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DESIRE  作者: 海星
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第8話 マネージメント

 「五人?

 そんなん無理に決まってるだろうが」

 そう言うのは異世界で『大賢者』と呼ばれた深緑色のメイド服を着たロリ少女だ。

 この話になるまでの経緯を話す。


 横になっている少女が目を醒ます。

 少女は何が起きたか理解していない。

 当たり前だ。

 俺もいきなり少女になって、メイド服を着ていた自分を受け入れられなかったもん。

 蓮が説明する。

 そんな説明で誰が納得すんだよ?

 「そうか。

 大体わかった」

 嘘だろ!?

 納得しちゃったよ。

 納得出来なかった俺の理解力が低いのかな?

 そういや在前も納得早かったよな。

 「何で納得出来るんだよ・・・」俺がボソッと囁く。

 少女にはそれが聞こえていたようだ。

 「普通だったら信じられないよね。

 でも僕も普通だったら信じられないような事を今まで経験してきた」

 「どんな経験をしてきたの?」

 「僕は日本にはいなかった」

 「どこにいたの?

 外国?」

 「『日本の外』という意味じゃ外国だな。

 でも僕がいた場所は地球上には存在しない。

 僕は異世界にいたんだ。

 信じられないだろう?」

 「まあ、にわかには・・・。

 でも、デザイアから『今度仲間になるメンバーは今は地球上にはいない』と聞かされていたから、『本当なのかな?』と」

 「『デザイア』?」

 「これだよ」

 俺はバッグの中からメイドカチューシャを取り出す。

 急に少女が無口になる。

 おそらく脳内でデザイアと会話しているのだろう。

 「そういう事か」少女は全てを納得したようだ。

 いくら何でも納得が早くないか?

 いきなり少女にされたんだぞ?

 メイド服姿にされたんだぞ?

 メイドカチューシャが脳内の話しかけてきたんだぞ?

 普通はすぐは納得出来ないだろ!?

 「何で納得出来るんだよ!?」

 俺はつい叫んでしまった。

 少女は言う。

 「僕は『何でもアリ』の異世界から帰って来た。

 本当なら僕は日本では橋の上から落ちて死ぬはずだった。

 だけど、死んだはずの僕は異世界にいつの間にかいて気がついた『玉座の間』で『この世界を救え』と言われた。

 だから異世界から戻ってきた事も受け入れられる。

 死んだはずなのに無傷になっているのも受け入れられる。

 異世界を救う冒険の中で『しゃべる邪剣』『しゃべる聖なる鎧』なんていくつも見た。

 今さら『しゃべるメイドカチューシャ』を見て驚くなんてあり得ない。

 唯一ちょっと驚いたのは僕が僕じゃなくなっている事。

 少女になっている事だ。

 まあ、異世界召還に比べれば大概の事は我慢出来る。

 少女になったのも『もう死ぬ寸前で肉体を別に再構成しないといけなかった』と考えれば『やむ無し』と思うしかない」

 ここまで聞き分けが良いと逆に気持ち悪い。

 しかしこれ以上は何も言わない。

 『やぶ蛇』というヤツだ。

 納得してるんだったらこれ以上何も言わなくても良いじゃんか。

 少女は「『(けい)』と呼んでくれ」と言った。

 異世界でも『ケイ』と呼ばれていたらしい。

 本名は『鈴木啓示(すずきけいじ)』というらしいが、異世界でも『ケイジ』とは呼ばれなかったらしい。

 それに少女のなりで『ケイジ』とは呼びたくない。

 本人が『ケイジ』という呼び名にこだわりをみせなくてよかった。

 「なんなら『鈴木』と呼ぼうか?」と提案したら、本人自ら断った。

 「呼び名は『メイド喫茶』での呼び名を兼ねている方が良い。

 出来る事なら普段の呼び名と『源氏名』が違わない方が良い」

 啓はメイド喫茶で働くことについてどう思っているのか?

 実はノリノリなのか?

 俺は思いきって啓に聞いてみた。

 「やる気があるかないか、そんな事は問題じゃない。

 「大事なのは『やるんだったら全力で』恥じらって中途半端にやるんだったらやらない方が良い。見てる方が恥ずかしい」との事。

 「それは異世界で学んだ知識なのか?」と聞いたら「ディレクターとしてタレントに言っていた事だ」と啓は言った。

 「『恥ずかしがるな』と言っているんじゃない。『恥ずかしがる』時は『恥ずかしがる』演技をしろ、という話だ」

 「・・・・・」俺は何となく啓が何を言っているかわかった。

 忍者も偽物の感情、偽物の人間関係を持たなきゃいけない時はある。

 「言ってる事はわかるけど、わかりたくねーな」と俺。

 「若者は理想をいわないとな。

 訳知り顔なのは老人だけで良い」と啓。

 如何にも大人な発言だが啓は見た目、誰よりもロリっ娘だ。


 そして話は冒頭へ戻る。

 「四人になったしそろそろメイド喫茶をオープンさせようか」と俺。

 「五人揃ってからで良くないか?

