女心は難しい
――――婚約者が屋敷の何処かに逃げていった――
「ホォル、大丈夫か?」
「あ、うん、大丈夫!いつもの事で慣れちゃったよ」
ラピアネを注意しながら歩いてきたルイス様
「そういえば、ルファティナはどこにいるんだ?」
「あー、確か庭園の方でお茶するから準備を手伝ってるはず。もしかしてラピアネもそっちに居るかも」
「そうか、それなら庭園行ってみよう」
「あ、そうだルイス様、あとで剣術の練習付き合ってくれる?」
「お、良いぞ!!僕も体動かしたかったんだ」
ガルシア公爵の自慢の庭園に行ってみると姉上とラピアネが2人でお茶会という名の女子会を始めていた
「ねぇ、ルイス様。
ルイス様達って婚約者に会いに来たんだよね?」
「勿論、そのつもりだよ」
「だよね、なのになんで…
姉上とラピアネが楽しそうに女子会してるんだろう」
「完璧置いてきぼりだな、僕達」
と言いながらルイスが東屋でお茶をしている
2人に近づいていく
「ルファティナ、出迎えがなくて寂しかったぞ」
「あら、ルイスやっと来たの?
先日貴方に恥ずかしい思いさせられたから少し懲らしめようと思って態と出迎えなかったのよ」
え?ルイス様、姉上に何したの?
姉上ってルイス様に意地悪な顔を見せたりするんだ
意外だなぁってラピアネ…
「ラピアネ、屋敷の中が安全だからって1人で走っていかないでよ」
「ホォルティオが意地悪したからよ」
あれ?もしかして僕とルイス同じ事をして2人を怒らせた?
「ごめん、怒らせたいと思った訳じゃないんだよ。本当に思ってることを言っただけなんだ」
「分かってるわ、分かってるけど、ホォルティオに褒められるととても嬉しいわ。でも物凄く恥ずかしいの!!
それに毎回、言われるといつか言われなくなりそうで怖いの」
「そんな風に思ってたなんて知らなかった。
じゃあこれからは回数減らすよ。それで良い?」
「うん、そうね。私、ホォルティオが本当に大好きよ。
いつも褒めてくれてありがとう!!」
「仲直りしよう、ラピアネ」
ラピアネの左手甲にキスを捧げた
「ええ、折角の時間を無駄にしてごめんなさい」
「いいや、大丈夫だよ。ラピアネの気持ちが聞けて嬉しかった、ありがとう!」
姉上とルイスを見るとあちらも仲直りしたらしい
「姉上!」
「ホォル、ルイスを連れて来てくれてありがとう。
さぁ、お茶会しましょう。」
「ラピアネ、こっちおいで」
改めて東屋でお茶をする
婚約が決まってからこれで3回目だ
「ところで、ルイス様は姉上をどうやって怒らせたの?
姉上を怒らせるってよっぽどの事したんだよね?」
「会う度に平気な顔して褒め倒すのよ。それも人前で!
護衛の方々にも揶揄われるし物凄い恥ずかしいのよ。恥ずかしすぎて死んじゃうわ」
「悪かったって!護衛は当たり前にいる存在だから
今まで気にしたこと無かったんだよ。それにルファティナに死なれたら僕は困る。なるべくしないように善処するから許してくれ」
「ルイスお兄様のこんな姿初めて見るわ。
ルファティナお姉様、やっぱり凄いのね!」
「…やっぱり同じ理由で怒らせてたんだね。
ルイス様、僕と一緒に女心勉強した方がいいかも」
「それは僕も思った所だ。君は余りにも感情を表に出さないから分からない時がある。だからもっとルファティナの気持ちを知りたい。」
「そうね、私ももっと言いたいことをルイスに伝えるように善処するわ」
やれやれ、揃って同じ理由で怒らせるなんてね
喧嘩する程仲がいいって言うけど…
姉上とラピアネを怒らせると怖いのは十分わかった