、今は二週間に一度になり少し寂しい
とは言え、ルファティナも王族の一人になる予定なので週に一度、王宮へ来て王族マナー講座、各国の言語学、歴史学、世界情勢の認識を高める為に家庭教師が就いており勉強は欠かせないものとなっている。
後々、王弟の妻として国王夫妻を支える事が出来るよう陰ながら努力を重ねていた
「ルファティナ、お待たせ!剣術の練習が長引いてしまった。第一騎士団の鍛練風景は殺伐としてるし練習内容は厳しいし、もう疲れた…」
そう言いながらルファティナが座っている窓越しの長椅子へ来るなり彼女の肩に凭れ掛かる
「ねぇ、頑張った僕を褒めて」
ルファティナより5cm背が高くゴツゴツした骨格をした同い年の男の子。普段は冷静沈着で冷たく無愛想な口調、ご令嬢と話すなんて糞食らえみたいな雑な対応、社交場で話掛けられても無表情で冷たくあしらう。それでも王族で、顔は格好いいし、性格に難が有れど人気はある。第一王子殿下ケインの人気には足元も及ばないけれど、慕う令嬢はそれなりに居るというのに今の彼はその姿とは真逆である
「ルイス今日もよく頑張りました!」
彼女に頭を撫でられてとても嬉しそうな顔を見せた
「もう少しこのままで居させて」
「良いけど、私の肩が凝るから膝枕にして。ほら、こっち!」
「あ、うん。お邪魔します」
ルファティナが膝を軽くトントン叩きながらルイスを誘導する
そんなルファティナにやや戸惑いながらルイスはゆっくり頭をルファティナの足元に預ける
「ルファティナの膝枕きもちいい。このまま寝れそう」
「そのまま寝ても良いわよ」
「やだよ、折角一緒に居るのに寝て終わるなんて」
「でも、疲れて今にでも寝そうな顔してるわよ」
ルファティナの手がルイスの髪をサラサラと触る
「ねぇ、それくすぐったい」
「ふふふっ、ルイスのこんな姿他のご令嬢が見たら吃驚するわね。ギャップが凄すぎてもっと慕う令嬢が増えそうだわ」
「嫌だよ、そんなの面倒くさそう。只でさえキンキン煩いし甘ったるい声と匂いで気分悪くなるんだから…。裏表激しいし大っ嫌い」
「私は違うの?」
「ルファティナは穏やかな波を繰り返す海のような声で冷たくも甘ったるい感じもない。匂いだって香水の強い感じじゃなくて花のように自然で爽やかな感じがする。それにルファティナは人を否定する言葉を言わなければ貶めるような事をする様子もない。だからルファティナの事が好きなんだ」
「まぁ、口説くのがお上手ですこと。今、物凄い恥ずかしい…。もう、顔が燃えるように熱いわ」
「あはは、本当だ。顔から耳と首もとまで真っ赤っかだね。茹でダコみたい。」
「もう!ルイスが原因なんだから!ルイスって本当に意地悪」
「でも、嫌じゃないんだろう?」
意地悪く笑うルイスはルファティナがこの後どう言葉にするか分かっているかのように下から髪の毛で隠れるルファティナの顔を髪の毛を掬うように覗く
目線が会うとまた真っ赤になる顔に紺色の瞳が潤んでいる
「嫌じゃ…ないわよ。凄く意地悪で甘えん坊でたまに格好よくて、私に甘くて優しくていつもドキドキさせる貴方が大好きよ」
「うん、僕もルファティナのこと大好きだよ。君がいない未来なんて想像したくないぐらいにね。この先も僕の隣にいて欲しい。そして僕がルファティナを守るから」
「はい、お約束します。」
お互いの小指を絡ませ指切りをした