 何でそんなに焦ってるんだ?」と蓮。

 「もう、ティッシュ配りをしたくないんだろう?

 どうせ秋葉原の繁華街でメイド姿でティッシュを配るくらいなら、室内でメイドをやった方が良い、と。

 あと、もうスーパーで見切り品のお惣菜を漁りたくない、と」と在前。

 「う、うるさいな!

 見切り品はいつも同じ『余った物』なんだよ!

 来る日も来る日も『海苔弁当』食べてたら気が狂いそうになるんだよ!

 たまには肉が食いたいんだよ!

 白身フライはもう食いたくないんだよ!」

 俺は開き直って本音を言う。

 「この忍者は堪え性がないな。

 『忍者めし』っていうのはもっと粗食なんじゃないのか?」と蓮。

 「粗食だよ!

 任務中は断食状態の時もある。

 でもな、それはあくまでも任務中の時なんだ!

 日常的、継続的に『海苔弁当』を食べ続ける任務はねえ!」

 「四人?五人?何を言ってるんだ?」と啓。

 「何って『五人揃ったらメイド喫茶を開店しよう』って話だよ」と蓮。

 「五人?

 そんなの無理に決まってるだろうが」

 「どういう事だよ?」

 「五人メイドがいて、誰が厨房スタッフやるんだよ?

 軽食、喫茶メニュー出すんだろ?

 料理する人間と皿洗いする人間、少なくとも二人は厨房スタッフは必要だぞ?」

 「だ、だったらホールスタッフのメイドは三人・・・」

 「五人で年中無休、朝から晩まで働きっぱなしなのか?」 

 「営業時間を短くして、定休日を作って・・・」

 「営業時間外でビラ配りしたり、ティッシュ配りしたり、経理・事務業務したり、店の掃除や飾りつけしたりしなきゃいけない。

 営業時間じゃないから休める訳じゃない。

 それ以前に僕らはメイド喫茶しかしないのか?」

 「そんな訳ないだろう!

 メイド喫茶は俺らの世を偲ぶ仮の姿であり、俺らの活動の資金源だ!」

 「だったら僕らの活動がメイド喫茶だけになる訳にはいかないよな」

 「定休日に救世主として活動すりゃ良いじゃん!」

 「救世主の活動は週に一回、水商売の店の休みの日、水曜日だけなのか?

 しかもメイド喫茶の唯一の休みの日が救世主としての活動日、僕らには一切休みがないって事?」

 「・・・・・」

 「メイド喫茶のメイドは常に五人は必要だな。

 厨房スタッフは常に三人は必要だな。

 救世主活動する戦隊メンバーも常に五人は必要だな。

 完全休養するメンバーも毎日七人は必要だな。

 つまり最低でも二十人は必要だな」と啓。

 「・・・啓、勇者にもこうやって口うるさく言ったんじゃないか?」

 「どうしてわかったんだ?

 『勇者パーティ』なんて誰か一人が倒れたら瓦解するモノじゃなくて、強固な『勇者チーム』ってモノを作り上げようって・・・」

 「そんな口うるさく言われたら、そりゃ背中から斬りかかるわ」

 「ん?何か言った?」

 「いや、何にも言ってないよ。

 ・・・とにかく仲間を増やさないとね」

 「僕はスポンサーを募らないとね」

 「スポンサー?

 自分らの存在って知られちゃいけないんじゃないの?

 スポンサーと接触出来るの?」

 「それは僕に任せて欲しい。

 スポンサー集めには自信があるから」

 どうするかは謎だがスポンサーの心配はないらしい。

 しかし、もう少しで仲間集めが終わると思っていたのに実は仲間集めは半分も終わっていなかったらしい。

 「準備しろ」とデザイア。

 「スーパーに見切り品を漁りに行くにはまだちょっと早いよ。

 もう少し待てば、『三割引き』が『半額』になる」

 「今日は見切り品はあきらめろ!

 今から五人目の仲間を迎えに行くぞ!」

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